崎山蒼志と長谷川白紙、逸脱した才能の輪郭。メールで取材し考察

崎山蒼志と長谷川白紙、逸脱した才能の輪郭。メールで取材し考察

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編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)

ストリーミングサービス以降のポップミュージックにおいて、ミュージシャンの「ディグ作業」が持つ意味合い

これは以上の話とも少なからず関係すると思われることだが、Appleが運営する音楽ラジオ局Beats 1の番組『blonded RADIO』で音楽ファンを唸らせる選曲を続けるフランク・オーシャンを筆頭に、知識とディグ力に優れたミュージシャンが目立つようになってきている。

インディーロックへの造詣が深く、その方面とR&B~ヒップホップが積極的にコラボレートする流行を先導した感もあるSolangeや、4年ぶりの復活作『Magdalene』(2019年)で余程の音楽マニアも知らないような電子音楽領域の才能をフックアップしたFKA twigs、デヴィッド・リンチも含む多彩な共演陣を配置して緻密なトータルアルバム『Flamagra』(2019年)を構築したFlying Lotus。Grimesをはじめとした、ロック外のアーティストとの共演を押し進めるBring Me The Horizonなど。

Solange『A Seat at Table』(2016年)を聴く(Spotifyを開く

FKA twigs『Magdalene』を聴く(Spotifyを開く

Flying Lotus『Flamagra』を聴く(Spotifyを開く

SpotifyでBring Me The Horizonを聴く(Spotifyを開く

コラボレーションをするためには当然、相手を見つける必要があり、それを探すディグの過程を通して膨大な情報量をインプットし、意図するか否かに関わらず影響を受けていくことになる。崎山蒼志や長谷川白紙もそうしたディグ作業や、それを通して発見した音源の紹介を積極的に行っており、影響を受けることを恐れず、楽しんで勉強を続けているように見受けられる。

崎山蒼志が作成したプレイリスト「好き!5月」を聴く(Spotifyを開く

長谷川白紙“による、んoon”Freeway“カバーを聴く(Spotifyを開く

このような姿勢は、両名の音楽の唯一無二性をむしろ高めているのではないかと考え、「影響を受ける」「未知の音楽に出会う」ことについて崎山・長谷川両氏に質問したところ、以下のような回答が返ってきた。

崎山:自分の知らない素晴らしい作品に出会うと、感動と共に自分の世界が開けます。そこから影響を受ける怖さは微塵もなくて、むしろ影響を受けたい。

こんなこと自分から言うのもあれですが、自分には一本、誰からも影響を受けない芯があって、それがあるからこそ影響を受けることに恐れがないのかも知れません。その一本の芯以外の部分で音楽をもっともっと刺激的なものにするためには、影響を受けることです。

未知の音楽に出会うために重宝しているメディアはTwitterですかね……あとYouTubeです。


崎山蒼志“五月雨”を聴く(Spotifyを開く

長谷川:ランダムに音楽に出会うことは、自分の音楽の拡張において非常に重要なことだと考えています。わたしに限って言えば、音楽の発展的発想は自分の持っている知識や概念の範疇でしか起きないと思います。わたしの中で起こる偶然的で瞬発的なリンクをより想像もつかないものにするためには、常に音楽の聴取領域を広げ続けるしかないと考えています。

TwitterのTLが今のところ最もよくて、時間があるときはTL上で流れてきた音楽で知らないものは全部聴いています。YouTubeのサジェストもよくて、こちらもとにかく全部聴いていくというのが重要です(現代音楽はYouTubeのサジェストでとてもよくディグできます。なぜでしょうか)。お店でジャケ買いをするのもよくやっています。


長谷川白紙“毒”を聴く(Spotifyを開く

両名のこうした積極的な受容姿勢は基本的には各々の資質によるものだろうが、ストリーミング以降と言えるような時代背景も関係していると思われる。

様々なジャンルの間で交流傾向が増していくことにより、異なる文脈を背負う音楽同士の共通項が増え、各々の領域からアクセスしやすい状況が生まれる。ジャンルそのものが接近しあうことによりジャンル越境的に聴く姿勢を育みやすい環境が形作られ、それを行うための具体的な方法も身につきやすくなる。膨大な要素を統合して素晴らしい個性を確立している両名の音楽は、影響を受けても揺らがない芯の強さといった各々の資質だけでなく、1990年代から2000年代にかけて培われたジャンル間の交流傾向とそれを加速させたインターネットがあればこそ生まれたものなのだろう。

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リリース情報

崎山蒼志『並む踊り』
崎山蒼志
『並む踊り』(CD+DVD)

2019年10月30日(水)発売
価格:3,000円(税込)
SLRL-10046

[CD]
1. 踊り
2. 潜水(with 君島大空)
3. むげん・(with 諭吉佳作/men)
4. 柔らかな心地
5. 感丘(with 長谷川白紙)
6. 夢模様、体になって
7. 烈走
8. 泡みたく輝いて
9. Video of Travel

[DVD]
1. ドキュメント「崎山蒼志 LIVE 2019 とおとうみの国」
2. 「国」ミュージックビデオ

長谷川白紙『エアにに』
長谷川白紙
『エアにに』(CD)

2019年11月13日(水)発売
価格:2,530円(税込)
MMCD20032

1. あなただけ
2. o(__*)
3. 怖いところ
4. 砂漠で
5. 風邪山羊
6. 蕊のパーティ
7. 悪魔
8. いつくしい日々
9. 山が見える
10. ニュートラル

長谷川白紙
『夢の骨が襲いかかる!』

2020年5月29日(金)配信

1. Freeway
2. 旅の中で
3. LOVEずっきゅん
4. 光のロック
5. セントレイ
6. シー・チェンジ
7. ホール・ニュー・ワールド

プロフィール

崎山蒼志
崎山蒼志(さきやま そうし)

2002年生まれ静岡県浜松市在住。母親が聞いていたバンドの影響もあり、4歳でギターを弾き、小6で作曲を始める。2018年5月9日にAbemaTV『日村がゆく』の高校生フォークソングGPに出演。独自の世界観が広がる歌詞と楽曲、また当時15歳とは思えないギタープレイでまたたく間にSNSで話題になる。2018年7月18日に「夏至」と「五月雨」を急きょ配信リリース。その2か月後に新曲「神経」の追加配信、また前述3曲を収録したCDシングルをライヴ会場、オンラインストアにて販売。12月5日には1stアルバム『いつかみた国』をリリース、併せて地元浜松からスタートする全国5公演の単独ツアーも発表し、即日全公演完売となった。2019年3月15日にはフジテレビ連続ドラマ『平成物語』の主題歌「泡みたく輝いて」と明治「R-1」CM楽曲「烈走」を配信リリース。10月30日に2ndアルバム『並む踊り』をリリースした。

長谷川白紙
長谷川白紙(はせがわ はくし)

1998年生まれ、音楽家。2016年頃よりSoundCloudなどで作品を公開し、17年11月インターネット上でフリーEP作品『アイフォーン・シックス・プラス』、18年12月10代最後に初CD作品『草木萌動』、19年11月に1st AL『エアにに』をリリース。知的好奇心に深く作用するエクスペリメンタルな音楽性ながら、ポップ・ミュージックの肉感にも直結した衝撃的なそのサウンドは、新たな時代の幕開けをも感じさせるものに。20年5月歌と鍵盤演奏のみで構成された弾き語りカバー集「夢の骨が襲いかかる!」を発表。

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