2023年現在、日本国内では多種多様な音楽ストリーミングサービスが展開されている。その筆頭であるSpotifyは、2016年秋の国内サービス開始以来、独自の機能やプログラムを次々に導入してきた。ただ「音楽を聴くためのサービス」ではなく、Spotifyならではの体験が得られる「音楽をより楽しめるサービス」へと進化を続けている。
本稿では、「聴く」の枠を超え「楽しむ」ことができるよう取り組み続けるSpotifyの試してみてほしい機能やプログラムを紹介する。
①無料から始められる
スマホやタブレット、パソコン、ビデオゲーム機(PS5 / PS4 / Xbox Series X / Xbox Series S / Xbox One)など多様なデバイスで利用できるSpotify。
Spotifyには無料プランと、「Spotify Premium」という有料プランが用意されているが、タブレットやパソコン、ビデオゲーム機で使う場合には無料プランであっても大きな制限なく音楽を楽しむことができる。
上記のデバイスでは無料プランでも1日あたりの利用時間に制限がないのはもちろん、任意の楽曲を指定し、再生することも可能だ。好きなアルバムを選んで再生する場合は、収録された曲順で楽しむことができる。無料プランでは楽曲と楽曲との間に広告こそ入るものの、普通に音楽を楽しむ分には十分だろう。
まずは上記のデバイスにて無料プランで試し、「スマホでも同じように使いたい」と考えてから、初めて「Spotify Premium」を検討することもできるのだ。
ちなみに「Spotify Premium」を契約した場合には、デバイスを問わず、広告なし機能制限なしで、オフライン環境でも再生でき、高音質での再生を選択できるなど、より付加価値の高いサービスが使えるようになる。
②アルゴリズムで新たなお気に入りに出会う
膨大な数の楽曲が登録されていることは、音楽ストリーミングサービスに共通する最大の魅力だ。Spotifyでは膨大な数のなかからすでにお気に入りであるアーティストや楽曲を検索して聴けることはもちろん、新たなお気に入りに出会うための機能も多く用意している。
まずチェックしたいのはAIが「あなたのために」自動作成してくれるプレイリストだ。検索画面でジャンル「メイド・フォー・ユー」を選ぶと、さまざまな切り口で作成されたプレイリストが確認できる。
たとえば、「Discover Weekly」はユーザーが過去にSpotify上で再生したことがないものの、きっと好きであろう楽曲を集めたプレイリストで、毎週月曜日に更新。また、「Release Radar」はユーザーがお気に入り登録したアーティストの新曲、そしてユーザーの好みに近いと推測されるニューリリースの楽曲で構成されるプレイリストで、毎週金曜日に更新される。
③プレイリストを作成する
もちろんユーザー自らの手でプレイリストを構築することも可能だ。タブレットやパソコン、ビデオゲーム機でSpotifyを使う場合には、無料プランであっても、作成したプレイリストをそのままの曲順で楽しむことができる。
④Spotify Connectを活用する
生活シーンやアクティビティーに応じて、最適なデバイスを選択して楽しめるというSpotifyの特長を活かした機能が「Spotify Connect」だ。これは同一アカウントでログインした複数のデバイスにて、相互に遠隔操作ができる機能だ。楽曲の再生や一時停止、曲送り、曲戻しといった操作のほか、音楽を出力するデバイスを切り替えることも可能。つまり、手元にあるスマホをリモコン代わりに、離れた場所にあるパソコンで再生する音楽を操作できるのだ。
初回利用時にすべてのデバイスを同じWi-Fiエリア内に接続すれば、以降は都度の設定もいらない。とくに複数のデバイスを使い分けている場合、一度慣れてしまうと重宝すること間違いなしの機能だろう。
⑤チャートで話題の楽曲を発見する
検索画面でジャンル「チャート」を選ぶとSpotify上でいま再生回数の多い楽曲の順位を確認できる。週間アルバムチャート、週間ソングチャート、デイリーソングチャートなどを、日本国内、グローバル(世界全体)という区分けのほか、任意の国・地域を選んで見ることも可能だ。
また「バイラルチャート」は、SpotifyからSNSやメッセージアプリでシェア・再生された回数などをベースに、Spotifyが独自に指標化したランキングで、「いまSNSで最も話題になっている曲」をキャッチアップすることができる。このチャートにランクインすることで、さらに広く注目を集め、国境を超えたヒットにつながることが起こるのも、世界で5億人以上のユーザーに利用されているSpotifyならではの強みといえよう。
⑥SNSなどで出会った楽曲の感想をシェアする
再生画面にあるシェアボタンを押せば、URLリンクを付けて楽曲と感想を共有できる。スマホやタブレットからは主要SNSサービスに直接投稿が可能。そこに含まれないサービスにもURLリンクをコピー&ペーストして共有できる。SNSサービスと組み合わせることで、友達を通じての新たなアーティスト・楽曲との出会いにつながるかもしれない。
⑦アーティストをフォローする
アーティストを「お気に入り」として登録する機能が「フォロー」だ。フォローすることでアーティストページへのアクセスが簡単になるだけでなく、ユーザーの好みとして、AIがプレイリストを自動作成する際の参考情報にも利用される。気軽に、そして積極的に活用したい。
⑧歌詞をみる
楽曲のなかには再生中に歌詞を文字で表示できるものもある。Spotifyだけで歌詞と楽曲を一緒に楽しめるのだ。スマホの場合は、再生中に画面下部に表示される「歌詞」と書かれたバーをタップすると表示される。歌詞をタップすると再生位置をその歌詞の場所に移動することも可能だ。
⑨シンガロングして一緒に楽しむ
歌詞表示機能とあわせて「シンガロング」機能もおさえておこう。コンサート会場、あるいはカラオケのように、曲に合わせて一緒に歌って楽しむための機能である。歌詞画面にあるマイクのアイコンをタップすると、ボーカル音量だけを小さくすることができる。お気に入りの楽曲を聴き込むうちに、自然と歌いたくなるはず。そうした楽しみ方をサポートしてくれる機能だ。
⑩Liner Voice+でアーティストからの解説を聴く
アーティストのCDに、歌詞カードとともに入っているライナーノーツ。あの解説文を、Spotifyがアーティスト本人の生の声で再現したものが「Liner Voice+」だ。アルバム制作の背景、考えや心の内、歌詞に込めた想いなどをアーティスト自らの語りで聴ける希少なコンテンツである。
⑪Canvasでビジュアルも楽しむ
楽曲のなかにはアーティスト側で「特別な映像」を用意しているものもある。「Canvas」と呼ばれる機能で、モバイルアプリで楽曲再生中、縦向きで画面いっぱいに表示された8秒間のループ動画を観ることができる。
⑫ライブイベントのフィードを見る
検索画面でジャンル「ライブイベント」を選ぶと、Spotify上での音楽視聴傾向や利用場所(現在地付近または任意で指定した地域)をもとに、おすすめのイベント情報などを得ることができる。コンサートの開催日時や場所を確認し、数回の操作で販売パートナーであるイープラスのサイトにアクセス。そのままチケットを購入するといった使い方にも対応している。
⑬友達をフォローする
SpotifyとFacebookのアカウントは接続することができる。アカウントを接続し、友達をフォローして「友達のアクティビティ」をチェックすると、Spotifyで友達が聴いている楽曲を共有できるのだ。共有を避けたいときに非公開にできる機能「プライベートセッション」も用意されている。
⑭非公開プレイリストをシェアする
自分が作成したプレイリストを多くの人に共有できるのがSpotifyの魅力だが、不特定多数の人にシェアすることを望まない場合、非公開にすることも可能。そんな非公開プレイリストを、友達だけに共有できる機能もある。プレイリストのオプションボタンから「シェア」を選ぶと、そのプレイリストにアクセスするためのURLをSNSやメッセージアプリに投稿できる。
⑮Blendで混ぜて楽しむ
「Blend」は、複数人の音楽の好みを混ぜた共有プレイリストが作成できる機能だ。最大10人のユーザーの好みがミックスされたプレイリストが作成できる。モバイルアプリの検索画面から「メイド・フォー・ユー」「Blendを作成」をタップし、相手を招待してプレイリストの作成が可能。BTS、Charli XCX、BE:FIRST、JO1といった、お気に入りのアーティストと一緒にBlend機能を楽しむことも。
⑯グループセッションでワイワイ楽しむ
友達と一緒にいるとき、スマートスピーカーやBluetoothスピーカーから流れるSpotifyの音楽をお互い自由に操作できる機能が「グループセッション」だ。同じWi-Fiエリア内(アクセスポイント内)にいる友達同士で利用できる。さらに「リモートグループセッション」を使えば、Wi-Fiエリア内外を問わず、セッションに招待した友達同士で遠隔操作することも可能だ。
本稿で紹介した使い方の一部には「Spotify Premium」限定のものも含まれるが、それらを除いてもSpotifyで楽しめる機能は多いということがわかっていただけたことだろう。タブレット、パソコン、ビデオゲーム機であれば無料プランでも制限がぐんっと軽減されるというコツをおさえて、ぜひSpotifyの魅力に触れてみてほしい。