アイドル内山結愛が、100本以上のアルバムレビューを続けた理由

アイドル内山結愛が、100本以上のアルバムレビューを続けた理由

2021/11/30
インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:廣田達也 編集:黒田隆憲、CINRA編集部

2021年6月に4曲入りEP『Yellow』をリリースした4人組アイドルグループRAY。シューゲイザーやポストロック、ニューウェイヴなどを基軸とした本格的なバンドサウンドと、ポップなメロディー、ライブにおける4人の激しいパフォーマンスによって、アイドルファンはもちろん洋楽ファンにも注目されている。

メンバーの内山結愛は現在、週に1回のペースで国内外のアルバムのレビューをnoteにアップしており、その数が先日100枚を超えた。My Bloody ValentineやDEVO、Orange Juiceなど取り上げる作品もバラエティーに富み、直感的で飾り気のない彼女の文章はコアな音楽ファンをも唸らせる。

そもそもなぜ内山は、アルバムレビューの執筆を始めたのだろう。どんな基準でアルバムを選び、何を心がけながらレビューを書いているのか。インプットとアウトプットを繰り返しながら、「見えないもの」を言語化し続けてきた彼女に、見える景色の変化についてじっくりと話を聞いた。

掘れば掘るほど、まだまだ自分は知らないことばかりだなと思い知らされています

―内山さんはいま、Twitterとnoteにて音楽アルバムのレビューを定期的に更新しているんですよね。そもそもどんなきっかけで始めたのですか?

内山:もともとは、高円寺のライブハウスHIGHで開催されているシューゲイザー系のライブイベント『Total Feedback』に、DJとして出演させていただいたことがきっかけでした。

<b>内山結愛(うちやま ゆうあ)</b><br>大学生兼アイドルグループRAYのメンバー。RAYではシューゲイザーをはじめ、IDMから激情ハードコアまで、「マイナー音楽×アイドルソング」に挑戦している。ディスクレビューをnoteにて週に1度のペースで公開し、Twitterでは“#内山結愛一日一アルバム”で毎日なんらかのアルバムを紹介中。DJとして活動することも。古今東西の名盤を聞きあさりながら日々音楽を楽しむ。
内山結愛(うちやま ゆうあ)
大学生兼アイドルグループRAYのメンバー。RAYではシューゲイザーをはじめ、IDMから激情ハードコアまで、「マイナー音楽×アイドルソング」に挑戦している。ディスクレビューをnoteにて週に1度のペースで公開し、Twitterでは“#内山結愛一日一アルバム”で毎日なんらかのアルバムを紹介中。DJとして活動することも。古今東西の名盤を聞きあさりながら日々音楽を楽しむ。

内山:当時はまだシューゲイザーというジャンルについて深く知らない状態だったのですが、呼ばれたからにはシューゲイザーにまつわる音楽をちゃんとセレクトしながらDJしたほうが、自分自身も楽しいんじゃないかなと思ったんです。そのために、まずは一度音楽としっかり向き合う必要があるなと思って週に1回noteにレビューを書き始め、しばらく後に「一日一枚アルバム」と題してTwitterにも毎日レビューを書くようになりました。


『Total Feedback』で初めてDJを行った直後の、内山のツイート

―音楽の知識を増やしていく一環として始めたものだったんですね。

内山:そのつもりで最初はMy Bloody ValentineやRideなど、シューゲイザーと呼ばれるバンドのアルバムをレビューしていたんですけど、あらためて当時のnoteを読み返してみると、5回目でいきなりThe Pop Groupの『Y』を取り上げているんです(笑)。その後もJoy Divisionの『Closer』やINUの『メシ喰うな!』など、全然シューゲイズじゃないどころか一般的に「変わってる」とされている作品を唐突にチョイスしている自分にびっくりします。

The Pop Group『Y』。当時の内山のnoteでは、「全編通して凶暴で刺激的。想像以上にThe Pop Groupはヤバかった」と評されている(Spotifyを開く

INU『メシ喰うな!』。内山いわく「切れ味抜群の言葉たちがグサグサに刺さってくるようなアルバム」(Spotifyを開く

―(笑)。いつもどんな基準でアルバムを選んでいるんですか?

内山:始めたばかりの頃は、RAYのディレクターさんと一緒に新宿のディスクユニオンなどへ行って、相談しながら選んでいました。最近はLUNA SEAの全アルバムレビューを企画するなど、かなり自由にやっています(笑)。とにかく自分がいま、気になっているアルバムやジャンルをバーっと書き出して「じゃあ、次はこの辺りを攻めてみようか」みたいな感じ……でも掘れば掘るほど、まだまだ自分は知らないことばかりだなと思い知らされています。

あり得ないような非日常の世界や刺激を、私はつねに求めているんです

―レビューとは別に、LINE BLOGでも日記を書いているんですよね。しかも頻繁に更新されていますが、文章を書くのはお好きですか?

内山:やってみて気づきましたが、どうやらそうみたいです(笑)。振り返れば国語の授業とか小学生の頃から好きで、作文もペース早めに書けたし本を読むのも好きでしたね。ただ、人に読ませる文章となると、自分だけの世界で完結させるわけにはいかないから、レビューのときもいろいろ言葉を選んだり考えたりしながら書いています。

内山結愛

―ちなみに、どんなジャンルの本を読んでいたのですか?

内山:結構、悪趣味というか……映画でもB級とかC級などと言われるホラーがすごく好きで(笑)、怖がりのくせに好奇心に抗えず観ているんですけど、読む本も人が死ぬ小説ばっかりなんです。血がどくどく流れていたり、臓器の描写だったりして、読むと大抵「気持ちわる……」ってなるんだけど、それでもなぜか気になってしまうんです。

―それはなぜでしょう。

内山:あり得ないような非日常の世界や刺激のようなものを、私はつねに求めていて。RAYの活動では本当にいろんなことに挑戦させていただいているし、同級生の女の子よりは刺激的な日々を送っているはずなんですけど、それでもまだ足りないみたいです。

―レビューはいつも楽しく読んでいるのですが、内山さんは作品に対するファーストインプレッションをつねに大切にされていますよね。なのでレビューを読んでいると、仮にそれがいままで何十回、何百回と繰り返し聴いてきたアルバムだったとしても、初めて聴いたときのことを思い出させてくれる。

内山:嬉しいです。レビューを書くときは、おっしゃるようにまずはまっさらな状態でアルバムを聴きたいので、前情報などをなるべく入れないよう気をつけています。そして、聴いているときに思い浮かんだ景色や言葉など、音楽的知識とは関係ない主観的な印象を書き留めておく。すべて聴き終わってからそこで初めていろいろ調べてみて、「あ、ここはこういう楽器を使っていたのか」みたいな答え合わせをしつつ、それをレビューのなかに盛り込んでいます。

内山結愛

―単なる印象論でも、客観的な事実のみでもなく、段階を踏みつつそれらをバランスよく混ぜているから読みやすく濃密なレビューになっているのですね。

内山:でも、まだまだ全然知識が足りないです。読んでくださった方から「あれはワウギターの音じゃないよ?」みたいに指摘していただくこともあるし、「難しいなあ」と思うことばかりですね。

特に最初の頃は音楽用語などもまったく知らなかったから、「ディストーション」や「ノイズポップ」「ドリームポップ」など覚えたてのワードをレビューの最後に書き留めておくようにしていました。それは自分のための備忘録でもあるし、私と同じように音楽知識がまだそんなにない人が読んだときに、少しでも参考になればいいなという思いもありましたね。

とにかく自分は勉強している身なので、「これ、いいアルバムだから聴いてみれば?」みたいな上から目線の文章にはしたくなくて(笑)。私のことを応援してくださっている方も、音楽にめちゃくちゃ詳しい方ばかりではないし、同じくらいの知識の人たちと「一緒に勉強していきたいな」というスタンスで書いています。

内山結愛

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作品情報

『Yellow』RAY
RAY
『Yellow』(CD)

2021年6月23日(水)発売
価格:1,650円(税込)
LSME2

プロフィール

内山結愛(うちやま ゆうあ)

大学生兼アイドルグループRAYのメンバー。RAYではシューゲイザーをはじめ、IDMから激情ハードコアまで、「マイナー音楽×アイドルソング」に挑戦している。ディスクレビューnoteを週に1度のペースで公開し、Twitterでは“#内山結愛一日一アルバム”で毎日なんらかのアルバムを紹介中。DJとして活動することも。古今東西の名盤を聞きあさりながら日々音楽を楽しむ。

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