芸人・放送作家、佐藤満春の音楽愛と創作論「有名=正義じゃない」

芸人・放送作家、佐藤満春の音楽愛と創作論「有名=正義じゃない」

2021/11/25
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:鈴木渉 編集:金子厚武、CINRA編集部

OKAMOTO’Sのハマ・オカモトと乃木坂46の齋藤飛鳥がMCを務める音楽バラエティー『ハマスカ放送部』(テレビ朝日)が2021年10月からスタート。この番組に構成作家として参加しているのが、どきどきキャンプの佐藤満春だ。

お笑い芸人であると同時に、トイレや掃除の達人としても活躍、他にも『オードリーのオールナイトニッポン』や『スッキリ』『ヒルナンデス!』などに関わる放送作家としても活動。最近では『キョコロヒー』『松田好花の日向坂高校放送部』など日向坂46メンバーの番組を担当することも。

そんな佐藤が学生時代から情熱を注ぎ続けているのが、邦ロックだ。2020年4月からInterFMでスタートした『佐藤満春のジャマしないラジオ』では、毎週1アーティストをピックアップして紹介し、そのアーティストに対する熱い語り口が話題に。「ラジオでかかった音楽にぼく自身が救われてきた」という佐藤にとって、音楽を紹介することはライフワークだといっていいのかもしれない。

『ハマスカ放送部』の話題を入口に、「音楽」という切り口から佐藤の仕事の裏側に迫った今回のインタビューでは、「好きになるととことん調べてしまう」「有名になることだけが正解じゃない表現活動もある」など、ジャンルを越えて活躍する佐藤の思考の一端がうかがえた。

「自分のグループでの活動では見せない顔が出ているのが面白い」。ハマ・オカモトと齋藤飛鳥の『ハマスカ放送部』

―10月から始まった『ハマスカ放送部』に構成作家として関わられていますね。「バンドマンと坂道グループのアイドルがMCを務める音楽トークバラエティー」に、ジャンルを越境して活動されている佐藤さんが関わるのは、勝手に納得感を感じました。

佐藤:なんとなくのイメージでアイドル全般に詳しいと思われることがあるんですが、全然そんなことないんです。今回のお話は『キョコロヒー』も一緒にやっているスタッフさんからいただいたのですが、そこでいわれたのは「サトミツさんはラジオもやってるし音楽お好きなので……」とのことでした。

OKAMOTO'Sも大好きなので、ハマさんの番組に関われるのはとても嬉しかったです。乃木坂46さんとのお仕事は『ノギザカスキッツ』というコント番組でコントを書いてたんですけど、3期生と4期生のみなさんだけだったので、齋藤飛鳥さんは今回はじめてでした。

<b>佐藤満春(さとう みつはる)</b><br>1978年2月17日生まれ。東京都町田市出身・町田市在住。2001年どきどきキャンプとして活動をスタート。現在は放送作家・脚本家・トイレ博士・掃除専門家などさまざまな顔を持ちながら活動中。
佐藤満春(さとう みつはる)
1978年2月17日生まれ。東京都町田市出身・町田市在住。2001年どきどきキャンプとして活動をスタート。現在は放送作家・脚本家・トイレ博士・掃除専門家などさまざまな顔を持ちながら活動中。

―放送開始から1か月が経って(取材は10月30日)、4回目の放送が終わりましたが、ここまでを振り返って、番組の魅力をどう感じていますか?

佐藤:ハマさんも齋藤さんも、自分のグループでの活動では見せない顔が出ている感じがすごく面白いなと思いました。ハマさんは進行も、番組の意図をくみ取る能力も、相手の話を聞く能力もすごいし、トークも回しも素晴らしいので制作としてはかなり助けてもらってます。

飛鳥さんもすごく突き刺さるワードセンスをお持ちですし、何よりもアイドル性の高さとスター性ですよね。お二人が楽しそうにされてるのが一番大事だと思いますので、なるべく自由に楽しんでもらいたくて、いまのところはそうなっているのでは……と思っています。

この前の放送回から「番組のオープニングジングルをつくろう」という企画が走り出して、お二人が早速楽器を持ちましたが、二人ともミュージシャン、アーティストの顔にぐっとなるのがかっこよかったです。お二人がセッションする姿はこの番組ならでは、だと思いますので、非常に貴重だったと思います。

あとは、毎回の収録で制作陣が予想していなかったような展開に転がっていく印象がありますね。お二人がもともと持っている個性によって、想像し得ないところに転がっていくのを楽しむ番組になっていると思います。やっぱりお二人ともスターだなと思うことばかりですね。


YouTubeで公開されている、『ハマスカ放送部』ジングル制作企画の未公開バージョン

―番組の今後についてはどんな風に考えていますか?

佐藤:これから二人の距離感が変わっていくと思うので、そのなかで何が変わっていくのか、そこはわりとドキュメントになっていくんじゃないですかね。それによって企画も変わるでしょうし。

いまは番組を立ち上げたばかりなので、MCの二人がやりたいこと、制作が狙っていること、視聴者が見たいこと、それぞれ探っている段階です。いろいろなことをやっていくなかで、だんだんピントが合っていくと思うので、番組としてより見ごたえのあるものになっていくんじゃないかと思います。

……みたいなこと語ってますが、ぼくはただの作家の一人として、アイデアのきれはしみたいなものを出しているだけなので。他に多くの優秀なスタッフさんたちがいて、そしてもちろん出演者がいて番組は成り立っているので、ぼくはそこに関わらせていただいてるというだけで感謝です。出演者のお二人はもちろん、この番組のスタッフさんとの出会いもぼくにとってはとても大きかったです。

『ハマスカ放送部』の番組内で紹介された楽曲をまとめたプレイリストを聴く(Spotifyを開く

中高時代には架空のラジオ番組をカセットテープに録音。「好きになると、気になってとことん調べちゃう」

―佐藤さんは2020年から、InterFM『佐藤満春のジャマしないラジオ(以下、ジャマラジ)』で邦ロックを紹介されていますが、そもそも邦ロックにハマったのは、いつ頃のどんなきっかけだったのでしょうか?

佐藤:最初は中学生のときにラジオで聴いたユニコーンですね。CDを買って、ライブに行って、すぐファンクラブにも入って。そこから、奥田民生さんが好きだといってたアーティストや、ユニコーンの対バンで気になった人とかをバーッと聴いて、どんどんハマっていった感じです。

プレイリスト『This Is ユニコーン』を聴く(Spotifyを開く)。ユニコーンは1987年にデビューしたバンド。1993年に一度解散したが、2009年から活動を再開。フロントマンは奥田民生

―いきなり話がそれるんですけど、マカロニえんぴつのボーカルのはっとりさんっているじゃないですか?

佐藤:あ、ユニコーン好きなんですよね? 『オールナイトニッポンZERO』をやられてたときにちょっと聴きました。もちろんマカロニえんぴつもよく聴きますし。

マカロニえんぴつ『はしりがき』を聴く(Spotifyを開く

―そう、ユニコーンのアルバムタイトルから「はっとり」という名前をつけているんですけど……佐藤さんとはっとりさんがちょっと似てるなと前から思ってて(笑)。

佐藤:あー、それ誰かにも言われたことあります。恐縮です。いつかどこかでお会いできたら嬉しいです。

佐藤満春

―おそらく髪型も大きいとは思うんですけど、でも雰囲気含めて似てるなって。しかも、はっとりくんもラジオ好きなんですよ……って、すみません、いきなり脱線して。ユニコーンを入口にして、そこからどう広がっていったのでしょうか?

佐藤:大学に入ってからの個人的な波としては、エレファントカシマシ、スピッツ、サニーデイ・サービス、くるり、みたいな。もちろん、他にもいろんなバンドを聴いて、いろんなライブに行き倒しましたけど、一番行ったのはくるりかもしれないですね。

―もともとラジオが好きで、そこからお笑いに興味を持ち、高校・大学と進んで行かれたと思うんですけど、音楽は佐藤さんにとってどんな位置づけだったのでしょうか?

佐藤:ユニコーンのコピーバンドをやったりはしてました。あと、中高のころは自分で架空のラジオ番組をつくっていて。自分で曲紹介をしたり、そこにCDから曲を入れたりしながらカセットテープに録音していた感じです。

ただ、音楽を聴くことは当たり前の日常で、それがいまもずっと続いてる感じなので、お笑いやラジオとは違って、それを仕事にしようとはまったく思わなかったんですよね……いまラジオ番組をやっていて、結果的に仕事にはなっているんですけど、それも感覚的には日常の延長というか。

―佐藤さんはトイレや掃除にも詳しくて、現在はそれに関わる活動もされていますけど、それももともとは単純に「好き」から始まっていますよね。ただ、好きになるとそれについて勉強したくなって、広めたくなって、それが結果的に仕事に結びついてるってことだと思うんです。いってみれば、音楽もそういう対象であり、そのなかでもより日常的で、昔から結びつきの強いものだった、ということなのかなって。

佐藤:そんな感じかもしれないですね。ひとつのバンドを好きになると、その人たちの歴史も気になるタイプで。「誰々がプロデューサーに入って、だからこういう音になったんだ」みたいなことを調べちゃうんですよ。だから、『ROCKIN'ON JAPAN』『Quick Japan』とか音楽雑誌のインタビューもめちゃくちゃ読みました。

そこで自分の好きなバンドのメンバーが「いまこの若手が気になってる」みたいなことを話してると、その若手も逐一チェックしたりして。くるりのラジオでSPARTA LOCALSを知ったり、『ロックロックこんにちは!』(スピッツが主催する音楽イベント)のオープニングアクトでアナログフィッシュを知ったり、そういう広げ方をしてましたね。

―アナログフィッシュといえば、オードリーの単独ライブ用につくられた“SHOWがはじまるよ”もファンのなかでは有名ですよね。

アナログフィッシュ“SHOWがはじまるよ”を聴く(Spotifyを開く)。アナログフィッシュは2004年にメジャーデビューした、2人のボーカルを擁するバンド。“SHOWがはじまるよ”は佐々木健太郎が歌っている

佐藤:『ロックロックこんにちは!』でアナログフィッシュの“スピード”を聴いて、めちゃめちゃかっこいいなと思って、それからずっと聴いてました。当時オードリーの若林(正恭)くんも好きで、彼らが初めての単独ライブをやったときに、アナログフィッシュの“Hello”をオープニングの曲として使わせてもらったんです。

2008年の『M-1グランプリ』でオードリーがブレイクしたあと、『まんざいたのしい』という単独ライブのときに、DVDになったりする関係で「既存曲は使わないほうがいいね」となり。誰か縁のある人に依頼しようかっていうところから、アナログフィッシュはどうだろう? となって、つくってもらったんです。

ちょっと前にやっていたアナログフィッシュの配信ライブも見たんですけど、相変わらずかっこよくて、歳を重ねた分、さらに色気も増してるなって。同世代というのもあり、思い入れも強いですし、すごくいいバンドだと思いますね。

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プロフィール

佐藤満春(さとう みつはる)

1978年2月17日生まれ。東京都町田市出身・町田市在住。2001年どきどきキャンプとして活動をスタート。現在は放送作家・脚本家・トイレ博士・掃除専門家などさまざまな顔を持ちながら活動中。

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