コロナ禍を経たRADWIMPS新アルバム。混沌の先に見た希望とは?

コロナ禍を経たRADWIMPS新アルバム。混沌の先に見た希望とは?

2021/11/23
インタビュー・テキスト
三宅正一
編集:タナカヒロシ、CINRA編集部

フジロックのステージで本編最後を飾った“SUMMER DAZE 2021”。「この3年間で培ってきたものを集大成として出せた」(武田)

そして、最後にフィーチャーするのは1曲目の“海馬”と並び本作を象徴する楽曲であり、アルバムのラストナンバーを担う“SUMMER DAZE 2021”だ。

RADWIMPSの新しいアンセムとして育まれていくに違いないこの楽曲は、8月にYouTubeとSoundCloud上で無料公開され、今年の『FUJI ROCK FESTIVAL』でも披露された。まるでRADWIMPSのメンバーが生まれた1980年代を彩っていたポップスから、現在進行系のEDMまで、音楽の時間旅行をするようなサウンドプロダクションも印象的だ。

RADWIMPS“SUMMER DAZE 2021”を聴く(Spotifyを開く

野田:そういうことにしよう(笑)。すごくいい解釈だと思うなぁ。たしかに音楽的なアプローチとして、そういうふうになってますよね。この曲は今年の2月か3月くらいに「どうやらやっぱり今年の夏もいつも通りの夏にはならなそうだな」と思って。毎日のように友人の野村訓市(ライター / 編集者、インテリアデザイナー、俳優、DJなど幅広い分野で活躍するクリエイター)と会話をしているなかで、彼に「夏のアンセムをつくらない?」って提案されたんです。

訓ちゃんはいろんな音楽を知ってるから、「とにかくサビの歌詞はいらない」とか、いろんな指定をしてきて(笑)。「みんなでシンガロングできるような曲をつくろう」って、4月から5月くらいに作り始めました。意外と訓ちゃんの指示が厳しくて、8回くらいやり取りを重ねながらアップデートしていきましたね。とにかくフジロックでやることだけを目標につくって。実際にフジロックの本編の最後の曲でやれて、それはそれは感動的だった。

武田:ね。よかった。


『FUJI ROCK FESTIVAL'21』での“SUMMER DAZE 2021”のライブ動画

野田:いまの状況を映し出しながらも、ライブハウスでも、クラブでも、アリーナでもどこでもそうだけど、俺らが好きな音楽が流れてる場所とその瞬間だけは、理屈も何もいらないというか。

これまでも「とにかくいま、叫んで、踊って、それ以上に満たされるものはないよね」って瞬間が何回もあって。俺らもやっぱり音楽に救われながら生きているから。こういう時期だからこそ、それをあらためてちゃんと歌にしたいなって思った。サビはもう、言葉もないし、意味なんか一つもない、みんなと一緒に叫び合いたいというイメージだけでつくりましたね。

武田:この曲もそうだし、アルバムを通して言えますけど、ラッドとして新しいアプローチができて。この3年間で培ってきたものを集大成として出せたと思います。

アルバムタイトルにもついている「DAZE」という言葉は、「なんとも言えない揺らめきだったり、眩暈だったり、この2年間を象徴してる」(野田)

そして、野田はインタビューの最後をこのように結んだ。『FOREVER DAZE』というアルバムは、RADWIMPSが混沌と揺らぎの日々のなかで見つけた、新たな音楽表現の地平。それは彼らにとって、希望のイメージを映し出す輪郭でもある。

野田:“SUMMER DAZE 2021”ができた瞬間に、この曲がアルバムの最後を飾る曲になるという気がしました。特に前半の重たいメッセージも含めて、これだけ混沌としたところをくぐり抜けてるアルバムだけど、最後に新しい地平が見えるというか。激しい波を乗り越えた先に見える、凪いだ海にたどり着くような、どこまでも果てしなく希望が見える感じがあったので。

アルバムタイトルにもついている「DAZE」(ぼうっとさせる、目をくらますなどの意味をもつ英単語)という言葉も、なんとも言えない揺らめきだったり、眩暈だったり、この2年間を象徴してると思って。

ただ、それはもっとポジティブな意味になるべきだと思ったので。だからアルバムタイトルに『FOREVER DAZE』とつけた瞬間に、すごくしっくりきた。結局、俺らは一生その眩暈のなかで生きるんだなと思ったし、でもそれでも生き続けることを選ぶんだろうなと思ったから。そういう希望をタイトルに乗せたかったんです。

RADWIMPSにとってメジャーデビュー15周年というメモリアルイヤーだった昨年は新型コロナウイルスの影響により初のドーム公演を含む国内ツアーや中国本土、ヨーロッパ、北米、アジアを回る海外ツアーが中止となってしまった。RADWIMPSとは最終的にはライブバンドであると自負しているメンバーにとってそれはあまりに口惜しい逆風だった。

しかし、それでも彼らはタフなマインドを持ち続け、湧き上がるクリエイティビティーを押し殺すことなく、薪をくべるようにして音楽への情熱を燃やし続けた。「Liner Voice+」で聴ける野田と武田の生の声を通じて、その気概を感じてもらえたら幸いだ。

RADWIMPS「Liner Voice+」を聴く(Spotifyを開く

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リリース情報

RADWIMPS
『FOREVER DAZE』15th Anniversary Box(初回限定盤)(CD+Blu-ray+PHOTOBOOK)

2021年11月23日(火・祝)発売
価格:11,000円(税込)
UPCH-29410

[CD]
1. 海馬
2. SHIWAKUCHA feat. Awich
3. 匿名希望
4. TWILIGHT
5. 桃源郷
6. 夏のせい
7. MAKAFUKA
8. Tokyo feat. iri
9. うたかた歌 feat. 菅田将暉
10. 犬じゃらし
11. グランドエスケープ
12. かたわれ
13. 鋼の羽根
14. SUMMER DAZE 2021

[Blu-ray]
・『「15th Anniversary Special Concert」@横浜アリーナ [2020.11.23]』
1. タユタ
2. グランドエスケープ
3. DARMA GRAND PRIX
4. 新世界
5. シュプレヒコール
6. パーフェクトベイビー
7. NEVER EVER ENDER
8. おしゃかしゃま
9. G行為
10. お風呂あがりの
11. やどかり
12. 棒人間
13. 螢
14. 告白
15. トレモロ
16. 有心論
17. ます。
18. バグッバイ
19. おあいこ(Guest:ハナレグミ)
20. いいんですか?
21. スパークル
22. DADA
・「TWILIGHT」Music Video

RADWIMPS
『FOREVER DAZE』15th Anniversary Box(初回限定盤)(CD+2DVD+PHOTOBOOK)

2021年11月23日(火・祝)発売
価格:11,000円(税込)
UPCH-29411

[CD]
1. 海馬
2. SHIWAKUCHA feat. Awich
3. 匿名希望
4. TWILIGHT
5. 桃源郷
6. 夏のせい
7. MAKAFUKA
8. Tokyo feat. iri
9. うたかた歌 feat. 菅田将暉
10. 犬じゃらし
11. グランドエスケープ
12. かたわれ
13. 鋼の羽根
14. SUMMER DAZE 2021

[DVD]
・『「15th Anniversary Special Concert」@横浜アリーナ [2020.11.23]』
1. タユタ
2. グランドエスケープ
3. DARMA GRAND PRIX
4. 新世界
5. シュプレヒコール
6. パーフェクトベイビー
7. NEVER EVER ENDER
8. おしゃかしゃま
9. G行為
10. お風呂あがりの
11. やどかり
12. 棒人間
13. 螢
14. 告白
15. トレモロ
16. 有心論
17. ます。
18. バグッバイ
19. おあいこ(Guest:ハナレグミ)
20. いいんですか?
21. スパークル
22. DADA
・「TWILIGHT」Music Video

  • Spotifyで聴く
  • Amazonで購入する
  • RADWIMPS
    『FOREVER DAZE』通常盤(CD)

    2021年11月23日(火・祝)発売
    価格:3,300円(税込)
    UPCH-20594

    1. 海馬
    2. SHIWAKUCHA feat. Awich
    3. 匿名希望
    4. TWILIGHT
    5. 桃源郷
    6. 夏のせい
    7. MAKAFUKA
    8. Tokyo feat. iri
    9. うたかた歌 feat. 菅田将暉
    10. 犬じゃらし
    11. グランドエスケープ
    12. かたわれ
    13. 鋼の羽根
    14. SUMMER DAZE 2021

プロフィール

RADWIMPS(らっどうぃんぷす)

左から武田祐介(Ba)、野田洋次郎(Vo, Gt, Pf)、桑原彰(Gt)。山口智史(Dr)と桑原は活動休止中。2001年結成、2005年メジャーデビュー。既存の枠組みに捉われない音楽性、恋愛から死生観までを哲学的に、ロマンティックに描いた歌詞で、思春期を過ごす世代を中心に大きな支持を受ける。アニメーション映画『君の名は。』『天気の子』では音楽全般を担当し、それぞれの作品において日本アカデミー賞最優秀音楽賞を受賞。2021年11月23日に、通算10枚目のフルアルバム『FOREVER DAZE』をリリース。12月4日からは6都市12公演のライブツアーを開催予定。2022年春に公開予定の映画『余命10年』(藤井道人監督)で劇伴音楽全般を担当することも決定している。

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