
The Weekndや米津玄師も参入 バーチャルライブが見せる夢
- インタビュー・テキスト
- 辰巳JUNK
- 編集:久野剛士(CINRA.NET編集部)
トラヴィス・スコットから一歩先に進めた。The Weekndのバーチャルコンサート
<光で目が眩んでる 寝れるわけがない 君のぬくもりを感じるまで>。2020年を代表するヒット“Blinding Lights”が、まさか電子世界でファンとつながるアンセムになるとは、The Weeknd本人も予想していなかったかもしれない。2020年、新型コロナウイルス危機により、現実のコンサート会場は次々と閉鎖されてしまった。そこで音楽ファンの日常に組み込まれたものがバーチャルイベントである。今や、『MTV Video Music Awards』も民主党大会も無観客のバーチャル開催となり、日本や韓国においても『サザンオールスターズ 特別ライブ 2020 「Keep Smilin' ~皆さん、ありがとうございます!!~」』やBTSによる『BANG BANG CON The Live』といった無観客配信ライブが大きな成功を記録している。
その中でも「歴史的転換点」と評されたのが、2020年4月、ラッパーのトラヴィス・スコットが人気ゲーム『フォートナイト』内で行った『Astronomical』である(参考:『トラヴィス・スコット×フォートナイト なぜ「歴史的」だったのか?』)。すべてバーチャルで成し遂げられたこのイベントで、巨大化したトラヴィスは観客アバターを海の中や宇宙に連れていった。「対面式コンサートの代替」ではなく「バーチャルコンサートならではの魅力」を証明してみせたのだ。
『This is Travis Scott』プレイリストを聴く(Spotifyを開く)
4月24日~26日にトラヴィス・スコットが『フォートナイト』で行ったバーチャルライブ『Astronomical』の様子
「トラヴィス・スコットのショーでは、我々の初期実験と近いことが多く見られました」「あそこから数歩先に進むためには、バーチャルコンサートを──もうちょっと、めちゃくちゃにするのです」。こう宣言したのは、エンターテイメントテクノロジー企業Wave社のCEO、アダム・アリゴだ。ライブコンサート用のバーチャルプラットフォームを提供する同社は『Astronomical』直後、スクーター・ブラウン等から3,000万ドルの資金を調達。パンデミックによって世間一般からの注目も増加したバーチャルコンサート分野を象徴するスタートアップである。
そのWave社が打ち上げた花火こそ、ピーク時には27万もの視聴者数を記録した『TikTok LIVE: The Weeknd Experience』。8月に実施されたこのイベントは、『Astronomical』と同じ完全バーチャルなコンサートながら、アリゴの言う通り「数歩先に進む」インタラクティブな仕掛けも見られた。一つは「ルート選択式」。曲の合間にアンケート投票が実施され、視聴者が次の展開を選べるようになっていたのだ。後半の設問こそ「炎と氷のステージどちら?」といった内容だったものの、第一問目は「カエルを舐める?」だったのだから恐れ入る。加えて、オーディエンスがステージ演出に協力する展開も多く見られた。眩しい大都市を舞台にする楽曲“Blinding Lights”のパフォーマンス中には、ユーザーのコメントが表示される電子看板がそそりたったあと「ハートを送って空を照らして!」とのコマンドが出現し、無数のユーザー名つき花火がThe Weekndを包むハイライトを迎えた。冒頭で引用した歌詞の通り、目を眩ませる光の中、ファンとつながるバーチャルコンサートが成し遂げられたのである。
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『TikTok LIVE: The Weeknd Experience』における、“Blinding Lights”のパフォーマンス
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