ボカロやソロ全盛のいま、バンドをやる意味とは。NEE×PEOPLE 1

ボカロやソロ全盛のいま、バンドをやる意味とは。NEE×PEOPLE 1

2021/11/30
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:西田香織 編集:金子厚武、CINRA編集部

こむぎこ2000、coalowl……注目を集めるきっかけになったイラストレーターとのコラボレーション

―お互いのバンドに対する印象をおうかがいしたいです。

くぅ:初めて聴いたのが“フロップニク”でした。自分の好きなORANGE RANGEの雰囲気を感じて、いいなと。最初はバンドじゃないと思ったんですけど、「バンド」と書いてあって、「こういう曲をバンドでやる人がいるんだ」って、結構衝撃でした。

そのあとに“常夜燈”を聴いて、「この振り幅なに? やばい」と思いましたね。しかも、対バンをしたら、NEEは同期演奏(打ち込みに重ねて生演奏すること)を多用してるんですけど、PEOPLE 1は生でクオリティー高く演奏してるから、「客席で見てえ」って思いました(笑)。

左から:くぅ、Deu

―ライブでは同期を使わずに人力で演奏する、というのはこだわりですか?

Deu:アナログな感じは好きですね。Red Hot Chili Peppersとかも好きですし。曲は曲、ライブはライブなので、ライブというもののよさにフォーカスして曲を再構築すると、ああなるというか。ライブではその曲の一番わかりやすい部分をブーストしたいので、エモいやつはよりエモく、サイケなのはよりサイケにって考えた結果です。

―DeuさんはNEEにどんな印象を持っていますか?

Deu:“歩く花”が出たときにはリアルタイムで聴いてました。

くぅ:えー!

Deu:そのときはまだNEEという名前をちゃんと認識してたわけではないんですけど、それから少し経って、“不革命前夜”のミュージックビデオが出て。


NEE“不革命前夜”

Deu:ぼくらもそのころcoalowlというイラストレーターとタッグを組んで、“フロップニク”や“常夜燈”のミュージックビデオを一緒につくってたんですけど、こむぎこ2000さん(“不革命前夜”の映像を担当したアニメーター / イラストレーター)のことも気になっていて。


PEOPLE 1“フロップニク”


PEOPLE 1“常夜燈”

くぅ:ぼくらのミュージックビデオの前には、ルワンの“ジャイアントキリング”とかも出てましたね。


ルワン“ジャイアントキリング”

Deu:SNSのフォロワーもすごく多いし、しかも若いらしいと聞いて。“常夜燈”のミュージックビデオは総合芸術のつもりでつくって、いいものができたと思ったんですけど、その次の月にNEEとこむぎこ2000というのは、すごい組み合わせが出てきたなと思いました。

「幼稚園のときから、親の子守歌よりもRADWIMPSを聴いてました」(くぅ)

―NEEの音楽性に関してはどう感じていますか?

Deu:最近“怪獣”っていう曲を出したんですけど、それをつくってるときは……邪魔でした(笑)。

―邪魔?

Deu:すぐNEEみたいになっちゃうんですよ。NEEはかっこいい系に関しては無敵なので、大きな障害物でした。

くぅ:うれしい(笑)。

PEOPLE 1“怪獣”を聴く(Spotifyを開く

―じゃあ、「どうやってNEEを超えるか」みたいなことも考えた?

Deu:ぼくの基本スタンスとしては、戦わないんです。誰かとバッティングしたら逃げて違うフィールドに行くっていう考え方で、「NEEじゃなさってなんだろう?」と発想しました。でもRADWIMPSが好きだっていうのは超わかる。

くぅ:RADWIMPSは幼稚園のときから親の車で延々と聴いていたので、親の子守歌よりRADWIMPSを聴いてましたね(笑)。

くぅ

―RADWIMPSもまさにバンドで、生演奏のかっこよさがありつつ、音楽的にはハイブリッドでもありますよね。

くぅ:魅力は無限にありますよね。あの人たちも曲の振り幅がすごくて、みんな技術も高いし見せ方も上手い。それこそレッチリみたいに、ほぼギター、ベース、ドラムだけで聴かせたりもするし、かと思えば同期を駆使した音源も出すし、バラードもいい曲を書くし。

Deu:最近RADWIMPSめっちゃ研究したんだけど、RADWIMPSみたいな曲をつくろうと思ったら、NEEになったもん(笑)。

くぅ:あははははは。RADWIMPSはずっとリスペクトしてますね。

メンバーの勘違いや間違いから、曲が面白い方向に転がるバンドの魅力

―PEOPLE 1はDeuさんがほぼ一人で曲をつくるとのことでしたが、NEEの曲づくりはどうなのでしょうか?

くぅ:ぼくもほとんどDTMで、(音楽制作ソフトの)Logicを使ってデモをフルで完成させて、それをメンバーに投げます。そのときに「このフレーズは絶対弾いてほしい」というのは伝えるんですけど、それ以外はお任せします。やっぱり生演奏になると印象が全然変わるので、それが入ってやっとNEEになるという感じですね。

―PEOPLE 1も他のメンバーがアレンジに関与しているのでしょうか?

Deu:少しずつ他の人のエッセンスも入りつつあるけど、基本的には一人で完パケしちゃうことが多いですね。でも、“常夜燈”のTakeuchiくんはぼくがつくったフレーズどおりに叩いてないです。あの人は耳コピ力が低くて(笑)、“イマジネーションは尽きない”って曲も、デモはスネア2発だったのが、1発になってたりして。

―そうやって勘違いも含めて曲が面白い方向に転がることがバンドの魅力でもありますよね。

Deu:「バンド」を名乗っている以上、完璧にやってくれとは思ってなくて、よかったらそのままにしてます。

くぅ:自分は完璧主義なので、もしスネアが1発抜けてたりしたら、「入ってないんだけど」って言うと思う。でも、自分の「これがかっこいい」と、メンバーの「こうしたほうがいい」がぶつかることもあって、そういうときに試しもしないで進めるのはよくないなって、1stアルバムのレコーディングくらいから思ってきました。

NEE『NEE』を聴く(Spotifyを開く

くぅ:メンバーがデモとは違うフレーズを弾いているのに対して、自分のほうのギターを変えてみたら、それでかっこよくなったりとかもあって。やっぱりそういうほうが「バンドらしさ」が出るのかなと思いましたね。

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リリース情報

NEE『NEE』
NEE
『NEE』(CD)

2021年9月1日(水)発売
価格:2,970円(税込)
VICL-65546

PEOPLE 1『PEOPLE』
PEOPLE 1
『PEOPLE』(CD)

2021年11月24日(水)発売
価格:3,080円(税込)
POLY-0006

プロフィール

NEE
NEE(にー)

東京のどこかで結成。エキゾチックロックバンド「NEE」。2021年ビクター / Getting Betterよりメジャーデビュー。貴方も理解できない歌をその耳に焼き付けてハロー。

PEOPLE 1
PEOPLE 1(ぴーぷるわん)

東京を拠点に活動する音楽家Deu(Vo, G, B, Other)が、Takeuchi(Dr)、Ito(Vo, G)と共に結成したバンド「PEOPLE 1(ぴーぷるわん)」。2019年12月、1st EP『大衆音楽』の発表と同時に活動を開始。2020年9月には、2nd EP『GANG AGE』を発表。Deuが手掛けるジャンル横断的かつ文学的な楽曲と、独創的な世界観を表現したミュージックビデオ / アートワークは、「中毒性がある / エモい / オシャレでどこか懐かしい」とインターネット上で話題を集め、2021年10月時点でYouTubeで公開されたミュージックビデオの総再生回数は1,600万回、コメント数は10,000件を超えている。2021年4月28日に3rd EP『Something Sweet,Something Excellent』、同年11月24日には1stフルアルバム『PEOPLE』をリリース。

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