SNSギタリストの可能性 世界でバズを起こすIchika Nitoの歩み

SNSギタリストの可能性 世界でバズを起こすIchika Nitoの歩み

2021/10/14
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:YURIE PEPE 編集:金子厚武、CINRA編集部

「日本のメジャーな音楽を聴いているリスナーに、Diosの音楽がどう刺さるか興味がある」

―今年の3月からはたなかさんとササノマリイさんとのDiosも始動しました。日本での活動をより本格化させたいという考えもあったのでしょうか?

Ichika:あまりそういうことでもないです。まず、ぼくは基本的にずっとひとりでやってきたので、メンバーと一緒に、コンスタントに活動するということをやってみたかったのと、2人とも本当に好きなミュージシャンなので、この3人でとにかく美しいものをつくりたいというのが原動力としてあります。なおかつ、その音楽がいまの日本のメジャーな音楽を聴いているリスナーにどう刺さるかに興味があるんですよね。

Ichika

―これまで4曲が配信されていますが、手応えをどう感じていますか?

Ichika:これまで出した4曲はまだ試している段階というか、もともとメンバー3人とも個人で活動してきたアーティストなので、できることが多過ぎるんですよ。各々の選択肢が豊富にあって、それを掛け算したら出せるものが無限にある。まだ自分たちでもどれがいいのかがわかってないんです。

なので、まずは実際に行動して、その結果を考察して、フィードバックして、また仮説を立ててということを繰り返すしかないかなって。最初に出した“逃避行”と、一番最近出た“劇場”は全然違う曲調なんです。これは一回幅を広げて、自分たちにできることの全体図を見てみようっていう考え方ですね。

Dios“逃避行”を聴く(Spotifyを開く

Dios“劇場”を聴く(Spotifyを開く

―Diosの場合はあくまでターゲットを日本のリスナーと想定しているわけですか?

Ichika:そこは意識してます。日本語で歌っているのもそういうことですし。ぼくのYouTubeやInstagramをフル活用すれば、海外のリスナーも増えると思うんですけど、いまはあえて避けていて。

というのも、ミュージックビデオのコメント欄に海外の方のコメントが増えると、日本の人はコメントしづらいと感じるみたいなんです。ぼくらとしては、まず日本のリスナーに聴いてもらって、口コミで広めてほしいと思っているので、そういう動きが抑制されてしまうのは嫌だなって。

―なるほど。先に海外に名前が知れ渡ったIchikaさんならではの視点ですね。

Ichika:いずれタイミングが来たら、Diosとして海外にアプローチするのも面白いんじゃないかとは思います。でもいまはまだ3人の共通点を見つける、もしくは違う部分を認め合って、3人の親和性をより高めていく段階だと思っているんです。バンドとしての経験値が溜まってきたら、ようやく3人本来の実力が出せるんじゃないかと。

他の人と音楽をつくると、自分ですべてをコントロールできないぶん、偶然から素晴らしいものが生まれる機会もあります。ひとりでやっているとそういうことはなかったので、バンドの楽しさを感じています。

IchikaがSNSでの活動を通じて描く夢、「世界中のミュージシャンが切磋琢磨できる場所をつくりたい」

―「やりたいことがあり過ぎる」ということでしたが、先日『クラシックTV』(NHK)に出演した際、「SNSを通じて知り合った世界の音楽家とオーケストラをつくりたい」というお話をされていましたよね。

Ichika:あのときは言葉がわからなくて「オーケストラ」と言ったんですけど、たぶん「学校」に近いですね。ぼくは近くに同世代のライバル的な存在が少なかったので、切磋琢磨できるような、音楽に夢中な人間の集まれる場所が欲しいと思ったんです。いま実際メンバーを募っていますが、世界中から人が集まるコミュニティーみたいな場所になればなと思っています。

『クラシックTV』出演時にIchikaが「オーケストラ」に誘ったことを明かしていた「かてぃん」こと角野隼斗の『HAYATOSM』(Spotifyを開く

Ichika:いまはSNSとかで有名にならないと、ミュージシャンとしてなかなか食っていけないという現状があって。めちゃめちゃ才能あるのに、家庭環境とか、金銭的な問題で音楽が続けられない人がいて、それを何とかできないかと思ったんです。

これには長い時間が必要ですけど、そういう人たちに金銭的な援助をすることで、少しずつミュージシャンとしての仕事ができるようになって、最終的に独り立ちできるような、そういう団体、学校、コミュニティーみたいなかたちになればいいなって。

―やはり、SNSという場自体がIchikaさんの大きなインスピレーション源になっているわけですね。

Ichika:いまの時代は本当に自由ですよね。思ったことが実際にできちゃう。そういう意味では、すごくいい時代だと思っていて。

―もちろん、その裏側には相当な努力もあるでしょうけど。

Ichika:もちろん、それはそうです。たまたまで乗っかってしまうと、地力がないわけだから、つぶされちゃうんですよね。どこかのポジションを得られたとしても、そこに心身が追いついていないと、逆に寿命を縮めてしまいかねない。だからこそ自分の実力以上の聴かれ方をしないように、コントロールしてもいます。

―少し前に「1stアルバムがほぼできあがっている」というツイートもありましたが、それに関してはいかがですか?

Ichika:やはりアルバムは最初の集大成になると思うので、タイミングを模索しつつ、気になる部分に手を入れつつ進めています。まずはしっかり技術を磨くことを優先して、少しずつ自分の目標に向けて進んで行きたいと思います。

Ichika

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イベント情報

「The Session Eclipse」

日時:2021年10月15日(金)

①12:30開場 / 13:00開演
②18:30開場 / 19:00開演
会場:渋谷ストリームホール

プロフィール

Ichika(いちか)

イギリスのギター雑誌『Total Guitar』の読者が選ぶ「史上最高のギタリスト100選」で「現在最高のギタリスト」として8位にランクイン。2018年からはゲスの極み乙女。の川谷絵音らとインストバンド「ichikoro」でも活動している。Dream Theaterのジョン・ペトルーシなど著名なギタリストはもちろん、ゼッドやマーティン・ギャリックス、ホールジーなどの楽曲をプロデュースするジョン・カニンガムといった別ジャンルの世界的アーティストたちからも厚い支持を受けている。Ichikaの研ぎ澄まされた感性と唯一無二のギタースタイル、トーン、テクニックには、海外からも楽曲提供や楽曲参加のラブコールが絶えない。去年から始めたYouTubeは現在登録者数が169万人越えと、ワールドワイドな注目の高さがうかがえる、いま日本で際立っている知っておくべきギタリスト。

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