SNSギタリストの可能性 世界でバズを起こすIchika Nitoの歩み

SNSギタリストの可能性 世界でバズを起こすIchika Nitoの歩み

2021/10/14
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:YURIE PEPE 編集:金子厚武、CINRA編集部

カーディ・B、コダック・ブラック、マシン・ガン・ケリー、ホールジー……IchikaがかかわってきたUSの大物たち

―2020年は当初海外に拠点を移して活動する計画があったそうですね。

Ichika:ちょうど2020年の1月に『The NAMM Show』(世界最大規模の楽器見本市)のためにカリフォルニアに行って、それまでインターネットだけでやりとりしていたアーティストと一緒に作業をしたり、セッションをしたりもしたんですけど、やっぱり音楽という文化の在り方が日本と全然違うなって、肌に触れて実感したんです。


『The NAMM Show』ではCharとの共演も果たした

Ichika:向こうだとコミュニケーションの一環として家族で路上演奏をしていたり、生活の一部になっているけど、日本は音楽が嗜好品で、そもそものポジションが全然違う。だったら、向こうのほうがスピード感を持っていろんなことを得られると思ったんですけど……コロナが広がってしまって。

―向こうではどんな活動をする予定だったのでしょうか?

Ichika:そもそもInstagramでバッとファンが増え始めた頃は、自分の曲で生計を立てていたわけではなくて、海外アーティストの曲のレコーディングに参加していたんです。

LAのワーナーミュージックのA&R(宣伝、制作担当)のヘッドの方に声をかけていただいて。ラッパーのカーディ・Bとか、コダック・ブラックとか、ワーナーのアーティストの曲でギターを弾いていて、当時それがメインの仕事だったんですよね。なので、向こうに行ったらそういうことがもっとスムーズにできるなって。

Ichika

―いきなりビッグネームが続いてびっくりしてます(笑)。

Ichika:参加はしてるけど、名前は出してない曲がいっぱいあるんです。最近だと同じくラッパーのマシン・ガン・ケリーもやったし、あとジョン・カニンガムというプロデューサーとは長いこと一緒にやっていて、シンガーソングライターのホールジーの曲とか、映画『ワイルド・スピード / ジェットブレイク』(2021年)の劇伴にも参加させてもらったり。

あと仕事とは別で、最近Dream Theaterのキーボーディスト、ジョーダン・ルーデスがめちゃめちゃ気に入ってくれて、ぼくの動画のカバーを始めて。ぼくがDream Theaterのカバーをするのはわかるけど、Dream Theaterがぼくのカバーをするっていうのは一体なんなんだって(笑)。


Ichika Nito VS Jordan Rudess from Dream Theater

―元メタルキッズとしては衝撃ですよね(笑)。

Ichika:逆にヒップホップとかR&Bは、ぼくはもともとそんなに聴いてなかったんですけど、作品に参加することが多くて。それはぼくの音楽のせつなさを気に入ってもらえて、なおかつトレンドにも合ったおかげなのかなと思っています。

英語でのコミュニケーションはつたないけど、自分とは関係ないと思っていたジャンルのアーティストが自分の音楽に親和性を感じてくれて、「おまえの音楽は最高だ」と言ってくれると、そこで共通言語が生まれて、相互理解ができた気がします。

Ichika

―ただ、結果的にコロナの影響で海外に行くことはできなくなってしまった。そのことについてはどう感じていたのでしょうか?

Ichika:超楽観的なので、「それはそれでいっか」みたいな感じでしたね。日本は日本でご飯も美味しいし、いままでどおりオンラインでやればいいかなって。そもそもぼくはやりたいことが多過ぎて、寿命が足りないんですよ。だからひとつの計画がだめになっても、他にやることはたくさんある。

大学で医学の道に行った理由も、不老不死について研究したいと思ったからで、脳科学を専攻していました。ただ、世の中の天才たちがずっと不老不死について研究し続けて、それでも答えは出てないわけで、一大学生が答えを出せるわけないなって、そこはあきらめたんですけどね。

―ちなみに、アメリカに行かなかったことで始めたことのひとつとして、ハープがありますよね。

Ichika:音楽に興味を持ったきっかけが「マーリン」シリーズという、魔術師に成長していく少年を主人公にした海外の児童文学で、そのなかに竪琴が出てくるんですよ。その描写がすごく印象に残って、音楽っていいなと思ったのが最初なんです。

アメリカ行きがなくなって時間ができたときに、そういえばルーツの楽器をやってなかったと思って、始めてみたら面白くて。それこそアニメやゲームでも、昔からファンタジー世界の楽器といえばハープですしね。

佐藤千亜妃の最新作『KOE』に収録されている“愛が通り過ぎて”は、Ichikaが初めてハープを正式に録音した楽曲(Spotifyを開く

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イベント情報

「The Session Eclipse」

日時:2021年10月15日(金)

①12:30開場 / 13:00開演
②18:30開場 / 19:00開演
会場:渋谷ストリームホール

プロフィール

Ichika(いちか)

イギリスのギター雑誌『Total Guitar』の読者が選ぶ「史上最高のギタリスト100選」で「現在最高のギタリスト」として8位にランクイン。2018年からはゲスの極み乙女。の川谷絵音らとインストバンド「ichikoro」でも活動している。Dream Theaterのジョン・ペトルーシなど著名なギタリストはもちろん、ゼッドやマーティン・ギャリックス、ホールジーなどの楽曲をプロデュースするジョン・カニンガムといった別ジャンルの世界的アーティストたちからも厚い支持を受けている。Ichikaの研ぎ澄まされた感性と唯一無二のギタースタイル、トーン、テクニックには、海外からも楽曲提供や楽曲参加のラブコールが絶えない。去年から始めたYouTubeは現在登録者数が169万人越えと、ワールドワイドな注目の高さがうかがえる、いま日本で際立っている知っておくべきギタリスト。

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