SKY-HIが語る『THE FIRST』ここが自身とボーイズグループの転換期

SKY-HIが語る『THE FIRST』ここが自身とボーイズグループの転換期

2021/06/23
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:YURIE PEPE 編集:矢島由佳子、CINRA.NET編集部

オーディション参加者へ語りかける言葉はすべて自分自身にはね返ってくる

―「自分の成長」という部分についても聞きたくて、『THE FIRST』での経験がアーティストとしてのSKY-HIにどんなフィードバックを与えていると言えますか?

SKY-HI:彼らに対してなにかを話すときって、極力具体的に言語化しないといけないんですよ。ぼくが彼らに求めていることも、パフォーマンスの言語化なんです。やっぱり「なんとなく」でやるのではなくて、すべてを説明できる状態でいてほしいんですよね。

SKY-HI

―3次審査でも、思考を続けることの大事さについて語られていましたね。

SKY-HI:思考を続けることは本当に大事で、それができれば成長は止まらないんです。なんとなくのパフォーマンスは魂が宿らないし、技術は持ってるだけでなくて使い方を考えないと、見る側に刺すにもすぐ限界が来てしまうと思っています。感情や感性をフルで生かすためにも、パフォーマンスの言語化は絶対に必要。

ソロアーティストだったら、感性だけでやっててもある程度できると思うけど、ボーイズグループの場合は共有することが必要で、そのために重要なのはやっぱり言語化で。グループのみんなの見てる方向がバラバラになっちゃったり、成長が止まっちゃったりするのは言語化が足りてない状態なんです。

なにを隠そう、ぼく自身パフォーマンスは感性とか感覚でやることが多かったんですよ。さっき「自分を棚に上げて」という話をしましたけど、彼らになにかを言うたびに、それがいい意味でブーメランになって、自分にグサッと来るんですよね。SKY-HI先生が他の参加者におっしゃったことを、私SKY-HIが非常に身に染みて、「ホントそうだな」と思いながらやってるので(笑)、自分の成長も非常に大きいですね。

SKY-HI

―SKY-HIさんはインタビューでの喋りも流暢だし(笑)、『THE FIRST』を見てても参加者に的確なアドバイスを送っていて、言語化が上手な人という印象があるので、自分のパフォーマンスに関して感性や感覚重視だったというのは意外な気もします。

SKY-HI:オーディションのなかで「クオリティー、クリエイティビティー、アーティシズム」という話もよくしてますけど、それで言うと自分は「アーティシズム」、心の部分だけでやってるところが正直あったんですよね。つねに思考はしてたし、技術の底上げもしてきたけど、言語化はなかなかしてなくて、人と話したときにやっとわかったりするから、正直今回自分でもびっくりすることが多くて。

―それこそ、こういうインタビューの場で口にして気づくことってありますよね。

SKY-HI:そうそう。それを短い時間のなかで、才能のキャパがすごい子たちと繰り返しするわけなので。実際、歌だったり、ダンスだったり、一つひとつを取りだしてみると、現段階で自分よりも技術が高い子がいたりもするんです。それでも、いまパフォーマンスをして負ける気がしないのはなぜなのか? それを一個一個考えて、口にすればするほど……同時にブーメランがね(笑)。20代でそれやっとけよって自分自身に対して思います。

SKY-HI

―しかも、『THE FIRST』は多様性を肯定して、誰の個性も否定することなく向き合うじゃないですか。つまりは、それだけ多角的な考察を自分に対してもしてることになるわけで、その経験はアーティストとしてのSKY-HIの成長に間違いなくつながってるでしょうね。

SKY-HI:本当にいろんなことを考えたけど、自分の長所もたくさん見えました。ずっと自分とつき合ってると、わからなくなっちゃう部分もあるんだけど、彼らより自分がいちアーティストとして優れてる部分も客観的に見えて、彼らとコミュニケーションを取ることで自分とのコミュニケーションも取れるので、それは本当に最高ですね。

テーマソング“To The First”から見えてくる、SKY-HIの生き様

SKY-HI

―“To The First”は合宿の初日で参加者に初披露されていましたが、つまりは応募者の熱も感じたうえで、リリックが書かれているわけですよね?

SKY-HI:そうです。特にみんなの志望動機にすごく感化されました。「俺じゃん!」って思ったので。

SKY-HI“To The First”を聴く(Spotifyを開く

―既存の物差しにハマらなかった、ハマれなかった人たちというか。

SKY-HI:それが悲しくもあるんですけどね。自分は変えられてないんだなって。でも、これまでの歴史と違うことがひとつだけあるとしたら、「いまは俺がいる」ってことだと思いました。でもね、ここに来て、「俺もここにいたかったな」って思っちゃって。

―このオーディションに自分が参加したかった?

SKY-HI:これまで自分のなかのどこかの部分とちゃんと向き合ってくれる人はたくさんいたんですけど、自分の全部と向き合ってくれる人ってなかなかいなかったんですよ。

でも、BMSGはその人のありのままを受け入れる場所だから、俺が10代後半だったらここに行きたかったなってマジで思った。「なんでこのなかに俺いないんだろう?」って本当に思えるので、いいボーイズグループができつつあるんだなと心から思います。

―“To The First”はそうやって彼らに自分を重ねながら書いたわけですよね。

SKY-HI:リリックは全部そうですよ。<居場所がない 行く当てもない>とか、彼らの歌だし、俺の歌だし。<なら自分で作るさ 何でもアリ>は俺ですけど(笑)。

あらためて、自分に当てはまらない物差しでしか測られてこなかった子がいっぱいいることがわかって、日本の育成システムの問題点を感じて、「俺がやるしか」という気持ちにもなりました。

―それは既存の大きなシステムに挑むことになるわけで、怖くはなかったですか?

SKY-HI:怖いからこそ、<怖くても進め>なんですよ。いまもめちゃめちゃ怖いです。僕が挑む先は風潮であって、既存の会社や人ではないのでそこは勘違いしないでほしいですが、番組のために1億円を使って、それ以外にもオーディションで数千万使ってますし、デビューグループの制作でまた1億円くらいはかかりますから、もう自分のお金はほとんどないです。これが上手く行かなかった場合、自分の人生も終わりが見えますからね。

SKY-HI

―怖くても進む自分をいま一番突き動かしているのはなんだと思いますか?

SKY-HI:なにが一番なんだろう……でもやっぱり<this is the only way>なんじゃないですか? 「でもやるんだよ」ですよね。根本敬出ちゃいましたけど(笑)。

―あはは。

SKY-HI:このやり方以外に笑って死ねる未来が思い浮かばなかったので、マジでonly wayなんですよ。「怖し、されども腹くくり、腹くくり、されども怖し」の繰り返しで……リリックになりそうだな(笑)。

とにかく、「これは絶対当たるぜ」という感覚よりは、これを当てることが自分の人生における唯一の正解で、彼らを成功させることが、アイドルをやり、ラッパーをやり、クラブでバトルやライブを重ねて、ロックフェスに出て、ってことをやってきた自分の人生すべてに正解をあげられる唯一のアクションなんです。

SKY-HI

―“To The First”のリリックは途中まで<I know this is the only way>と繰り返しているのが最後に<We know this is the only way>になっているのも印象的で。これはさっきも言ってくれた「自分の歌であり、彼らの歌である」ということでもあると思うし、「聴き手にとっての歌でもある」ということだと思う。で、これは後づけになるけど、いまの困難なことが多い世の中において、こういう曲を必要としてる人はきっと多いだろうなって。

SKY-HI:ここからもっと広がるんじゃないかってことは確信してる。ネガティブな気持ちとか出来事って、起こってしまったこと自体は変えられないじゃないですか? でも、未来でそのネガティブなことを肯定してあげられたら、正解をあげられたら、それがやっと報われるというか。

逆に言うと、そこにしか救いがないわけですよね。起こってしまったことに目をつむらず、ネガティブに対してサンキューとリスペクトとラブをあげることを推奨したい。“To The First”はそのための歌で、音楽はやっぱりこういうものだと感じました。

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リリース情報

SKY-HI『To The First』
SKY-HI
『To The First』

2021年4月28日(水)配信

プロフィール

SKY-HI
SKY-HI(すかいはい)

2005年9月にAAAのメンバーとしてデビュー。同時期から「SKY-HI」としてマイクを握り、都内クラブ等で活動をスタート。ラッパー、シンガーソングライター、トラックメイカー、音楽プロデューサーとして活躍。2013年はSKY-HI初のワンマンショーライブツアー『SKY-HI TOUR 2013-The 1stFLIGHT-』を開始。SKY-HIのツアーでハウスバンドを務めるミュージシャンチーム「THE SUPER FLYERS」の中心に立ち、自らがバンド音源や演出、照明に至るまでプロデュースするライブツアーは毎度、完売が続出。そして2020年9月、SKY-HI自らマネジメント/レーベル「BMSG」を立ち上げ、アーティストが自分らしく才能を開花させられる環境づくりに力を注ぐ。

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