祝サブスク解禁、マイブラの魅力をアーティストが語り尽くす

祝サブスク解禁、マイブラの魅力をアーティストが語り尽くす

インタビュー・テキスト・編集
黒田隆憲
撮影:垂水佳菜

とにかくメロディーラインが素晴らしくて。コードに対してのメロディーの当て方が、どんな曲をやってもマイブラでしかない(エンドウ)

―Tamioさんは、ギターのサウンドメイキングでケヴィンに影響を受けているところあります?

Tamio:ケヴィン・シールズさんは、よくギターのネックにカポをつけるじゃないですか。あと変則チューニング。マイブラ独特の浮遊感って、レギュラーチューニングだと絶対出せない曲もあって。変則チューニングでカポをつけて空気感を出すみたいな。そういう部分ではすごく影響を受けています。

Tamio

エンドウ:とてもわかります。

Tamio:ぼく、下北沢で一度PELICAN FUNCLUBのライブを観たことがあるんですけど、開放弦を多用していますよね。スリーピースバンドだから、弦の響きがより重要になってくるんじゃないかと思っていました。

エンドウ:そうなんですよ。開放弦の揺れが気持ちいい浮遊感を出すんです。同じAのコードを弾くにしても、開放弦を使って弾きたくなりますよね。

Tamio:そうそう。じつは、いまつくっているLuby Sparksの新作でも、どの曲にも絶対に開放弦を使っています。あとは、6弦をダウンチューニングさせて弾くことは結構ありますね。メタルバンドがよく用いるチューニングなんだけど、オルタナバンドも浮遊感を出したいときとかよく用いています。Swervedriverとかもよくやっていましたね。

Luby Sparks“Birthday”を聴く(Spotifyを開く

―みなさん、マイブラのライブは観たことありますか?

エンドウ:2018年に観ました。初期の楽曲の印象はガラッと変わりましたね。“thorn”を生で聴いたときにはすごすぎて爆笑しました。「これ、ぼくがやりたかったんだけど」という嫉妬と衝撃がないまぜになって。“you made me realise”もとてつもなかったですね。

My Bloody Valentine“thorn”を聴く(Spotifyを開く

Tamio:ぼくは2013年と、2018年の2回行きました。2013年のときは新潟に住んでいたんですけど、学校には仮病を使って東京まで観に行ったんですよ(笑)。しかも、これが自分にとって生まれて初めてのライブ。なのに、会場に入る前に耳栓を配られるじゃないですか(マイブラのライブは、あまりにも轟音のため事前に耳栓が配布されることもある)。めちゃめちゃ怖かったんですよね。

一同:(笑)

Tamio:でも最初の音が鳴った瞬間、「でかい!」というより「気持ちいい」と思ったんですよね。ただ音量があがっているのではなくて、音圧の稼ぎ方がすごいんだなと。それはきっと、バンドだけでなく帯同しているスタッフの力もあるのでしょうけど。いずれにせよ最初に観たのがマイブラで、それがライブの基準になっちゃっているから、他のライブを観ても「音、ちっちぇえな」と思ってしまう。

―それはよかったのか、悪かったのか難しいですね(笑)。

菅野結以

菅野:私もTamioくんと同じで、初めて観たのは2013年の新木場コーストです。そこで「爆音」と「轟音」の違いを知りました。爆音は耳が痛くなるけど、轟音は気持ちいいんだって。ライブは「聴く」のではなく「体感」するものだなと思ったし、身体中に膜ができて台風の目のなかにいるみたいな感覚というか。ずっと音にマッサージされているみたいでしたね(笑)。“you made me realise”のノイズビット(曲中、10分以上にわたってフィードバックノイズを奏でているセクションのこと)には「永遠」を感じました(笑)。ずっと自分の記憶を辿っているようでもあったし、さっきも言ったように胎内回帰みたいな、自分のなかに潜っていく感じもありましたね。


My Bloody Valentine“You made me realise”

Natsuki:ぼくは「SONICMANIA 2018」で初めて観ました。ちょうどそのときにYuckのマックス・ブルームが、ぼくらのEP(『Luby Sparks』)のプロデュースで来日してたんです。レコーディングが終わって、メンバーとマックスと一緒にメッセまで行きましたね。マックスもマイブラが大好きで散々影響を受けているんだけど、まだライブを観たことがなかったらしくて。めちゃくちゃ興奮していました。

実際の演奏は、あれだけのヘッドライナー級の存在になっても相変わらず荒々しくて(笑)。根っこの部分にパンクとかハードコアがあって、そこの部分はずっと揺らいでいないんだろうなと思って感動しましたね。

―今回、マイブラの楽曲がサブスク解禁になりましたが、あらためて聴いてみてどう思いましたか?

エンドウアンリ

エンドウ:ぼくは『m b v』にめちゃくちゃハマりました。リリースされた2013年に聴いたときは、正直ピンとこなかったんですよ。きっと『loveless』の存在が、自分のなかであまりにも大きくなり過ぎてしまったからだと思うんですけど。でもリリースからもう8年経つじゃないですか。今回サブスク解禁になったのであらためて聴いてみたら、とにかくメロディーラインが素晴らしくて。コードに対してのメロディーの当て方が、どんな曲をやってもマイブラでしかないんですよね。

My Bloody Valentineのサードアルバム『m b v』を聴く(Spotifyを開く

Tamio:ぼくもサブスク解禁して、『m b v』をあらためて聴いていいなと思いました。

―『m b v』は、リリース当時は確かに賛否両論でしたよね。菅野さんはどうでしたか?

菅野:私はリリース当時から大好きでした。綺麗で正しくて、すごくかっこいいものが聴きたいならマイブラじゃなくてもいいと個人的には思うから(笑)。彼らの味というか、そこにしかない肌馴染み感を求めてマイブラを聴いているので、「最高だな」と思いましたね。本当にいい意味で変わっていないというか。時を経ても変に大人になったり、悟ったりせず曖昧な少年のまんまで。ケヴィンはずっと夢を見ているんだなと思ったのが、すごく励みになったんですよね。「自分もこのまま生きていける気がする!」って(笑)。

My Bloody Valentine / Photo by Steve Gullick
My Bloody Valentine / Photo by Steve Gullick

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リリース情報

PELICAN FANCLUB
『ディザイア』

2020年10月3日(土)配信

(TVアニメ『炎炎ノ消防隊 弐ノ章』第2クールエンディング主題歌)

Luby Sparks『Birthday』
Luby Sparks
『Birthday』

2020年1月15日(水)配信

My Bloody Valentine『Isn’t Anything』
My Bloody Valentine
『Isn’t Anything』

1988年11月21日(月)発売

My Bloody Valentine『loveless』
My Bloody Valentine
『loveless』

1991年11月4日(月)発売

My Bloody Valentine『m b v』
My Bloody Valentine
『m b v』

2013年2月2日(土)発売

My Bloody Valentine『ep’s 1988-1991 and rare tracks』
My Bloody Valentine
『ep’s 1988-1991 and rare tracks』

2012年5月4日(金)発売

プロフィール

PELICAN FANCLUB
PELICAN FANCLUB(ペリカンファンクラブ)

エンドウアンリ(Vo, G)、カミヤマリョウタツ(B)、シミズヒロフミ(Dr)からなるロックバンド。エンドウアンリによる「透き通るほど〈純度の高い声〉」の存在感と、散文詩のように描かれる「音のように響く歌詞」の世界―――。シューゲイザー・ドリームポップ・ポストパンクといった海外の音楽シーンとリンクしながら、確実に日本語ロックの系譜にも繋がる、洋・邦ハイブリットな感性を持つスリーピースバンド。ライブでは独自のスタイルで唯一無二の空間を創り出す、ロックシーンにおける「異端」の存在。最新曲「ディザイア」(TVアニメ『炎炎ノ消防隊 弐ノ章』第2クールエンディング主題歌)が配信中。

Luby Sparks
Luby Sparks(ルビースパークス)

Natsuki(Vo, Ba)、Erika(Vo)、Sunao(Gt)、Tamio(Gt)、Shin(Dr)の5人組。2016年3月結成。2017年7月には『Indietracks Festival 2017』(英国ダービーシャー)に日本のバンドとして唯一出演。2018年1月、マックス・ブルーム(Yuck)と全編ロンドンで制作したデビューアルバム『Luby Sparks』を発売。2018年11月、4曲入りのEP『(I’m) Lost in Sadness』をリリースしている。2019年1月には、Say Sue Me(韓国)を招き、初の自主企画ライブ『Thursday I don’t care about you』を成功させ、10月15日にはjan and naomiをゲストに迎えたTAWINGSと共同企画『Dreamtopia』を渋谷WWWで、10月25日には、Yuckを来日させ、自主企画第二弾『Yuck X Luby Sparks 2019』をLOOPで開催。これまでにThe Vaccines、The Pains of Being Pure at Heart、TOPS、NOTHINGなど、海外アーティストの来日公演のフロントアクトも数多く務めている。

菅野結以
菅野結以(かんのゆい)

雑誌『LARME』『with』などで活躍するファッションモデル。10代の頃から『Popteen』『PopSister』の専属モデルを務め、カリスマモデルと称される。2010年8月に初の著書『(C)かんの』を出版し、その後最新スタイルブック『yuitopia』まで6冊の書籍を発売。アパレルブランド「Crayme,」、コスメブランド「baby+A」のプロデュースおよびディレクションを行っているほか、TOKYO FM『RADIO DRAGON -NEXT- 』、@FM『LiveFans』では豊富な音楽知識を生かしてパーソナリティを担当している。SNSの総フォロワー数は約100万人に及ぶ。

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