大滝詠一の足跡とその言説。『ロンバケ』はシティポップなのか?

大滝詠一の足跡とその言説。『ロンバケ』はシティポップなのか?

2021/03/26
テキスト
村尾泰郎
imdkm
メイン画像:井出情児 リードテキスト・編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)

「『A LONG VACATION』40周年記念盤は、2021年の時点で流通している全ての音楽記録媒体でリリースする」。

日本のポピュラー音楽の歴史における立役者にして、『A LONG VACATION』の生みの親・大滝詠一は2011年当時にスタッフらにこう話していたのだという。しかしながら大滝自身はこのハレの日を迎えることが叶わず、惜しくも2013年12月30日にこの世を去ってしまった。

2021年3月21日、リリースから40周年を迎えた大滝詠一『A LONG VACATION』。日本ポップス史に燦然と輝く永遠の金字塔として、また世界初の商業用CDの第一号作品として知られる同作を含む、「ナイアガラ・レーベル」から発表された大滝詠一名義の全作品、177曲がSpotifyをはじめとするストリーミングサービスで聴けるようになった。

『A LONG VACATION』は2021年時点で300万枚以上を売り上げており、さらにはオープニングトラック“君は天然色”が何度となくCMソングとして起用されていたこと、あるいはフジテレビ系列月9ドラマ『ラブ ジェネレーション』に“幸せな結末”が主題歌として使用されたことも手伝ってか、大滝詠一の手掛けた「ポップソング」は世代を超えて広く愛されている。実際、1991年生まれの筆者にとっても「両親の運転するカーステで『ロンバケ』のカセットを聴いていた」という同世代の話を折に触れて耳にしてきた。

前置きが長くなってしまったが、この記事の目的は『A LONG VACATION』の全貌を明らかにするところにはなく、どちらかというと同作を入り口に大滝詠一の音楽に出会ったリスナーにその「ポップサイド」以外の側面に触れてもらうことにある。今回、合評形式で「『A LONG VACATION』はシティポップなのか?」「日本のポップス史に息づく大瀧詠一イズムについて」というテーマで、村尾泰郎とimdkmに執筆を依頼し、それぞれその存在に向き合っていただいた。

『A LONG VACATION』の深淵を覗き見たい、大滝詠一のクリエイティビティの真髄に接したいという方は、ぜひ40周年盤のDISC2収録の『Road to A LONG VACATION』(大滝自身がDJスタイルで語る『A LONG VACATION』誕生秘話)や、または『大滝詠一 Talks About Niagara コンプリート・エディション』、『増補改訂版 オール・アバウト・ナイアガラ』、『大瀧詠一Writing & Talking』といった書籍(一部入手困難ではありますが……)にあたっていただければと思う。この記事があなたにとって、大滝詠一の新たな一面に出会うきっかけとなれば幸いだ。

▼参考文献
『大滝詠一 Talks About Niagara コンプリート・エディション』(2014年、ミュージックマガジン)
『大滝詠一 スクラップ・ブック』(2015年、ミュージックマガジン)
『増補新版 大瀧詠一』(2012年、河出書房新社)
『Pitchfork』The Endless Life Cycle of Japanese City Pop(外部サイトを開く

大滝詠一(おおたき えいいち) / 撮影:井出情児<br>1948年7月28日岩手県生まれ、2013年12月30日没。高校卒業後上京し、1970年に細野晴臣、松本隆、鈴木茂と、はっぴいえんどを結成。1972年の解散後、自身のレーベル「ナイアガラ」を設立。1981年に、オリジナルソロアルバムとしては5枚目にあたる『A LONG VACATION』を発表。そのほかプロデュースや楽曲提供などで数々のヒット作やスタンダードポップスを生み出し、日本のポピュラー音楽界に大きな影響を残す。
大滝詠一(おおたき えいいち) / 撮影:井出情児
1948年7月28日岩手県生まれ、2013年12月30日没。高校卒業後上京し、1970年に細野晴臣、松本隆、鈴木茂と、はっぴいえんどを結成。1972年の解散後、自身のレーベル「ナイアガラ」を設立。1981年に、オリジナルソロアルバムとしては5枚目にあたる『A LONG VACATION』を発表。そのほかプロデュースや楽曲提供などで数々のヒット作やスタンダードポップスを生み出し、日本のポピュラー音楽界に大きな影響を残す。

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リリース情報

大滝詠一『A LONG VACATION 40th Anniversary Edition』
大滝詠一
『A LONG VACATION 40th Anniversary Edition』(2CD)

2021年3月21日(日)発売
価格:2,750円(税込)
SRCL-12010

[CD1]
1. 君は天然色
2. Velvet Motel
3. カナリア諸島にて
4. Pap-pi-doo-bi-doo-ba物語
5. 我が心のピンボール
6. 雨のウェンズデイ
7. スピーチ・バルーン
8. 恋するカレン
9. FUN×4
10. さらばシベリア鉄道

[CD2]
『Road to A LONG VACATION』
※大滝詠一のDJスタイルで語る貴重音源満載の『A LONG VACATION』誕生秘話

プロフィール

大滝詠一(おおたき えいいち)

1948年7月28日岩手県生まれ、2013年12月30日没。高校卒業後上京し、1970年に細野晴臣、松本隆、鈴木茂と、はっぴいえんどを結成。1972年の解散後、自身のレーベル「ナイアガラ」を設立。1981年に、オリジナルソロアルバムとしては5枚目にあたる『A LONG VACATION』を発表。そのほかプロデュースや楽曲提供などで数々のヒット作やスタンダードポップスを生み出し、日本のポピュラー音楽界に大きな影響を残す。

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