millennium parade常田大希は個を突き詰め、花火を打ち上げる

millennium parade常田大希は個を突き詰め、花火を打ち上げる

インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:西田香織 編集:久野剛士(CINRA.NET編集部)

常田大希率いるmillennium paradeが、1stフルアルバム『THE MILLENNIUM PARADE』をリリースした。King Gnuの首謀者としてこの国のメインストリームを席巻している彼にとって、millennium paradeとはあくまでも「裏側」にある活動だと思われる人もいるかもしれないが、そうではない。

このmillennium paradeもまた常田大希にとってのひとつの「王道」であることが、きっとこのアルバムを聴けばわかるだろう。そのくらい威風堂々とした、濃密なフルアルバムだ。それは「祭り」をテーマとした、スピリチュアルで、それでいてパーソナルな世界。どこまでも根源的で大きく、同時に、どこまでも孤独で小さい……そんな不思議な感触は、「東京を世界に発信する」というプロジェクトのコンセプトの根幹にある思想からも伺える。ストリーミングを使って世界に日本の音楽を発信する役割を担うSpotifyが関わるKompassで、このアルバムの背景にある、個が世界に繋がるという感覚について、常田大希に語ってもらった。

常田が「個」としての音楽性を突き詰めて達する、壮大な音楽性

―2年半前くらいに僕が初めて常田さんに取材させていただいたとき、常田さんは「大勢の人に求められることが、自分のクリエイティビティにどういうふうに作用するのか、怖くもある」ということを仰っていて(参考:King Gnu常田大希の野望と目論み 次の時代を見据える男の脳内)。

常田:言ってましたね。

―あれから2年半が経ち、まさに大勢の人に求められる状況になっている今、実感としてはどうですか?

常田:今は、ポジティブなエネルギーとして、いろんな外的な要因とも繫がれている感覚はありますね。単純に鳴らす音も広げることができているし、それがフィットする会場サイズにもなってきたし。もちろんネガティブなこともあるのかもしれないけど、それは年々目に付かなくなってきたかな。

常田大希(つねた だいき)<br>バンド「King Gnu」 のメンバーとして活動するほか、音楽だけでなく映像やビジュアル、空間演出などトータルなクリエイティブを行うコレクティブであるPERIMETRON及び、海外に向けた活動を志向する音楽プロジェクトmillennium paradeとして活動。2月10日、millennium paradeの1stアルバム『THE MILLENNIUM PARADE』をリリースする。
常田大希(つねた だいき)
バンド「King Gnu」 のメンバーとして活動するほか、音楽だけでなく映像やビジュアル、空間演出などトータルなクリエイティブを行うコレクティブであるPERIMETRON及び、海外に向けた活動を志向する音楽プロジェクトmillennium paradeとして活動。2月10日、millennium paradeの1stアルバム『THE MILLENNIUM PARADE』をリリースする。

―メディアに出ている姿を見ても、最近の常田さんの話す言葉は、すごく外に向いているというか。

常田:うん、うん。

―遠くの人にまで届くような言葉を意識的に選ばれている印象もあります。

常田:自分がどういう類のアーティストかと意識したときに、やっぱりポップアーティストだなっていう自覚は持っているので。ポップっていうのも、「J-POPアーティスト」っていうことではなく、あくまでも「ポップアートをやる人間」っていうことなんだけど。

―ポップアートと言うと、アンディ・ウォーホルのような?

常田:そうそう。ウォーホルとか、バスキアとか……まあ、ウォーホルが近いかな。自分はそういう類のアーティストだという自覚ができた分、昔よりも考え方は整理整頓されているかもしれないですね。

常田大希

―ただ、ウォーホルのようなポップアートというのは、「ポップ」というものに対して批評的である、ということでもありますよね。

常田:うん、もちろん。別に、自分がこういう立場になったからといって世界が変わったとか、今の音楽シーンは素晴らしい、みたいなポジティブな認識もないので。そういう意味でも、自分のやっていることは流行りに沿っているようなことではないなと思うんです。

今回の作品(アルバム『THE MILLENNIUM PARADE』)なんかも、“Trepanation”はミニマムな編成ですけど、とはいえ、オーケストラ的な大編成の音像が全曲に散りばめられている。大編成のサウンドが今の流行りかと言われればそうではないからね。そういう意味では、俺の個人的な志向性が色濃く反映された結果かな。

millennium parade“Trepanation”を聴く(Spotifyを開く

―「個人的なもの」が「大編成」であるというところが常田さんの特殊さですよね。自分自身を掘っていったときに、内省的で密室的な、閉ざされたものになるというよりは、「一は全、全は一」の感覚というか、より拡張された表現になっていくという。

常田:うん、そこはちょっと変わっているところだと思う。やっぱり、中学生くらいの頃に映像で見た『ウッドストック・フェスティバル』(1969年に開催された伝説のロックフェス)の風景が心に残っているのかな。あれで自分の人生は変わったし、聴く音楽も作る音楽も変わったな、という感覚があるので。

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リリース情報

millennium parade
『THE MILLENNIUM PARADE』通常盤(CD)

2021年2月10日(水)発売
価格:3,300円(税込)
BVCL-1136

1. Hyakki Yagyō
2. Fly with me(Netflix Original『攻殻機動隊 SAC_2045』主題歌)
3. Bon Dance
4. Trepanation
5. Deadbody
6. Plankton
7. lost and found(『DIOR and RIMOWA』コレクションムービーテーマ音楽)
8. matsuri no ato
9. 2992(NHKスペシャル『2030 未来への分岐点』テーマ音楽)
10. TOKYO CHAOTIC!!!
11. Philip(『adidas CASUAL Collection 2020 Fall/Winter』)
12. Fireworks and Flying Sparks
13. The Coffin
14. FAMILIA(綾野剛主演映画『ヤクザと家族 The Family』主題歌)

[Blu-ray](完全生産限定盤・初回生産限定盤のみ)
millennium parade Live 2019@新木場Studio CoastからFly with me, Slumberland, Plankton, lost and foundの4曲&ミュージックビデオを収録。

プロフィール

常田大希(つねた だいき)

バンド「King Gnu」のメンバーとして活動するほか、音楽だけでなく映像やビジュアル、空間演出などトータルなクリエイティブを行うコレクティブであるPERIMETRON及び、海外に向けた活動を志向する音楽プロジェクトmillennium paradeとして活動。2021年2月10日、millennium paradeの1stアルバム『THE MILLENNIUM PARADE』をリリースする。

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