Spotify「Liner Voice+」アルバムにこだわり、作品の背景を伝える

Spotify「Liner Voice+」アルバムにこだわり、作品の背景を伝える

2021/03/03
インタビュー・テキスト
小林千絵
撮影:大畑陽子 編集:久野剛士(CINRA.NET編集部)

アーティストの声を届ける新プロジェクト。その展望を聞く

―「Liner Voice+」の今後の展開はどのように考えていますか?

芦澤:定期的に出していきたいと思っています。先ほどもお話しした通り、タイミングが難しくはありますが、数か月に1回は新しいエピソードを出せるようにと考えています。

―今回はシンガーソングライターでしたが、そこに限定することもなく?

芦澤:はい。アルバムの裏側にあるストーリーを見せるというのがこのプレイリストのコンセプトなので、アーティストの形態やジャンルは限定しません。たとえばバンドだったらメンバー間の役割や関係性もあるでしょうし、提供してもらった楽曲をパフォーマンスするシンガーの方であれば、込める想いや表現のこだわりなどがあると思うので。1つのジャンルに限定せず、幅広いアーティストに焦点を当てたいなと思っています。

―音声だと、どうしても文字では伝えきれないメンバー同士の空気感や、インタビュアーとのやりとりなども伝えられますしね。

芦澤:そうなんですよね。素のおしゃべりに近い姿や、聞かれた言葉に対して考えて発する様子など、なるべくそのままの姿を伝えていけたらと思っています。

芦澤紀子

―今後やってみたいアーティストの特徴などはありますか?

芦澤:これまで「Early Noise」に選ばれたアーティストで実現できたらいいですね。過去に「Early Noise」に選ばれて、Spotifyと一緒にキャリアを歩んできたようなアーティストが、満を持してフルアルバムを出すタイミングに「Liner Voice+」ができたらうれしいなと思います。

―Spotifyが関係性を築いてきたからこそ聞けるエピソードもありそうですね。

芦澤:はい。ほかにも、普段あまり自分の言葉で作品について語ることのないアーティストのインタビューも聞いてみたいし、逆にいろんなところで語っているアーティストの「こんなに楽しそうに話しているのは聞いたことがない!」というものを実現させられたらいいなとも思います。そういう点で、インタビュアーとの組み合わせにもこだわっていこうと考えています。

あと最近は、単曲の配信リリースを積み重ねて、その集大成がアルバムになるアーティストも多い。そういうアーティストがアルバムというパッケージに込めている思いや考えも聞いてみたいですね。

―確かに「ストリーミングサービス世代」のアルバムに対する考え方など聞いてみたいですね。海外には「Liner Voice+」のようなサービスはあるのでしょうか?

芦澤:日本発信のコンテンツではまだローンチされていないのですが、欧米諸国および一部のマーケットでは「Shows with Music」というフォーマットが、Spotifyの中で使えるようになりました。「Shows with Music」はトークコンテンツのエピソードの中にライセンス処理をした状態の楽曲を組み込んだもので、「Liner Voice+」にかなり考え方は近いと思います。ちょうど先月Tame Impalaがそのフォーマットを使って新作について語っていて。

「Liner Voice+」のローンチのタイミングとの一致は本当に偶然なのですが、「音楽軸のトークコンテンツで、よりSpotifyの独自性を出せるものを」と考えていくと行き着く形なのかもしれないですね。

Tame Impala『The Slow Rush: A Deep Dive with Kevin Parker』を聴く(Spotifyを開く

―現在、音声コンテンツの配信アプリやSNSなどが急増していますが、芦澤さんは音声コンテンツにどのような可能性を感じていますか?

芦澤:今は映像を使ったメディアや動画投稿サービスなども流行っていますが、映像を見るとなると、ユーザーの意識を集中させないといけないんですよね。なにかをやりながら動画を見るというのは基本的にできない。音声コンテンツは耳さえ空いていればいいので、なにかをしながら楽しむことができます。移動しながらはもちろん、料理をしながら、掃除をしながら、お風呂に入りながら、音声の種類によっては作業や勉強をしながらも可能ですし、眠るときのお供にということもある。ながらでも楽しめる一方で、耳から入る音声情報は記憶に残りやすい面もあります。

生活のいろいろな場面で、その人のサイクルにあわせられるということに可能性を感じます。Spotifyで言うと、スマホ、パソコン、ホームスピーカーなど対応しているデバイスも自由度が高いので、その人の生活の好きな場面で、好きなものに気軽に手を伸ばせるというところが最大の魅力だと思います。好きなときに、「Liner Voice+」で音楽やアーティストのおしゃべりを楽しんでもらいつつ、新たな発見をしてもらえたらうれしいです。

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サービス情報

Spotifyプレイリストシリーズ「Liner Voice+」

ニューアルバムをアーティスト本人の語りと共に楽しむ音声インタビュー入りプレイリスト。アルバムに込めた想いや制作エピソードを深く掘り下げ、より多角的に作品を堪能できる機会を提供する。

プロフィール

芦澤紀子(あしざわ のりこ)

ソニーミュージックで洋楽・邦楽の制作やマーケティング、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)で「PlayStation Music」の立ち上げに関わった後、2018年にSpotify Japan入社。

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