Nulbarich×Vaundy対談 曲作りに秘められた頭脳戦

Nulbarich×Vaundy対談 曲作りに秘められた頭脳戦

インタビュー・テキスト
天野史彬
編集:久野剛士(CINRA.NET編集部)

驚きのコラボレーションである。NulbarichとVaundy。独自の価値観とクリエイティビティーを駆使しながら、現在、日本のポップスシーンの最前線をひた走るこの2組が、1曲を通してまさかのクロスオーバーを果たした。その曲は、Nulbarichの新曲として発表された“ASH feat. Vaundy”。10月28日に配信シングルとしてリリースされた本楽曲は、Vaundyと今年、アメリカ・LAに生活の拠点を移したNulbarichのJQが、リモート体制の中でデータのやり取りを重ねながら生み出したという1曲。さらに、同曲のn-buna(ヨルシカ)によるリミックスも同時に配信がスタート。現在の日本のポップス界でも高い人気を誇りながら、それぞれが異なるバックグラウンドを持ち、同時に「謎」に満ちたベールを纏う3組。そんな彼らが急に交わり、肉弾戦をおっぱじめたような、唐突で新鮮なアクション……それが、“ASH”なのだ。

この衝撃のコラボの全貌を探るべく、JQとVaundyの対談を敢行した。片や、独自のバンド理論と共に、ブラックミュージック隆盛以降の日本のポップスの在り様を大きく刷新したNulbarichのJQ。片や、確信犯的なデザインセンスで、現在、お茶の間にまでそのロジカルなポップスを浸透させている新世代クリエイターのVaundy。共に自身のクリエイティブをコントロールするプロデューサー的な視点を持ちながらも、まったく異なるアウトプットをしているふたりの対談は、取材の始まりから終わりまで、まったく言葉の尽きない怒涛のトークセッションとなった。それぞれの音楽作りに対する根本的な価値観も垣間見えた充実の対談、楽しんでほしい。

気になる人の思考回路を探りたい。JQのコラボの目的

―NulbarichとVaundyがコラボすると知ったとき、かなり意外な組み合わせだなと思いました。どのような経緯で実現したのでしょうか?

JQ:そもそもの話として、Nulbarichはこれまでコラボレーションを視野に入れてこなかったんです。それはNulbarich自体をちゃんと確立させることが先決だったからなんですけど、今年から僕が居住の拠点をLAに移したこともあって、Nulbarichもセカンドフェイズに入っていくような感覚があって。

そうなったときに、自分たちだけでギュッと固まっているよりは、気になる人の脳みそを探りにいきたいなと思うようになったんですよね。じゃあ、誰かの脳みそを覗くにはどうするのがいいかというと、一緒に曲を作るのが一番いいんです。音楽家同士なら、それが一番、相手の脳みそが見える。そこで、今一番、誰の脳みそが見たいだろう? と考えたときに、Vaundyくんが思い浮かんだんですよね。これだけ若くて、ここまでバシバシに活躍しているやつの脳みそ見てやろうと(笑)。

Nulbarich(なるばりっち)<br>シンガーソングライターのJQがトータルプロデュースするバンド。ソウル、ファンク、アシッドジャズなどをベースにした音楽性が特徴で、メンバーは固定されず、そのときどきに応じてさまざまな演奏形態に変化する。
Nulbarich(なるばりっち)
シンガーソングライターのJQがトータルプロデュースするバンド。ソウル、ファンク、アシッドジャズなどをベースにした音楽性が特徴で、メンバーは固定されず、そのときどきに応じてさまざまな演奏形態に変化する。

Vaundy:(笑)。

JQ:それで、コンタクトをとったんです。Vaundyくんは自分で自分の曲をワンオペで作れる人間だけど、僕もそういうタイプなんですよね。世代も、育ってきた環境も違うけど、軸としてやっていることが基本的に一緒。そこが面白いなと思ったんです。

『This Is Nulbarich』を聴く(Spotifyを開く

―2組のコラボ曲である“ASH”は、どのようにして作られていったのでしょうか?

JQ:一応、「フィーチャリング」と銘打ってはいますけど、ほとんど「共作」と言っていい感じです。僕にとって、今回のコラボの目的はVaundyくんの頭の中を覗くことのわけだから、花を添えてもらうようなコラボではダメだったんですよね。お互いが侵食しにいくくらいの気持ちで、一緒に曲を作ってみたくて。

Vaundy:とりあえず殴り合う感じでしたよね(笑)。データのやり取りは、ほとんど無言の投げ合いで。

Vaundy(ゔぁうんでぃー)<br>作詞作曲からアレンジまでを自身で担当し、アートワークのデザインや映像もセルフプロデュースする20歳のマルチアーティスト。
Vaundy(ゔぁうんでぃー)
作詞作曲からアレンジまでを自身で担当し、アートワークのデザインや映像もセルフプロデュースする20歳のマルチアーティスト。

『This Is Vaundy』を聴く(Spotifyを開く

JQ:僕らの場合、プロデューサー同士だからこその難しさもあったと思うんですよ。冷静に考えたら、頭の中に世界を創造できる人同士がひとつの建築物を作ろうとしたときに、お互いの欲を出し合って絶対に成立するわけがないんです。でも、今回のコラボはそれが奇跡的に上手くいったんですよね。

Vaundy:きっと、時代が時代だったら無理だったと思います。今の僕たちって、DTMを使って自分ですべてを作ることができるじゃないですか。お互いが、メロ作りとか、編曲とか、曲作りの全般的な部分を自分で担える者同士だった。だから、どちらかがなにかを投げ出しても、相手が絶対に完成させてくれるっていう安心感もあったと思うんですよね。なにを任せても、曲は絶対に完成するっていう。それがあったからこそ、今回のコラボは成功したのかなと思うんです。

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リリース情報

Nulbarich
『ASH feat. Vaundy』

2020年10月28日(水)配信

1. ASH feat. Vaundy
2. ASH feat. Vaundy(n-buna from ヨルシカ Remix)

イベント情報

『Nulbarich Live Streaming 2020 (null)』

2020年12月22日(火)
開場19:30 / 開演20:00

出演:
Nulbarich
Vaundy

料金:3,500円(税込)
視聴券販売期間:11月21日(土)12:00 〜 12月28日(月)19:00

サービス情報

Spotify

・無料プラン
6000万を超える楽曲と40億以上のプレイリストすべてにアクセス・フル尺再生できます

・プレミアムプラン(月額¥980 / 学割プランは最大50%オフ)
3ヶ月間無料キャンペーン中

イベント情報

『Spotify presents Tokyo Super Hits Live 2020』

2020年11月26日(木)20:00からStreaming+で生配信

出演:

Perfume
End of the World
[Alexandros]
ビッケブランカ
Vaundy
マカロニえんぴつ

料金:3,500円

プロフィール

Nulbarich
Nulbarich(なるばりっち)

シンガーソングライターのJQがトータルプロデュースするバンド。ソウル、ファンク、アシッドジャズなどをベースにした音楽性が特徴で、メンバーは固定されず、そのときどきに応じてさまざまな演奏形態に変化する。2016年6月にタワーレコードおよびライブ会場限定の1stシングル「Hometown」、10月には1stフルアルバム「Guess Who?」をリリース。その後は積極的なライブ活動を行いながら、「H.O.T」「Blank Envelope」の2枚のアルバムを発表した。2019年11月にミニアルバム「2ND GALAXY」をリリース。12月にはバンド史上最大キャパとなる埼玉・さいたまスーパーアリーナでワンマンライブ「Nulbarich ONE MAN LIVE -A STORY-」を開催する。2020年10月にはVaundyとのコラボ曲「ASH feat. Vaundy」を配信リリース。カップリングのリミックスは、ヨルシカのn-bunaが手がけた。

Vaundy
Vaundy(ばうんでぃー)

作詞作曲からアレンジまでを自身で担当し、アートワークのデザインや映像もセルフプロデュースする20歳のマルチアーティスト。2019年秋頃からYouTubeに楽曲を投稿し始め、「東京フラッシュ」「不可幸力」のYouTubeでの再生回数が1500万回を突破するなどSNSを中心に話題を集める。2020年5月に、Spotify Premium のテレビCMソング「不可幸力」やFODオリジナルドラマ「東京ラブストーリー」の主題歌「灯火」などを収めた1stアルバム「strobo」を発表。10月には東京・Zepp Haneda(TOKYO)にて自身2度目となるワンマンライブを開催した。そのほかラウヴのグローバルリミックスアルバム「~how I'm feeling~(the extras)」に参加するなど、日本のみならず海外に向けての活動も積極的に行っている。11月3日には初のアナログ盤「strobo+」をリリース。

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