西寺郷太が感じたPodcastの可能性 新しい発見との出会いを求めて

西寺郷太が感じたPodcastの可能性 新しい発見との出会いを求めて

インタビュー・テキスト
村上広大
撮影:鈴木渉 編集:久野剛士(CINRA.NET編集部)

新しい音楽の聴き方を提示する、プレイリスト作り

―現在、文藝春秋digitalで『'90s ナインティーズ』という小説を連載してらっしゃいますが、文末にプレイリストを掲載していますよね。郷太さん自身がメディアを横断しながら活動することはどんな意味を持つのでしょうか?

西寺:人に何かを説明したり、伝えたり、分かち合うことは小学生の頃から好きで。友達から空のカセットをもらって、好きな曲を入れてプレゼントしていました。まさに今でいえばプレイリストですよね。それで「これってどういう曲なの?」と聞かれたら嬉しくて。音楽それ自体のみだけでなく、誰かと共有するのが元々好きなんでしょうね。

『西寺郷太 「90's ナインティーズ」文藝春秋Digital』プレイリストを聴く(Spotifyを開く

『西寺郷太のGOTOWN Podcast』第3回を聴く(Spotifyを開く

『GOTOWN Podcast Playlist: GOTA & TAKUYA “'90s SHIBUYAKEI or Not 40”』プレイリストを聴く(Spotifyを開く

―それでいうと、『GOTOWN Podcast』も各回でプレイリストを公開していますよね。

西寺:はい。各回のゲストと一緒に40曲、最近は20曲くらい選んでいます。1週間ごとに更新していくんですけど、過去のプレイリストはNONA REEVESのWebサイトにアーカイブ化するようにしていて。ただ最近無限に数が増えるとかえってわかりにくいかなと調整はしていますが。

この前、6月7日配信は、ちょうどプリンスの誕生日で。彼の出身地で本拠地のミネアポリスで「ジョージ・フロイド事件」が起こり全米各地に飛び火する中、僕がお勧めする「91年以降、2016年に亡くなるまでのプリンス」という括りでプレイリストを制作しました。

『GOTOWN Podcast Playlist: Prince 1991-2016 GOTA's Favorite 2020』プレイリストを聴く(Spotifyを開く

―どうしても、日本で「プリンス」というと1980年代のイメージが強く感じてしまいます。

西寺:1990年代に突入してから、プリンスはデビュー以来所属したワーナーを離れ、なかなか日本でも作品を体系的に追うのが難しくなりました。今、Spotifyでこうして聴けるのは一つ新しい世代ならではの楽しみだと思ってます。プリンスはクセが強いですが、意外に「今」聴くと素直にファンになれるのは、この中期から後期ではないかとも思っていますのでプレイリストで是非。

―世代やジャンルを跨いで、別の角度から改めて音楽を聴くことができるのがストリーミングの時代なんですね。

西寺:ですね。なので今10代前半の若い世代が楽しみですよ。第2回では、『ヒプマイ』の回と同じゲストで「マイケル・ジャクソン」をテーマにトークを展開したんですが、もしかしたら『ヒプマイ』から入ってThe Jacksonsを好きになる人もいるかもしれない。僕が『ヒプマイ』に提供した“Break The Wall”のサウンドはかなりThe Jacksons的ですから。ここで初めて「こんな音楽があったのか!」とハマってくれる世代も多いかと。

『西寺郷太のGOTOWN Podcast』第2回を聴く(Spotifyを開く

『GOTOWN Podcast Playlist: GOTA & KURO "Michael Jackson 20/20" 』を聴く(Spotifyを開く

―ともにSpotify公式Podcastということで、先ほど挙げられた田中宗一郎さんの『POP LIFE: The Podcast』は気になるところなのでしょうか?

西寺:どうなんだろう。宇野さんもそうなんですけど、交流を持つようになってここ数年、歳下の僕がいうのもなんですが音楽を通じて真剣にぶつかり合える「友達」のようなシンパシーを感じているのは事実ですね。真逆の角度から音楽を愛してきて、全然別のルートで山を登ってきたら山頂にいた人たちって感じです(笑)。「おーっ! 名前は聞いたことあります!」みたいな。

西寺郷太が出演した『POP LIFE: The Podcast』の第32回を聴く(Spotifyを開く

―どちらかというと、田中宗一郎さんは幅広く興味を広げるタイプで、西寺さんは絞られたテーマを深堀りしていくタイプなのかなと感じます。

西寺:そうかもしれないですね。僕はミュージシャンなんで、やはり自分が作る音楽に最も興味がありますから。当然ですが。タナソウさんは編集者なので、幅広くいろんな音楽を聴かれ、文化に触れ、文字や言葉で伝える能力のエキスパートですよね。あと『POP LIFE: The Podcast』パートナーの三原勇希さんの才能を活かす場を作り上げられたことは、流石「編集長」だと思いますね。彼女がプロデュースした女性回は絶対に今この国に必要なベクトルで、そういった意味で僕も勉強になります。

―そうやって、最終的にいろいろ繋がっていくからインプットとアウトプットが必要なんですね。

西寺:そうです、そうです。それが僕はもちろん、リスナーにとってもインプットとアウトプットになればいいですね。『GOTOWN Podcast』は今後の僕のライフワークになる、大切に守っていきたい番組です。

『西寺郷太 Works』を聴く(Spotifyを開く

Page 3
前へ

リリース情報

『西寺郷太のGOTOWN Podcast』

NONA REEVESの西寺郷太がパーソナリティを務めるSpotifyオリジナル・ポッドキャスト。西寺自身が「インプット・アウトプット」をテーマに掲げ、音楽はもちろん、政治、歴史、映画、書籍など自由自在なトークを展開。テーマにちなんだゲストを招き、深く知る話を展開(アウトプット)しつつも、ゲストを迎えて新たな視点を吸収(インプット)。リスナーの興味・知識をくすぐる番組を目指している。

プロフィール

西寺郷太(にしでら ごうた)

1973年東京生まれ京都育ち。早稲田大学在学時に結成したバンド「NONA REEVES」のシンガー、メイン・ソングライターとして、1997年デビュー。以後、音楽プロデューサー、作詞・作曲家としても少年隊、SMAP、V6、YUKI、鈴木雅之、岡村靖幸、私立恵比寿中学などの多くの作品、アーティストに携わる。日本屈指の音楽研究家としても知られ、近年では特に80年代音楽の伝承者としてテレビ・ラジオ出演、雑誌連載など精力的に活動。マイケル・ジャクソン、プリンスなどの公式ライナーノーツを手がける他、執筆した書籍の数々はベストセラーに。代表作に小説『噂のメロディー・メイカー』(扶桑社)、『プリンス論』(新潮新書)など。現在「文藝春秋digital」にて半自伝的小説『'90s ナインティーズ』他、多数メディアで連載中。

Category カテゴリー

Latest Articles 最新の記事

What's "Kompass" ? コンパスとは

「Kompass」は、ネットメディア黎明期よりカルチャー情報を紹介してきたCINRA.NETと、音楽ストリーミングサービスの代表格Spotifyが共同で立ち上げた音楽ガイドマガジンです。ストリーミングサービスの登場によって、膨大な音楽ライブラリにアクセスできるようになった現代。音楽の大海原に漕ぎだす音楽ファンが、音楽を主体的に楽しみ、人生の1曲に出会うガイドになるようなメディアを目指し、リスニング体験を交えながら音楽の面白さを紹介しています。