小西遼ソロプロジェクト・象眠舎が探求する、人間が変容する感動

小西遼ソロプロジェクト・象眠舎が探求する、人間が変容する感動

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影(写真提供):垂水佳菜 編集:矢島大地(CINRA.NET編集部)

日本に戻ってきて、いろんな人と出会って、巡り巡って、象眠舎のもとに帰ってきた感じがしたんですよね。

―今おっしゃったことは、“Mirror”に参加しているTENDREや、“Sunset”のSarah Furukawaさんにも言えることでしょうね。

小西:そうですね。一回腹割って話した間柄の人たちとまずやってみたかったというか。それってちょっとこっぱずかしい作業ではあるんです。今までは酒の席で「今日も楽しかった。またやろうぜ!」みたいに言ってた人に、「僕はこういう想いでやっていて」っていうことを伝えるわけだから。服を一枚脱ぐみたいな(笑)。でも、それでも一緒にいたい人たちだし、あとは何より歌がいいから呼びました(笑)。超大好き。3人とも一聴して惚れた人たちで、何回聴いても悔しいくらい最高ですからね。

象眠舎『Sunset blvd feat. Sarah Furukawa』を聴く(Spotifyを開く

象眠舎『Mirror frat. TENDRE』を聴く(Spotifyを開く

―“Lycoris”と同時にもう一曲、Sarah Furukawaさんをフィーチャーした“Sunset”も発表されますが、これは急遽作られた一曲だそうですね。

小西:今回のコロナウイルスの騒動でいろんなスケジュールに変化があった中、「もう一曲作ろう」ってなって、最初はスタジオに集まって、一日でコライトで作る算段だったんです。でも、外に出ることさえできなくなって、「じゃあ、このタイミングでリモートコラボレーションに挑んで、作品作りをしよう」ということになり、僕、モリタさん、Sarah、トラックのプログラミング兼ギタリストのデンダノブヒロの4人で作りました。象眠舎としては初めて歌詞やメロディを4人で作り、トラックそのものはモリタさんとデンダさんの力で完成しました。完成した後に、その完成度にすごく感動したんです。でも、「これを象眠舎として出すことにどんな意味があるんだろう?」っていうのは思ったんですよね。

―「ソロプロジェクト」として考えると、確かに異質ではありますね。

小西:ただ、自分で舵を取って、最終決定は僕が下して、プロデューサー的な立ち位置で作って行くと、自分一人で作ったわけではなくても、間違いなく自分の作品だなって思えたんです。モリタさんにも「小西くんが居なかったら出来てない曲だよ」って言われて。だからね、象眠舎を通じて、自分がどういう人間になりたいのかがクリアになっていく感じもあるんですよね。

小西遼

―象眠舎のビジョンが具現化されていく?

小西:そうそう。今回は演劇的な要素はなくて、音楽寄りにシフトはしてるけど、屋根の下にいろんな人が入って出るっていう場所にちゃんとなってると思えた。日本に戻ってきて、いろんな人と出会って、巡り巡って、ちゃんと象眠舎っていう名前のもとに帰ってきた感じがしたんです。

―“Sunset”は現在の状況に対する苦悩や怒りも感じられつつ、最後は<then I start to realize>と締め括られていて、確かな「読後感」もあります。

小西:“Sunset”だけ歌詞も英語だし、「海外向き」みたいな意味で、「Ryo Konishi」として出すのもアリじゃない? みたいな話をモリタさんとしたりもしたんですけど、これをはじいてしまうと象眠舎じゃないというか、これを内包してなお象眠舎であれるなっていう感覚が今はあるんです。いろんな人と楽しくものを作っていくことが自分のやりたいことだし、それが「読後感」にも繋がるんだなって、それもやりながらより感じたことですね。

―象眠舎という場所が今後どんな広がりを見せるのか、そこにはどんな変容の感動があるのか、非常に楽しみです。

小西:僕って一番になるようなタイプの人間じゃないんですよね。かけっこで一番になったこともないし、コンクールでもソロで優勝したことなくて、自分が優れてる感覚も持ってない。それでもなんとか自分で全部やらなきゃと思って、日本に戻ってからの2年くらいは必死にやってたんです。最初は「僕こういうことやってるんだ」って言うと、「面白そうだね、頑張って」だったのが、今は「面白そうだから、一緒にやらせてよ」って言ってくれる人が増えて、それに気づけたのが今年の始まりとしてすごく大きくて。だから……動いてみるもんだなって(笑)。

―はははは。

小西:周りにみんながいてくれる今の状況っていうのは、ホントに「やっててよかった」と思うし、だからこそ「もっとやりてえ」とも思う(笑)。前はわりと卑屈な人間で、「どうせ誰も動いてくれないし」みたいに思ってたけど、今は「僕こんな自分のことばっかりに集中してていいの?」みたいな感じで。だったら行けるところまで行ってみたいし、なんにも手放したくないから、全部やっていきたいと思ってます。

小西遼

プレイリスト『黄昏と静寂』を聴く(Spotifyを開く

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リリース情報

象眠舎『The Way We Were / 追憶』
象眠舎
『The Way We Were / 追憶』

2020年3月25日(水)配信

1. The Way We Were / 追憶

象眠舎『Sunset blvd. feat. Sarah Furukawa』
象眠舎
『Sunset blvd. feat. Sarah Furukawa』

2020年4月15日(水)配信

1. Sunset blvd. feat. Sarah Furukawa

象眠舎『Lycoris feat.中村佳穂』
象眠舎
『Lycoris feat.中村佳穂』

2020年4月15日(水)配信

1. Lycoris feat.中村佳穂

象眠舎『Mirror feat. TENDRE』
象眠舎
『Mirror feat. TENDRE』

2020年5月13日(水)配信

1. Mirror feat. TENDRE

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プロフィール

小西遼(こにし りょう)

作曲・編曲家。サックス、フルート、鍵盤をはじめ数多くの楽器に精通。表現集団「象眠舎」を主宰し、所属するバンド・CRCK/LCKSは2019年にアルバム『Temporary』『Temporary vol.2』をリリース。狭間美帆とのビッグバンドプロジェクト・Com⇔Positions、CharaやTENDREのサポート、millenium paradeへの参加など、多岐にわたって音楽活動を展開する。

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