ISSUGIが語る、「なにをやらないか」が個性になる

ISSUGIが語る、「なにをやらないか」が個性になる

インタビュー・テキスト
宮崎敬太
撮影:寺内暁 編集:久野剛士(CINRA.NET編集部)
2019/12/12
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かっこいい人たちは、なにをやるのかと同時に、なにをやらないかも選択している。

―「誰かに勝つ」ことよりも「自分を磨くこと」が重要なんですね。

ISSUGI:俺はスケボーから「スタイルを持つ」ことがなにより大切だと学んだんですよ。昔、秋葉原の駅前のでっかい広場があって、毎日いろんなスケーターたちが集まってきて。俺やPUG、あとアルバムのアートワークを一緒にやってる52とかと一緒に自分たちも遊びつつ、夜になって上手い人たちが集まってくると「あの人のフリップはかっこいい」「この人はヒールがイケてる」みたいな感じでかっこいいスケーターをチラチラ観察してました。

いろいろ見たりやったりしてるうちに、スケボーってスキルだけじゃないなと気づいたんですよ。

―スキルではない魅力がある、と。

ISSUGI:好きなスケーターはみんなそれぞれ自分のスタイルを持ってたんです。もちろんそういう人は前提としてスキルがある。でも「この技ができればかっこいい」みたいなことでは全然なかった。点数を競ってる感じではなかったし、もっと全体的ななにかに魅かれていましたね。

MONJUという同じグループの中でも、俺とPUGと仙人掌は、みんな違う人間ですよね。だから、それぞれのソロアルバムを聴くともっとそれぞれの音楽性が細かく解ってきて面白い。「こいつはソロだとこういうビートが好みなんだな」とか「こういうことをラップしたいのか」ってわかってくる。

音楽をやってる奴は俺も含めてみんな、自分の音楽を第一に知って欲しいと思っているように感じるんですよ。だから本当にそのアーティストの音楽性について知りたいなら、しっかりそういう意味でのいち個人のセンスを吟味しないといけないと思っています。もちろん、音楽に限らず、日常の人付き合いでもそうですけど。

―人の個性って、どんなところに現れると思いますか?

ISSUGI:自分が音楽で好きなかっこいい人たちは、曲を作るときになにをやるのかと同時に、「なにをやらないか」も選択してる。俺はハイテックやマッドリブやグラディスナイスのようなビートメイカーが好きで。目まぐるしくトレンドが移り変わるけど、その中で彼らは取り入れるものと取り入れないものをしっかり選択してると思う。そして俺は彼らが取り入れたトレンドと同時に、取り入れなかったものも知ることで、彼らの個性をより深く知ることができるようになるし。

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しっかりした根っこがあっていろんな色の花が咲いてるのは面白いけど、毎回根っこが違うものになってしまうと違和感がある。

―スケートボードに出会うまでに、好きなこと、影響されたものってあるんでしょうか?

ISSUGI:実は中学以前のことで好きだったことよく覚えてないんですよ(笑)。スケボーにハマるまでは特に好きなこともなくて。記憶もかなりボヤッとしてるんですよね。もちろんTVゲームとかサッカーみたいなことは普通にしていて友だちもいたけど、そこまでのめり込んでなかった。

―なぜスケボーにはのめり込んだんでしょう?

ISSUGI:スケボーで、ものづくりの楽しさを知ったのも大きいですね。仲間同士でスケボーのビデオを録って、そこに好きな音楽を付けたりするんです。それをみんなで見て、あーでもないこーでもないとかやっていたのは本当に楽しかった。いま思えば、自分でやりたい事は技術が未熟でもやりたければ全部やるみたいな感じの始まりでしたね。

―ISSUGIさんが多作なのは、ものづくりがそもそも好きだからなんですね。

ISSUGI:それは間違いなくあると思います。なにか作ってるのが生活の一部なんで、やってれば自然とスキルが積み重なって身に付くと思うしそれが面白くなってまた次やりたくなりますね。

音楽の場合だとアーティストがどんどん生きていく中でその音楽性を変化させていくことも面白みだと思っているから好きなアーティストだとこれまでの音楽性の「過程」とかもを追うようになるんです。この時期こういう感じだーとか。

―毎日、曲を作っていても変わらずに意識していることもあるんでしょうか。

ISSUGI:グルーヴですね。楽曲だけではなく、アートワークとかも含めて、自分の作品から一貫したグルーヴを感じさせたいですね。でもそれは変わらないって意味じゃなくて。生きていれば当たり前のように変化するから、当然俺が作るものも変わるけど個人としてのセンスの根っこは変わらないと思うので。

今回のアルバム『GEMZ』ではバンドの音を取り入れたりとか、いままでやってきてなかったことやったりして。でもだからこそ、その中で自分の芯にある感覚を大切にしたいと思ってるんです。しっかりした根っこがあっていろんな色の花が咲いてるのは面白いけど、毎回根っこが違うものになってしまうのは自分じゃないなと感じるので。

︎ISSUGIの最新アルバム『GEMZ』(2019年)を聴く(Spotifyを開く / Amazonで購入する

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リリース情報

ISSUGI
『GEMZ』(CD)

2019年12月11日(水)発売
価格:2,750円(税込)
レーベル:P-VINE, Inc. / Dogear Records
品番:PCD-25284

1. GEMZ INTRO / prod BUDAMUNK
2. ONE RIDDIM / prod BUDAMUNK
3. NEW DISH / prod 16FLIP & BUDAMUNK
4. BLACK DEEP ft. Mr.PUG, 仙人掌 / prod 16FLIP
5. DRUMLUDE / prod BUDAMUNK
6. HERE ISS / prod 16FLIP
7. LIL SUNSHINE REMIX
8. FIVE ELEMENTS ft OYG, Mr.PUG, 仙人掌 / prod BUDAMUNK
9. 踊狂REMIX ft. 5lack / prod BUDAMUNK
10. OLD SONG ft DEVIN MORRISON / prod BUDAMUNK
11. HEAT HAZE REMIX ft Mr.PUG / prod ENDRUN
12. LOUDER / prod 16FLIP & DJ SCRATCH NICE
13. MISSION ft KOJOE / prod HIKARU ARATA
14. 再生 / prod BUDAMUNK
15. No.171 / prod BUDAMUNK
16. GEMZ OUTRO / prod BUDAMUNK

プロフィール

ISSUGI(いすぎ)

東京出身のRapper / Beatmaker。MONJU(ISSUGI / Mr.Pug / 仙人掌)、SICKTEAM(5lack / ISSUGI / Budamunk)としても活動し、16FLIP名義でビートメイクもこなす。ソロを含めこれまでに複数のアルバムをリリース。

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