ISSUGIが語る、「なにをやらないか」が個性になる

ISSUGIが語る、「なにをやらないか」が個性になる

インタビュー・テキスト
宮崎敬太
撮影:寺内暁 編集:久野剛士(CINRA.NET編集部)
2019/12/12
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多作にして駄作なし。近年のISSUGIは凄まじいペースで作品をリリースしてきた。2017~18年にはコラボレーションプロジェクト『7INC TREE』『7INC TREE -Tree & Chamber-』で毎月新曲を発表し、その間に盟友BESとの共作アルバム『VIRIDIAN SHOOT』とそのリミックス盤を発表している。そしてこの12月には待望のソロアルバム『GEMZ』が発売される。このアルバムはBudamunkや WONKメンバーであるHIKARU ARATA、 KAN INOUEなどといったミュージシャンたちと制作された。

ISSUGIの魅力は楽曲や活動から醸し出されるセンスと一本気な姿勢だ。かっこよく生きるのが難しい時代。今回は彼に、「かっこよさ」の源泉を探るべきロングインタビューを敢行した。

ヒップホップゲームでの「勝ち上がり」を第一に考えたことはない。

―ISSUGIさんはいつ頃からヒップホップを聴き始めたんですか?

ISSUGI:中学校1、2年生のときくらいですね。きっかけは中学1年のときに始めたスケートボードです。スケボーのビデオがあって、そのBGMでロックとヒップホップとファンクみたいなのがかかってたんです。だから誰かの作品を聴いて「これだ!」と思ったわけではなく、みんなと一緒にスケボーのビデオを見る中で徐々に好きになっていった感じですね。

ISSUGI(いすぎ)<br>東京出身のRapper / Beatmaker。MONJU(ISSUGI / Mr.Pug / 仙人掌)、SICKTEAM(5lack / ISSUGI / Budamunk)としても活動し、16FLIP名義でビートメイクもこなす。ソロを含めこれまでに複数のアルバムをリリース。
ISSUGI(いすぎ)
東京出身のRapper / Beatmaker。MONJU(ISSUGI / Mr.Pug / 仙人掌)、SICKTEAM(5lack / ISSUGI / Budamunk)としても活動し、16FLIP名義でビートメイクもこなす。ソロを含めこれまでに複数のアルバムをリリース。

―当時のスケボービデオのBGMで特に印象に残ってる作品を教えてください。

ISSUGI:MOBB DEEPの『THE INFAMOUS』(1995年)ですね。『411VM』(1990年代に発売されたスケーターのビデオマガジン)というスケボービデオで、CMに使われてました。このアルバムは「クイーンズの音」だと思うんですよ。

MOBB DEEP『THE INFAMOUS』(1995年)を聴く(Spotifyを開く

―ニューヨークのクイーンズといえば、Run-D.M.C.からはじまり、クール・G・ラップ、ナズなどなど錚々たるヒップホップアーティストを輩出してきた地区ですね。

ISSUGI:「FLIP」っていうスケートブランドのCMに使われていて『THE INFAMOUS』の音には、クイーンズの音の歴史を感じるんです。そういう流れとか場所が出す共通性みたいなのが好きで、ビートを作ってるハヴォックや、途中からずっと一緒に活動してるアルケミスト(LAのヒップホップトラックメイカー)が純粋に彼らの音楽とリンクして作り出していったからMOBB DEEP=クイーンズの音みたいな感じになりましたね、自分の中で。

―リスナーだったISSUGIさんが、ラップを始めたのはいつ頃なんでしょう?

ISSUGI:たしか中学3年の頃だから、1998年ですね。だんだん自分にスケボーのスキルがないなって思うようになってきたんです(笑)。

ちょうどその頃、日本のヒップホップも流行り始めてて、自分でもやってみようと思いました。中学のスケボー仲間の中にMr.PUG(ISSUGIが所属するMONJUのメンバー)がいて。PUGはみんなで集まっててもスケボーはやらずに音楽ばっかり聴いてたんですよ。だから中学1年の頃から友だちだけど、もっと仲よくなったのは中3でラップを始めてからって感じですね。

―日本語のラップも聴かれていたんですね。

ISSUGI:途中まで結構いっぱい聴いてました。お話したこととかはないんですけど、一貫した音楽性って意味では、DEV LARGE(日本のヒップホップグループ、BUDDHA BRANDのメンバー、2015年に逝去)さんが作るビートとか好きでしたね。音楽好きなんだろうなという感じが滲み出ていて。あとサンプルする部分のメロディーとか一発でわかる感じがあったと思います。

―ラップでは「成り上がりストーリー」や「勝ち上がりマインド」が好まれる傾向にありますが、ISSUGIさんのリリックからは、そうしたものを感じませんよね。

ISSUGI:その傾向も全く嫌いではないし、ない訳ではないんですけど、表立ってみせるそういう表現って2000年頃にアメリカでヒップホップが白人の人たちの層まですごく売れて一気にビジネス的にメジャーになってからの傾向だと思うんですよ。自分はもっと表現として素朴でいいっていうかそんな感じです。飾り気なしでいいんだと思えたのがヒップホップだったので。

俺がスケボーをやってたときに聴いてたのは、BLACK MOONやTha Alkaholiksといったアーティストで、彼らは「ヒップホップゲームで成り上がる」という部分も勿論あったと思いますが、「ハードな人生をどう生き抜く」「自分たちの哲学」みたいなニュアンスのほうが強かったような気がします。

当時、俺はスケボーで毎日いろんな技を練習していても、自分が納得できる形で技ができるようなったときがうれしかったんです。いったらヒップホップもその延長線上にある感覚なので、「勝ち上がり」を第一に考えたことはなくて好きだからやってるって感じですね。

Tha Alkaholiks『Coast II Coast』(1995年)を聴く(Spotifyを開く

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リリース情報

ISSUGI
『GEMZ』(CD)

2019年12月11日(水)発売
価格:2,750円(税込)
レーベル:P-VINE, Inc. / Dogear Records
品番:PCD-25284

1. GEMZ INTRO / prod BUDAMUNK
2. ONE RIDDIM / prod BUDAMUNK
3. NEW DISH / prod 16FLIP & BUDAMUNK
4. BLACK DEEP ft. Mr.PUG, 仙人掌 / prod 16FLIP
5. DRUMLUDE / prod BUDAMUNK
6. HERE ISS / prod 16FLIP
7. LIL SUNSHINE REMIX
8. FIVE ELEMENTS ft OYG, Mr.PUG, 仙人掌 / prod BUDAMUNK
9. 踊狂REMIX ft. 5lack / prod BUDAMUNK
10. OLD SONG ft DEVIN MORRISON / prod BUDAMUNK
11. HEAT HAZE REMIX ft Mr.PUG / prod ENDRUN
12. LOUDER / prod 16FLIP & DJ SCRATCH NICE
13. MISSION ft KOJOE / prod HIKARU ARATA
14. 再生 / prod BUDAMUNK
15. No.171 / prod BUDAMUNK
16. GEMZ OUTRO / prod BUDAMUNK

プロフィール

ISSUGI(いすぎ)

東京出身のRapper / Beatmaker。MONJU(ISSUGI / Mr.Pug / 仙人掌)、SICKTEAM(5lack / ISSUGI / Budamunk)としても活動し、16FLIP名義でビートメイクもこなす。ソロを含めこれまでに複数のアルバムをリリース。

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