柴田聡子を紐解く5通の手紙。音楽も詩も、子どもが戯れるように

柴田聡子を紐解く5通の手紙。音楽も詩も、子どもが戯れるように

インタビュー・テキスト
村尾泰郎
撮影:南 阿沙美 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)

4通目はベースのかわいしのぶより。イラスト付きで、柴田聡子の二面性に触れる

―ここからは女性陣からの手紙です。まずは、かわいしのぶさん。可愛いイラスト付きです。

柴田:かわいい~! 卒業式の寄せ書きみたい。泣いちゃうかも……。

 

柴田:すごく私のことを紐解いてくれていますね。

―前から見たら文化系、後ろから見たら体育会系という分析が面白いですね。高校のときはバスケ部で、美大に進学した柴田さんの両面が現れているようで。

柴田:嬉しいです。ライブでは、このお手紙どおり、しのぶさんに後方を任せているんです。すごく歌ってくれるうえに、包み込むようにバンドを支えてくれている音なんです。今回のアルバムのミックスをしていて、しのぶさんのベースがみんなの音をさりげなく且つしっかり繋いでくれてるって改めて気づきました。

柴田聡子『がんばれ!メロディー』を聴く(Spotifyを開く

―かわいさんは手紙のなかで「舞台の大道具や小道具を作るような感じで曲をみんなで作り上げていく」と表現されています。さっきチームプレイの話も出ましたが、そんなふうにメンバーで意見を出し合いながら曲を仕上げていくのでしょうか。

柴田:まず自分のなかに曲のイメージがあって、「この音を入れたい」とか「あの音を入れたい」とかってみんなにイメージを伝えて、録音だったら、ベーシックを録り終わったあとに、ときには大オーバータブ大会みたいな感じになって、メンバーそれぞれがアイデアを出し合うんです。最初に自分が出したアイデアがみんなにインスピレーションを与えて、それぞれが何かを返してくれる。こんな素晴らしいことはないと思います。

―そんなふうにみんなに刺激を与える曲が作れる、というのも素晴らしいことですね。

柴田:一緒にやってくれる人たちに、ずっとインスピレーションを与えられる存在でいれたらと思っています。たまにみんなからアイデアが出てこないときもあるんですよ。そういうときは歌詞や曲に問題があるのかも、と思って考え直したりするんです。変にこだわりすぎているところがあるのかもしれないと思って。

柴田聡子

―こだわりすぎるのはよくない?

柴田:明るい気持ちで「ここは絶対こうなんです!」って説得できればいいんですけど、閉じこもる感じで「なんでみんなはわかってくれないんだろう」ってなっちゃうのは、あんまりよくないと思います。そこで暗い気持ちになるよりは、考え直したほうがいい。

「私が思っていることを全員が同じように理解しなくてもいい。その人がイメージしたものをやってくれたほうが面白くなる」

―かわいさんは、柴田さんの歌詞には「とても明確な色とか視覚のイメージ」があると書かれていますが、歌詞を書くときから意識されているのでしょうか?

柴田:そういうときもあります。曲を渡すときにイメージ映像をみんなに見てもらったりはしますね。こんな感じの曲にしたいって。

―それはどういうものなんですか?

柴田:たとえば“アニマルフィーリング”のときはプラズマの写真を見せました。

柴田聡子“アニマルフィーリング”を聴く(Spotifyを開く

―プラズマ!? それは曲の雰囲気とかを伝えるために?

柴田:音の感じを伝えるというのもあるし、「曲を書いているときに頭のなかにあったイメージだけど、直接は関係ないかもしれないです」って見てもらったり。しのぶさんは、そういうのを見て「あ~、OK!」って(笑)。

―プラズマでわかる、かわいさんもすごいですね。

柴田:どういう曲にしたいかをみんなに伝えるときには、たとえ抽象的なイメージでもどんどん見せて伝える努力をしようって、前作のときから思いはじめたんです。プラズマの写真を見て、みんな「わかった!」って言ってくれるのがすごいと思って。ただ、そこで「全然わからない」とか「もっと説明して」って言われることもあるのがもっと面白いですけどね。

―「あのバンドのあの曲みたいな感じで」みたいな具体的な説明はしない?

柴田:それは危険だからしないことにしてます。どうしても、その音を目指してしまうから。私が思っていることを全員が同じように理解しなくてもいい。その人がイメージしたものをやってくれたほうが面白くなると思ってます。

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リリース情報

柴田聡子『SATOKO SHIBATA TOUR 2019 “GANBARE! MELODY” FINAL at LIQUIDROOM』
柴田聡子
『SATOKO SHIBATA TOUR 2019 “GANBARE! MELODY” FINAL at LIQUIDROOM』(CD)

2019年10月23日(水)発売
価格:2,500円(税込)
PCD-18869

1. 結婚しました
2. アニマルフィーリング
3. 佐野岬
4. すこやかさ
5. 遊んで暮らして
6. 忘れたい
7. ばら
8. いきすぎた友達
9. 海へ行こうか
10. いい人
11. 東京メロンウィーク
12. 心の中の猫
13. セパタクローの奥義
14. 後悔
15. ラッキーカラー
16. ワンコロメーター
17. 涙
18. 捧げます
19. ラミ子とシバッチャンの仲良しソング ~Let's shake hands with me~
20. ジョイフル・コメリ・ホーマック

イベント情報

『柴田聡子inFIRE ホール公演「晩秋」』

2019年11月9日(土)
会場:東京都 神田明神ホール

2019年11月21日(木)
会場:京都府 ロームシアター京都 ノースホール

料金:各公演 前売4,200円

プロフィール

柴田聡子(しばた さとこ)

1986年札幌市生まれ。大学時代の恩師の一言をきっかけに、2010年より都内を中心に活動を始める。最新作『がんばれ!メロディー』まで、5枚のアルバムをリリースしている。2016年に上梓した初の詩集『さばーく』が第5回エルスール財団新人賞<現代詩部門>を受賞。現在、雑誌『文學界』でコラムを連載しており、文芸誌への寄稿も多数。歌詞だけにとどまらず、独特な言葉の力にも注目を集めている。2019年10月、初のバンドツアーの千秋楽公演を収録したライブアルバム『SATOKO SHIBATA TOUR 2019 “GANBARE! MELODY” FINAL at LIQUIDROOM』をリリースした。

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