柴田聡子を紐解く5通の手紙。音楽も詩も、子どもが戯れるように

柴田聡子を紐解く5通の手紙。音楽も詩も、子どもが戯れるように

インタビュー・テキスト
村尾泰郎
撮影:南 阿沙美 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)

柴田聡子

3通目は岡田拓郎。すべてにおいて完璧な曲など、柴田聡子への3つの質問

―今度は岡田拓郎さんで、3つ質問があるそうです。

柴田:ひゃー! 恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い!

Q1.『ガンメロ』では、僕たちinFIREがアレンジのアイデアを出しながらも最終的な舵切りはプロデューサーの柴田さんが吟味してくれました。でも音源や松田聖子のカヴァーでは、プロいmidiスキルに驚き、音楽全体をよく見渡せる人だな~!と改めて思いました(上から目線な感じですんません!)。 ここで質問で、柴田P視点で、ソングライティング、歌詞、アレンジ、ミキシング、プレイなどなど…いろんな面を考慮して、この楽曲は本当に凄い!というお気に入りのトラックを3つ教えてください。

Q2.ポップ・ミュージックにおいて、トレンド(音楽はもちろん、もっと大きなトレンドも!)はとても重要な要素で、ここ数年柴田さんとご一緒して話していると、こういった部分にとても敏感な瞬間を要所要所で感じております。音楽を書くという時に、このトレンドみたいなものの扱い方について何か意識することとかありますか?

Q3.『ガンメロ』に収録された「涙」の頭の歌詞が、お父さんと甥っ子姪っ子の話だということを、録音してずいぶん経ってから聞いてビックリしましたが、音楽以外のことでもinFIREのメンバーに言いそびれていることがあったら教えてください…!

柴田:なるほどー。岡田さん、こんなこと思ってたんですね。意外……。

―あんまり突っ込んだ話はしないですか。

柴田:するときはするんですけど、自分より若い人たちって、(作業が終わったあとに)「じゃあ帰りま~す!」っていうのが多いんですよ。「あ、自分の時間が必要なんだな」って思って、あんまり飲みとかに誘えない(笑)。

―会社の上司みたいな気配りですね(笑)。では、1番目の質問。すべてにおいて完璧な曲は?

柴田:何だろう……まず、マイケル・ジャクソン“Off the Wall”かな。マイケル・ジャクソンは本当にどのときもすごいけど、アレンジとかミキシングに時代を感じることもあって。でも、この曲は時代を越えて胸に響きますね。

マイケル・ジャクソン“Off the Wall”を聴く(Spotifyを開く

柴田:あと、エイミー・ワインハウスの“Rehab”かな。これ、考えるの面白いですね(笑)。それから……あっ、ちあきなおみさんの“氷の世界”! 井上陽水のカバーですけど。

エイミー・ワインハウス“Rehab”を聴く(Spotifyを開く

―マイケル・ジャクソン、エイミー・ワインハウス、ちあきなおみ。すごい並びですね。ちあきなおみさんが異彩を放ってます。

柴田:ちあきなおみさんはちょっとすごすぎますね。特にカバーを聴くと、本当にすごいシンガーだなって感じます。一生懸命で、まっすぐな情熱がある。他のふたりも情熱のままに生きた人たちだと思います。

「ひとつの目標を目指して、いろんな世代、性格の人たちが団結するって、すごく豊かなことだと思う」

―続いて2番目の質問です。柴田さんは、どんなふうにトレンドを意識しているのでしょうか?

柴田:やっぱり、世界中でどんなものが流行っているのかは気にしています。音楽では、今はヒップホップとかR&Bが帝国を築いてる感じですけど、リリースされたものを聴いて「新しい!」って思ってやりはじめるのではもう遅いから、自分の作品に関しては今っていうのを意識しつつも、あまり深く考えなくていいかな、と思ってます。

自分が作りたいように作っていても、今生きてるってだけで日頃の生活のなかで自然に新しいものに触れているし、それは何らかの形で反映されるだろうし、どんな機材を使っていても、今の人がそれを使えば今の音になると思う。

柴田聡子

柴田聡子

―ちなみに最近のトレンドで気になるものってありますか?

柴田:そうですね……ラグビーかな? もう面白すぎて、J SPORTS(スポーツ専門チャンネル)のラグビーパックに1か月だけ入ろうかなっと思ってるくらい。

―どんなところに惹かれます?

柴田:いろんな体格、いろんなポジション、多種多様の人間たちが、同じゲームをやっているのが面白いんです。チームスポーツとバンドは共通点がある気がしていて。inFIREもいろんな人間が集まって同じことを目指しているし。ひとつの目標を目指して、いろんな世代、性格の人たちが団結するって、すごく豊かなことだと思うんです。

―ライブもレコーディングもチームプレイが重要?

柴田:そうだと思います。inFIREのツアーで会場入りするときに、みんなでチームジャージを着ようと思ったくらい(笑)。

柴田聡子inFIRE アーティスト写真
柴田聡子inFIRE アーティスト写真

―(笑)。最後の質問です。そんな信頼できるメンバーに言いそびれたことは何かありますか?

柴田:何だろう……しのぶさんとラミ子には言ったんですけど、今年初めてビキニで海に行ったんです。男性メンバーにはまだ言ってなかったけど、それが私のなかでブレイクスルーだったんです。仲がいい友達がいて、その子もビキニを着るようなタイプじゃなかったんですけど、ある日、「ビキニ、めっちゃ開放感あったよ!」って報告されて。そういえばビキニは着たことがなかったと思って、その子に誘われて海に行ったんです。

―やっぱり、勇気がいるものなんですか?

柴田:いや、いらなかったですね。更衣室から出た瞬間、「そういえば、私、ずっとこうやって生きてきたな」と思いました(笑)。すごく開放感があって、地に足が着いたというか人間らしい気持ちになれたんです。みんなに見られていても全然気にならない。自意識がバーンと飛んで気持ちよかったですね。

柴田聡子

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リリース情報

柴田聡子『SATOKO SHIBATA TOUR 2019 “GANBARE! MELODY” FINAL at LIQUIDROOM』
柴田聡子
『SATOKO SHIBATA TOUR 2019 “GANBARE! MELODY” FINAL at LIQUIDROOM』(CD)

2019年10月23日(水)発売
価格:2,500円(税込)
PCD-18869

1. 結婚しました
2. アニマルフィーリング
3. 佐野岬
4. すこやかさ
5. 遊んで暮らして
6. 忘れたい
7. ばら
8. いきすぎた友達
9. 海へ行こうか
10. いい人
11. 東京メロンウィーク
12. 心の中の猫
13. セパタクローの奥義
14. 後悔
15. ラッキーカラー
16. ワンコロメーター
17. 涙
18. 捧げます
19. ラミ子とシバッチャンの仲良しソング ~Let's shake hands with me~
20. ジョイフル・コメリ・ホーマック

イベント情報

『柴田聡子inFIRE ホール公演「晩秋」』

2019年11月9日(土)
会場:東京都 神田明神ホール

2019年11月21日(木)
会場:京都府 ロームシアター京都 ノースホール

料金:各公演 前売4,200円

プロフィール

柴田聡子(しばた さとこ)

1986年札幌市生まれ。大学時代の恩師の一言をきっかけに、2010年より都内を中心に活動を始める。最新作『がんばれ!メロディー』まで、5枚のアルバムをリリースしている。2016年に上梓した初の詩集『さばーく』が第5回エルスール財団新人賞<現代詩部門>を受賞。現在、雑誌『文學界』でコラムを連載しており、文芸誌への寄稿も多数。歌詞だけにとどまらず、独特な言葉の力にも注目を集めている。2019年10月、初のバンドツアーの千秋楽公演を収録したライブアルバム『SATOKO SHIBATA TOUR 2019 “GANBARE! MELODY” FINAL at LIQUIDROOM』をリリースした。

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