柴田聡子を紐解く5通の手紙。音楽も詩も、子どもが戯れるように

柴田聡子を紐解く5通の手紙。音楽も詩も、子どもが戯れるように

インタビュー・テキスト
村尾泰郎
撮影:南 阿沙美 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)

シンガーソングライター、そして、最近では文筆家としても活躍している柴田聡子。その独特の言語感覚が注目を集めてきたが、最近では曲作りにも磨きがかかり、ミュージシャンとしてひとまわり大きくなった。その背景には、ここ数年、活動を共にしてきたバンド「inFIRE」の存在がある。岡田拓郎(Gt)、かわいしのぶ(Ba)、イトケン(Dr)、ラミ子(Cho)といった個性豊かなメンバーとの関係が、柴田の作り出す音楽に豊かな奥行きを生み出しているのだ。今年5月に行われたツアーファイナルの模様を収録した新作『SATOKO SHIBATA TOUR 2019 "GANBARE! MELODY" FINAL at LIQUIDROOM』を聴けば、そんな柴田とバンドの充実ぶりが伝わってくる。

そこで今回は、4人のバンドメンバーとツアーでPAとダブエフェクトを担当したDub Master Xに柴田宛の手紙を書いてもらい、柴田のユニークな個性を様々なアングルから探ってみた。芋掘り、ビキニ、プラズマ、エアギターなど、様々なキーワードから柴田の歌の世界の魅力が浮かび上がるロングインタビュー!

柴田聡子
柴田聡子

柴田聡子の個性を解明する5通の手紙。1通目はDub Master X

―今日はバンドメンバー全員とDub Master Xさんから手紙を預かってきています。なので総勢5名。

柴田:どうしよう、やばい!

―まずはDub Master Xさんの手紙から。

柴田:うわあ……お茶を飲んでもいいですか?

―どうぞどうぞ。

柴田:(お茶を飲む)はあ。じゃあ、読みます!

柴田聡子のSSWとしての不思議さ。

柴田さんを初めて見たのは、かせきさいだぁのライブで一曲だけシャウトしに来た時でした。この時は「なんか不思議な子だなぁ」と思っただけでしたが、次のかせきさいだぁ主宰イベントにゲストで弾き語りで参加した時にその詩の世界観とメロディ、そこに当ててくるコード感、そして彼女の声にすっかり魅了されてしまいまして、「これからライブの面倒見る!」と勝手に押しかけたのでした。

歌詞を追いながら聞いていてもストーリーがわからなかったりするのだけれど(笑)、単語や文節からこちらが勝手にイメージする情景が次々と移り行く感覚にすっかり魅了されてしまう。
景色が見えるから僕の勝手なイメージが膨らんで卓を弄る手が勝手に動いてしまう。その色付けが良いか悪いかはわからないけれど、今は喜んでもらえているようなのでまだまだ精進します。

その辺にありそうで実はどこにも無い。もっと多くの人に気がついて欲しいなぁ、柴田の良さに。

柴田:ありがとうございます!

―手紙によると、ダブさんのほうから柴田さんに声をかけられたとか。ライブ盤ではダブさんのエフェクトも活躍していて、バンドメンバーのひとりみたいな感じですね。

柴田:スネアで「ドンッ!」とか(笑)。でも、ライブをやってる私たちには、ダブさんがどんなエフェクトをかけているのか全然わからないんですよ。あとで音源を聴いてみんなで盛り上がってます。

柴田聡子(しばた さとこ)<br>1986年札幌市生まれ。大学時代の恩師の一言をきっかけに、2010年より都内を中心に活動を始める。最新作『がんばれ!メロディー』まで、5枚のアルバムをリリースしている。2016年に上梓した初の詩集『さばーく』が『第5回エルスール財団新人賞「現代詩部門」』を受賞。現在、雑誌『文學界』でコラムを連載しており、文芸誌への寄稿も多数。2019年10月、初のバンドツアーの千秋楽公演を収録したライブアルバム『SATOKO SHIBATA TOUR 2019 “GANBARE! MELODY” FINAL at LIQUIDROOM』をリリースした。
柴田聡子(しばた さとこ)
1986年札幌市生まれ。大学時代の恩師の一言をきっかけに、2010年より都内を中心に活動を始める。最新作『がんばれ!メロディー』まで、5枚のアルバムをリリースしている。2016年に上梓した初の詩集『さばーく』が『第5回エルスール財団新人賞「現代詩部門」』を受賞。現在、雑誌『文學界』でコラムを連載しており、文芸誌への寄稿も多数。2019年10月、初のバンドツアーの千秋楽公演を収録したライブアルバム『SATOKO SHIBATA TOUR 2019 “GANBARE! MELODY” FINAL at LIQUIDROOM』をリリースした。

柴田聡子『SATOKO SHIBATA TOUR 2019 "GANBARE! MELODY" FINAL at LIQUIDROOM』(Spotifyを開く

―どこでエフェクトをかけるかはダブさん次第なんですか?

柴田:そうです。やりすぎることはなく、でも、いくときは「ガーン!」っていってくれる。ダブさんの曲に対する理解が深まるにつれてマッチするところも増えていくんですけど、そういう部分でもバンドの一員って感じがします。ダブさんは日頃から私の曲を聴いてくださっていて、「いま新幹線で聴いてるけどいいね!」とかLINEをくれたりするんですよ。歌詞もめちゃくちゃ覚えてくれていて。

―手紙では歌詞について触れていますね。「ストーリーがわからないけど、いろんなイメージが浮かんでくる」という感想は、多くの人が柴田さんの歌詞に触れて感じることかもと思いました。

柴田:私はできるだけわかりやすさを意識しつつ、悩みながら歌詞を書いているんですけど、伝えるのが下手かもしれないです。世の中には複雑なもの、ひとつに決められないことがあって当然だから、そういう複雑さを失わないでおこうと私は思っているんですけど、それでいてちゃんと伝わるように歌詞を書くのは難しいです。

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リリース情報

柴田聡子『SATOKO SHIBATA TOUR 2019 “GANBARE! MELODY” FINAL at LIQUIDROOM』
柴田聡子
『SATOKO SHIBATA TOUR 2019 “GANBARE! MELODY” FINAL at LIQUIDROOM』(CD)

2019年10月23日(水)発売
価格:2,500円(税込)
PCD-18869

1. 結婚しました
2. アニマルフィーリング
3. 佐野岬
4. すこやかさ
5. 遊んで暮らして
6. 忘れたい
7. ばら
8. いきすぎた友達
9. 海へ行こうか
10. いい人
11. 東京メロンウィーク
12. 心の中の猫
13. セパタクローの奥義
14. 後悔
15. ラッキーカラー
16. ワンコロメーター
17. 涙
18. 捧げます
19. ラミ子とシバッチャンの仲良しソング ~Let's shake hands with me~
20. ジョイフル・コメリ・ホーマック

イベント情報

『柴田聡子inFIRE ホール公演「晩秋」』

2019年11月9日(土)
会場:東京都 神田明神ホール

2019年11月21日(木)
会場:京都府 ロームシアター京都 ノースホール

料金:各公演 前売4,200円

プロフィール

柴田聡子(しばた さとこ)

1986年札幌市生まれ。大学時代の恩師の一言をきっかけに、2010年より都内を中心に活動を始める。最新作『がんばれ!メロディー』まで、5枚のアルバムをリリースしている。2016年に上梓した初の詩集『さばーく』が第5回エルスール財団新人賞<現代詩部門>を受賞。現在、雑誌『文學界』でコラムを連載しており、文芸誌への寄稿も多数。歌詞だけにとどまらず、独特な言葉の力にも注目を集めている。2019年10月、初のバンドツアーの千秋楽公演を収録したライブアルバム『SATOKO SHIBATA TOUR 2019 “GANBARE! MELODY” FINAL at LIQUIDROOM』をリリースした。

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