崎山蒼志と君島大空、2人の謎を相互に解体。しかし謎は謎のまま

崎山蒼志と君島大空、2人の謎を相互に解体。しかし謎は謎のまま

崎山蒼志『並む踊り』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:松永つぐみ 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)

左から:崎山蒼志、君島大空

メロディーに乗ったときにやっと完成する言葉のような、すごく危ういバランスで形を成している感覚が、スリリングでたまらない。(君島)

―「言葉」に関して言うと、君島さんが崎山さんに、吉増剛造さんの詩集をあげたというエピソードも、以前語られていましたよね(参考記事:崎山蒼志が戸惑い混じりに語る、『日村がゆく』以降の喧騒の日々)。

崎山:初めて君島さんに会ったときに、詩集を貸していただきました。

君島:吉増さんと崎山くんは、言葉の速度が似ている感じがしたんです。高速で、目くるめく感じ。そういった快感を僕は吉増さんの詩に感じていたんです。すごいスピード感で、すごい色彩で、すごい高低差で激しく視点を揺らされる……そういうところがたまらないんですけど、そんな吉増さんの詩は、崎山くんの詞の世界とリンクするような気がして。決して安定した言葉ではないんですけど、とても人間的である、というか。

崎山蒼志“塔と海”を聴く(Spotifyを開く

君島:「綺麗にまとめた」っていう言葉よりも、「なに言っているんだろう?」っていう言葉のほうが、景色が見える気がするもので。歌だと、より、そう思うんですよね。メロディーに乗ったときにやっと完成する言葉のような、すごく危ういバランスで形を成している感覚が、スリリングでたまらない。

崎山:ありがとうございます……。このアルバム(『いつかみた国』)に入っている曲……たとえば“国”とかは、メロディーを弾きながら出てきた言葉そのままなんですよね。そもそも“国”は、最初は18分くらいあるデモだったんですよ。

君島:わかる。僕も、曲を作るときは大体そうなる。『午後の反射光』に入っている曲も、何回も20分くらいある長さのデモを録っていて。いいところを繰り返したりしているだけなんだけど、そこにある空気を、僕はめちゃくちゃ大事にしているんです。自分しか知らないんだけど、めちゃくちゃ輝いている、というか。

崎山:わかります。

左から:崎山蒼志、君島大空

君島:音源になっている“国”は、その18分くらいある長さのものをまとめた感じなんですか?

崎山:“国”は、そうですね。<時を止める>の部分を、「これいいな」って、ずっと反復しながら弾いていて、流れで歌っている……それが、ゆっくりと18分間続いている音源があって。それをギュッとしたのが、アルバムに入っているものです。

君島:僕も、“午後の反射光”っていう曲は、最初は22分くらいあったんですよ。そのバージョンだと、サビが5回くらいあるんだけど(笑)。

崎山:ヤバっ! 聴きたいですよね?

―うん、聴きたいです。

君島:イヤです(笑)。

左から:崎山蒼志、君島大空

君島大空“午後の反射光”を聴く(Spotifyを開く

―(笑)。崎山さんの、18分ある“国”も聴きたいですよ。

崎山:僕も、聴かせたくないかも……。その18分ある“国”は、本当に無作為のものというか、部屋で楽しく弾いているだけの音源なんです。それが生まれたときは、それを聴いてほしかったですけど、今はちょっと……。

君島:僕も、EPの最初の構想としては20分の大曲を入れた音源にしようとしていたんですけど、そうはならなかった。でもいつか、そういうものも作ってみたいです。

自分のなかで、記憶や感情が分裂している感覚がありますか?(君島)

君島:あと、“国”の歌詞がヤバいっていうのが、ずっと、僕のなかで話題なんです。「崎山くんって、もしかしたら前世の記憶があるんじゃないか?」って思わせられるような歌詞を書きますよね。一度、それを本人に訊いたら、「ないです」って言われたんですけど(笑)。

―ははは(笑)。

崎山:でも、物事に既視感を感じることはあるかもしれないです。夢で見たな、みたいな……。

君島:感情に対しては、既視感はない?

崎山:あぁ……あるかもしれないです。

左から:崎山蒼志、君島大空

君島:崎山くんは、200年後くらいにいる感じがするんですよね。それくらい感情とかに対して、醒めた質感がある。もちろん、そこには優しさもあって。すごく大きな生命体のような安心感があるんですよね。なにかを教えてくれている、というか……押しつけてくるわけではなく、自分が立っている場所に狙って降ってきているものっていう感じがする。

(“国”の歌詞を見ながら)<かつて流した涙>って……<かつて>という言葉を書けるのは、すごいなって思います。自分のなかで、記憶や感情が分裂している感覚がありますか?

崎山:いやいやっ、ないです。

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リリース情報

『並む踊り』(CD+DVD)

2019年10月30日(水)発売
価格:2,728円(税抜)

[CD]
1. 踊り
2. 潜水(with 君島大空)
3. むげん・(with 諭吉佳作/men)
4. 柔らかな心地
5. 感丘(with 長谷川白紙)
6. 夢模様、体になって
7. 烈走
8. 泡みたく輝いて
9. Video of Travel
[DVD]
1. ドキュメント「崎山蒼志 LIVE 2019 とおとうみの国」
2. 「国」ミュージックビデオ

イベント情報

『崎山蒼志 TOUR 2019 「並む踊りたち」』

2019年10月28日(月)
会場:東京都 渋谷 CLUB QUATTRO

2019年11月3日(日・祝)
会場:香川県 高松 SPEAK LOW

2019年11月4日(月・振休)
会場:大阪府 梅田 TRAD

ゲスト:諭吉佳作/men

2019年11月10日(日)
会場:東京都 神田明神ホール

ゲスト:長谷川白紙

2019年11月16日(土)
会場:福岡県 ROOMS

2019年11月17日(日)
会場:広島県 SECOND CRUTCH

2019年11月30日(土)
会場:愛知県 名古屋 JAMMIN'

2019年12月15日(日)
会場:静岡県 浜松 窓枠

ゲスト:君島大空

2019年12月21日(土)
会場:宮城県 仙台 HooK

2019年12月22日(日)
会場:北海道 札幌 KRAPS HALL

料金:各公演 前売3,700円(ドリンク別)

プロフィール

崎山蒼志(さきやま そうし)

2002年生まれ静岡県浜松市在住。母親が聞いていたバンドの影響もあり、4歳でギターを弾き、小6で作曲を始める。2018年5月9日にAbemaTV『日村がゆく』の高校生フォークソングGPに出演。独自の世界観が広がる歌詞と楽曲、また当時15歳とは思えないギタープレイでまたたく間にSNSで話題になる。2018年7月18日に「夏至」と「五月雨」を急きょ配信リリース。その2か月後に新曲「神経」の追加配信、また前述3曲を収録したCDシングルをライヴ会場、オンラインストアにて販売。12月5日には1stアルバム『いつかみた国』をリリース、併せて地元浜松からスタートする全国5公演の単独ツアーも発表し、即日全公演完売となった。2019年3月15日にはフジテレビ連続ドラマ『平成物語』の主題歌「泡みたく輝いて」と明治「R-1」CM楽曲「烈走」を配信リリース。5月6日に自身初となるホール公演「とおとうみの国」を浜松市浜北文化センター大ホールで大成功させた。10月30日に2ndアルバム『並む踊り』をリリースした。

君島大空(きみしま おおぞら)

1995年生まれ日本の音楽家。高井息吹と眠る星座のギタリスト。2014年からギタリストとして活動を始める。同年からSoundCloudに自身で作詞/作曲/編曲/演奏/歌唱をし多重録音で制作した音源の公開を始める。ギタリストとしてタグチハナ、konore、坂口喜咲、婦人倶楽部、Orangeade、などのアーティストのライブや録音に参加する一方、2017年には霞翔太監督作品「離れても離れてもまだ眠ることを知らない」の劇中音楽を担当。アイドルグループsora tob sakanaへの楽曲提供など様々な分野で活動中。2019年3月、1st EP『午後の反射光』をリリース。2019年7月、『FUJI ROCK FESTIVAL’19「ROOKIE A GO-GO」』へ出演を果たした。

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