Foals、異例の成功に見るUKロックの今 ロック不遇の10年を経て

Foals、異例の成功に見るUKロックの今 ロック不遇の10年を経て

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青山晃大
編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)
2019/11/06
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悲願のUKチャート1位を獲得。いまや海外フェスでヘッドライナーを務めるFoalsの現在地

あなたは、Foalsというバンドをどのように捉えているだろうか? 普段から海外の音楽に馴染みのある人なら名前を耳にしたことがあるだろうし、海外のロックを好んで聴いている人ならば誰しも「2000年代後半から活動しているUKロックバンド」、くらいの認識はあるだろう。ただ、「いま」のFoalsについて、日本では十二分に知られていないのが現状だと思う。

まずは簡単に、直近の活動規模から紹介しよう。Foalsが10月18日にリリースした6作目『Everything Not Saved Will Be Lost – Part 2』(今年3月に発表された『Part 1』に続く2連作)は、本国イギリスでアルバムチャート1位を獲得。彼らが全英1位を経験するのは、デビュー12年目にして今回が初めてのことだ。

Foals『Everything Not Saved Will Be Lost – Part 2』を聴く(Spotifyを開く

同アルバムに伴うツアースケジュールは2020年7月まで発表されているが、ロンドンでの公演はオリンピアロンドン(約1万人規模)という大会場で3日間連続を予定。また、11月1日に出演するスペインの『BIME FESTIVAL』というフェスでは、Kraftwerk 3D、Jamiroquaiといった大御所と並んでヘッドライナーという位置付けになっている。

つまり2019年現在、本国イギリス及びヨーロッパにおいて、Foalsはアリーナ~スタジアムクラスの会場を埋め、フェスではヘッドライナークラスのポジションを担う、立派な「アリーナロック」バンドへと成長を遂げているのだ。彼らの人気が海外でどれほどのものなのか、知ってもらうためには映像を見てもらうのが手っ取り早いだろう。以下の動画は、11月15日にAmazon Prime Videoで公開される予定となっている、彼らのツアーを追ったドキュメンタリー『Rip Up The Road』のトレイラーだ。

一方、今年来日した『SUMMER SONIC』では、3番目のステージでトリ前出演。圧倒的なパフォーマンスだったことは強調しておきたいが、ここ日本と海外では、Foalsというバンドの認識に大きな乖離があることは間違いない。

そこで、ここからは全世界的なアリーナロックの潮流の変化を振り返りながら、Foalsがその時流にどのように対応し、ファンベースを拡大していったのか、見ていこう。

 

Foals(ふぉーるず) / 撮影:Mitch Ikeda<br>英オックスフォード出身、4人組のロックバンド。全オリジナルアルバムが、全英チャートにてTOP10入りを果たしている。ゼロ年代から「非オーソドックス」を探求し続け、この10年の間には海外大型フェスティバルのヘッドライナーを飾る唯一無二なバンドへと進化を遂げる。2019年、共通のテーマ、アートワーク、タイトルをもつ、2枚の新作『Everything Not Saved Will Be Lost』を発表。その『Part 2』は10月にリリースされ、初の全英1位を獲得した。2020年には6年ぶりとなる単独ツアーが決定している。
Foals(ふぉーるず) / 撮影:Mitch Ikeda
英オックスフォード出身、4人組のロックバンド。全オリジナルアルバムが、全英チャートにてTOP10入りを果たしている。ゼロ年代から「非オーソドックス」を探求し続け、この10年の間には海外大型フェスティバルのヘッドライナーを飾る唯一無二なバンドへと進化を遂げる。2019年、共通のテーマ、アートワーク、タイトルをもつ、2枚の新作『Everything Not Saved Will Be Lost』を発表。その『Part 2』は10月にリリースされ、初の全英1位を獲得した。2020年には6年ぶりとなる単独ツアーが決定している。

ロック不況に苦しんだ2010年代。Foalsが例外的な成功を収めるまで

ポストパンク~マスロック的な文脈で紹介されることの多かったデビュー作『Antidotes』(2008年)、アトモスフェリックなアートロックへと進化した2ndアルバム『Total Life Forever』(2010年)を経て、Foalsがアリーナロック的なスケールを獲得しはじめたのは2013年リリースの3rdアルバム『Holy Fire』において。当時、冬の時代を迎えていたUKロックシーンを横目に、彼らが志したのは、持ち前の精緻なアートロックと1990年代USオルタナ的なダイナミズムの融合だった。

Foals『Holy Fire』を聴く(Spotifyを開く

同作でプロデューサーとして招聘したのは、アラン・モウルダーとフラッドの2人。彼らは、U2やDepeche Modeらによる1980年代ニューウェイブを代表する傑作から、Nine Inch Nails、Smashing Pumpkinsといった1990年代オルタナのメガヒットを手がけたことで知られる大御所だ。この人選は、わかりやすくFoalsの目指したサウンドを象徴している。

フラッド&アラン・モウルダーがプロデュースを手がけたSmashing Pumpkins『Mellon Collie and the Infinite Sadness』(1995年)を聴く(Spotifyを開く

フラッド&アラン・モウルダーがプロデュースを手がけたNine Inch Nails『The Fragile』(1999年)を聴く(Spotifyを開く

2013年当時、アリーナロック勢として最も勢いのあったバンドといえば、前年リリースの1stアルバム『Night Visions』が英米同時にチャート2位を記録したImagine Dragonsだろう。複数の太鼓を打ち鳴らすことでフィジカルに訴えかける彼らのライブスタイルは、いま振り返れば、多くのUK出身バンドが当時直面した「アメリカの壁」を暗示するものでもあった。ただ、同時期にアメリカ的なサウンドスケールを視野に入れていたFoalsは、数少ない例外としてアメリカでの成功の足がかりを手にした。

Foalsは、続く4thアルバム『What Went Down』(2015年)でもラウド化、ヘビー化を推し進め、同作収録のシングル“Mountain at My Gates”で全米オルタナティブチャート1位を獲得。

Foals『What Went Down』を聴く(Spotifyを開く

この頃には、イギリスのみならずアメリカでもロック不況の流れが顕著になっており、アリーナ、スタジアム、フェスを埋める音楽界の主役の座は、EDMやヒップホップ勢へと取って代わられていった。

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リリース情報

『Everything Not Saved Will Be Lost Part 2』(CD)
Foals
『Everything Not Saved Will Be Lost Part 2』(CD)

2019年10月23日(水)発売
価格:2,640円(税込)
SICX141

1. Red Desert
2. The Runner
3. Wash Off
4. Black Bull
5. Like Lightning
6. Dreaming Of
7. Ikaria
8. 10,000 Ft.
9. Into the Surf
10. Neptune

Foals
『Everything Not Saved Will Be Lost Part 1』(CD)

2019年3月8日(金)発売
価格:2,640円(税込)
SICX122

1. Moonlight
2. Exits
3. White Onions
4. In Degrees
5. Syrups
6. On The Luna
7. Cafe D'Athens
8. Surf, Pt. 1
9. Sunday
10.I'm Done With The World (& It's Done With Me)

イベント情報

XXX
『Foals 来日ツアー』

2020年3月3日(火)
会場:愛知県 名古屋CLUB QUATTRO

2020年3月4日(水)
会場:大阪府 BIGCAT

2020年3月5日(木)
会場:東京都 新木場STUDIO COAST

プロフィール

Foals
Foals(ふぉーるず)

英オックスフォード出身、ヤニス・フィリッパケス(Vo,Gt)、ジミー・スミス(Gt)、ジャック・ベヴァン(Dr)、エドウィン・コングリーヴ(Key)からなる4人組のロックバンド。全オリジナルアルバムが、全英チャートにてTOP10入りを果たしている。ゼロ年代から「非オーソドックス」を探求し続け、この10年の間には海外大型フェスティバルのヘッドライナーを飾る唯一無二なバンドへと進化を遂げ、2019年、共通のテーマ、アートワーク、タイトルをもつ、2枚の新作『Everything Not Saved Will Be Lost』を発表。その『Part 1』が3月8日に全世界で発売となり、『SUMMER SONIC 2019』では圧倒的なライブを披露した。『Part 2』は10月にリリースされ、初の全英1位を獲得した。2020年には6年ぶりとなる単独ツアーが決定している。

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