11月30日に発表されたSpotifyの年間ランキングで、「海外で最も再生された国内アーティストの楽曲」の4位にランクインしたimaseの“NIGHT DANCER”。藤井 風、YOASOBI、米津玄師に続き、まだキャリアの浅い新人であるimaseがこの順位に入ったことは快挙だと言っていいだろう。
特に韓国での人気は非常に高く、K-POPのアーティストが“NIGHT DANCER”を使ったダンス動画をTikTokに次々投稿すると、2月には韓国最大の音楽サブスクリプションサービスであるMelonのトップ20にJ-POPとして初めてランクイン(最高位17位)。現地でのショーケースやフェス出演を経て、12月2日に開催された韓国最大級のK-POPアワード『MMA2023』に日本人として初めて出演し、“NIGHT DANCER”のパフォーマンスに合わせてK-POPのスターたちが踊る光景は、今年のハイライトとなった。
そこでこの「“NIGHT DANCER”現象」とも呼ぶべき一年を、『MMA2023』から帰国したimaseとともに改めて振り返った。Spotifyが国内アーティストを世界に紹介するためのグローバルプレイリスト「Gacha Pop」をスタートさせるなど、海外へ向けた新たな動きが活発になった2023年を締めくくるにふさわしい、imaseの言葉にぜひ耳を傾けてもらいたい。
“NIGHT DANCER”誕生の背景。歌謡曲寄りのメロディー、ダンサブルなトラック、韓国R&Bアーティストからの影響
―2023年はimaseさんにとってどんな1年になりましたか?
imase:かなり変化があった年だったなと思っています。今年は活動の幅が広がった年で、ライブを始めたり、仕事で海外に行くようになったり、去年よりテレビにも出るようになったり。初めてのことにかなりチャレンジした年でした。自分でもこんなふうになるとは予想していなかったし、この先もどうなっていくのか本当にわからないなと思えるような1年でしたね。
―その変化を生んだのはやはり“NIGHT DANCER”のヒットが大きくて、リリース自体は去年だったわけですけど、もともとどんな着想から生まれた曲だったのでしょうか?
imase“NIGHT DANCER”を聴く(Spotifyを開く)
imase:“NIGHT DANCER”はデビューしてから5曲目にリリースした曲です。当時はまだあまり四つ打ち曲は作っていなかったんですが、昔から四つ打ちのシティポップやR&Bを聴くのがすごく好きで。ただただ自分が好きだからつくりたいなと思ってつくりました。その頃はSNSにショート尺でオリジナル曲を投稿していた時期だったので、まずショート尺でサビだけつくりましたね。
―そこからUGCの数などを見つつ、反応が良かったからフルで仕上げてみたと。
imase:そうですね。当時TikTok内では、スクラッチから入って写真をつなげるような動画がバズっていたので、もともとはそれを意識してつくっていました。最初はその通りの使われ方をされていたんですが、Hoodie famさんがダンスの振り付けをしてくださって、そこからとても広がったので、嬉しかったです。
MVの再生回数一億回突破を記念して制作された“NIGHT DANCER”のスペシャルエディションMVにはHoodie famも出演
―楽曲を制作するうえでのリファレンスはありましたか?
imase:いつも楽曲制作をする前にたくさん曲を聴くタイプで、当時は1980年代の日本のシティポップを聴き漁っていたと思います。メロディーは歌謡曲っぽさを意識しつつ、トラックの部分においては洋楽っぽい、ダンサブルな感じにして。バランスを大切にしました。
―特に韓国のアーティストやシーンを意識したわけではない?
imase:意識したわけではないですね。ただ韓国のアーティストはもともと好きで、当時だとDEANやCIKIなどのR&Bのアーティストをよく聴いていたので、ファルセットの使い方やメロウなメロディーラインは自分の中にかなりインプットされているような気がします。
日本語ならではの語感と普遍的なメロディーの追求、K-POPの新たなトレンドとのリンク
―韓国をはじめとした海外の音楽シーンも意識しつつ、ただここまで聴かれるようになるとは……。
imase:正直思っていなかったです。“Have a nice day”と“逃避行”が中国の抖音(ドウイン。中国版のTikTok)で結構聴かれていて。海外でも受け入れられる曲をつくりたいとはずっと思っていましたが、まさかここまで一気に広がるとは思っていなかったので、びっくりしました。
imase『POP CUBE』を聴く(Spotifyを開く)
―メロディーの良さに加えて、歌詞は日本語だけどサウンド的な気持ちよさがあることはすごく重要だと思っていて。“NIGHT DANCER”のアレンジャーのESME MORIさんは自らがアーティストでもあり、トラックメイクにおいては海外のトレンドも意識しつつ、日本語での表現を大事にされている方なので、imaseさんとの相性も良かったんだと思うんですよね。
imase:メロディーは歌謡曲寄りですが、トラックは洋楽のようにシンプルで音数が少ないんです。ESMEさんと話しながら一音一音を太くつくっていったので、そこも海外で受け入れていただけた要因かなと思いました。ESMEさんのインタビューも拝見しましたが、歌詞を大切にして、歌やボーカルが際立つようなアレンジを意識されている方なので、一緒に制作できてとても楽しかったです。
―imaseさん自身も日本語をどう歌うか、聴かせるかに関してはかなり意識的ですよね。
imase:そうですね。日本語ならではの語感はすごく意識しています。日本語は、英語とは違って母音が硬くなりやすいので、なかなかメロディーにはまりづらかったり、良いリズムを生みにくかったりすることも多いんです。でも、言葉の選び方や韻の踏み方次第で、日本語特有のメロディーとリズムが生まれると思っているので、曲をつくるうえではそこをとても意識しています。
―〈どうでもいいような夜だけど 響めき煌めきと君も〉は、英語とも韓国語とも異なる、日本語ならではの響きや表現を生かした素晴らしいラインだなと思います。
imase:日本語ならではの意味合いみたいな部分も大事にしていて。海外だと主語がないと文章として成立しないことが多いですが、日本語は主語が曖昧でも成り立ちます。そこは日本語の歌詞のおもしろさだと思うので、海外のリスナーの方々が歌詞の意味まで気にしているかはわからないですが、、大切にはしていますね。
imase:あと、日本語ならではのメロディーってあると思うんです。“NIGHT DANCER”は韓国でたくさん聴いていただいていますが、J-POPというか、日本語のメロディーが真新しく感じられて、たくさん聴いていただけたのかなとも思っていて。やはり日本語は大切にしたいなと思いましたね。
―K-POPはアメリカのメインストリームを参考にしながら進んできて、BTSが大きな結果を残したわけですよね。それによってアジア全体の盛り上がりも生まれているなかで、やっぱりJ-POPの強みのひとつはメロディーの良さだなと感じることは多いです。
imase:日本語特有の普遍的なメロディーっていうのはあると思います。ただ最近は日本語の曲でも結構複雑なメロディーの曲が増えているなとも思っていて。
―ボカロ文化もあったり、複雑なメロディーの曲が増えていますよね。
imase:音数も増えていて、それはそれで結構好きなので自分で聴いたりもしているんですが、普遍的なメロディーも日本語特有のおもしろさなのかなと思っているので、自分はそっちをつくっていきたいなと思っています。
―NewJeansに代表されるようにクラブミュージックをベースにしたポップスもトレンドのひとつになって、“NIGHT DANCER”はその流れにフィットした部分もあったように思います。
imase:僕もそう思います。日本の曲でいうと、優里さんの“ドライフラワー”も韓国でかなり聴かれているので、やっぱりバラードも強いなと思います。ただ、韓国では四つ打ちやクラブミュージック、UKガラージが特に流行っていると思うので、そのラインにはまったのかなと思っています。
―“NIGHT DANCER”をつくった頃はまだここまでの状況ではなかったですよね。
imase:そうですね。ダンスミュージックのトレンドのようなものはずっとあったと思いますが、NewJeansさんやBTSのジョングクさんも2ステップの雰囲気があったり、今年に入ってからよりトレンドになったと思うので、運もよかったと思います。
NewJeans“OMG”を聴く(Spotifyを開く)
Jung Kook“Seven(feat. Latto)”を聴く(Spotifyを開く)
imaseが大切にした、バズるまでの過程
―Spotifyでの今年一年の“NIGHT DANCER”の再生回数の推移を見ると、2月くらいから上昇の角度が上がっていて、5月にピークを迎え、その後も一年を通して聴かれ続けました。Hoodie famの振り付けがあり、それがK-POPのアーティストに広まったことがバズの要因として大きかったわけですが、最初がStray Kidsでしたっけ?
imase:たしか去年の9月ぐらいにStray Kidsさんが踊ってくださって。でも一気に増えたのは年が明けてからで、ATEEZさんやIVEさんなど、いろんなK-POPアーティストの方々が踊ってくださいました。
“NIGHT DANCER”で踊るStray Kidsのヒョンジンとスンミン
―Melonのトップ20にJ-POPとして初めてランクインしたのも2月でしたけど、特別そのタイミングでなにかがあったわけではない?
imase:そうですね。アーティスト軸とUGC軸の両方から自然に広がっていって……こればかりは狙えないですよね。なので、本当にありがたいです。
―もちろん“NIGHT DANCER”以前から出自としてTikTokを活用していて、だからこそバズが起きたときにはすぐそれに自ら反応していったことも大きかったですよね。
imase:“Have a nice day”が最初にバズったんですが、そのきっかけはドラムパッドの弾き語りスタイルだったことと、画角も要素として大きかったみたいです。その頃から、予期せぬバズが起こることってあるんだなと思っていて。
“Have a nice day”のサビを歌うimase
imase:そういう経験もあったので、いろんな方が踊ってくださった動画に対してのリアクション動画を撮ったり、自分も一緒に踊ったり、すぐに反応することでさらに広まっていったのかなと思います。これからも、少しでもチャンスになり得るようなことがあったら、自分からも積極的に発信して広げていきたいなと思います。
―最初のバズは楽曲自体の魅力がないと起こらないけど、そこから先は自らアクションを起こしていくことも大事で、結果的にジョングクにまで届いたわけですもんね(今年5月からimaseも参加しているグローバルファンダムライフプラットフォーム「Weverse」でのライブ配信中に“NIGHT DANCER”を歌い、「曲がいい!」と絶賛)。
imase:ジョングクさんが歌ってくださった時は、本当に驚きましたし、とても嬉しかったです。届いたときは、そこまでの過程を大切にしてきて本当に良かったなと思いましたね。
―10月にジョングクさんが日本に来たとき実際に会えたんですよね。
imase:カルバンクラインのイベントがあったときに、ジョングクさんがグローバルアンバサダーとして来日されていたのでそのときにご挨拶させていただきました。「歌ってくださってありがとうございます」とお伝えしたら、「いい曲ですね」と言ってくれて……通訳の方を通してですが、直接感謝を伝えることができて嬉しかったです。
“NIGHT DANCER”現象の集大成。韓国最大級のK-POPアワード『MMA2023』に日本人として初めて出演
―“NIGHT DANCER”は英語バージョンや韓国語バージョンも配信されていますね。
imase『NIGHT DANCER』を聴く(Spotifyを開く)
imase:違う言語で歌ってみると、別の言語ならではの語感の良さを知れましたし、韓国語バージョンで歌うと現地のファンの方がすごく喜んでくれて嬉しかったです。
―実際に韓国でショーケースを行ない、フェスにも出たわけですが、現地のファンの反応からはどんなことを感じましたか?
imase:やっぱり現地に行ったほうがいいなと思いました。SNS上だけではわからないことが多かったんです。もしかしたらSNSだけで盛り上がっているのかもしれないし。でも実際に行ってみると、ありがたいことに声もかけていただけるし、ライブでは“NIGHT DANCER”以外の曲も一緒に合唱してくれたりして、本当に聴いてくださっているんだなと実感することができました。
―国による盛り上がりの違いはどう感じましたか?
imase:海外のファンの方はとても熱狂的ですね。来年以降、海外でもライブをする機会が多くなると思うので、日本でも海外でも共通していいパフォーマンスをするために、もっとスキルアップしたいですね。
―ダンスパフォーマンスも練習してたりするんですか?
imase:いまはまだ全然できていないんですが、来年以降はやりたいなと思っています。ガチガチに踊れなくてもいいですが、もともと弾き語りするスタイルでもないので、動きを出せたらパフォーマンスに違いが出るかなと思っています。
―先日の『MMA2023』では「J-POP FAVORITE ARTIST」を受賞して、日本人アーティストとして初めて出演し、Hoodie famと一緒にパフォーマンスをしました。ある意味、この一年の集大成の場だったように思いますが、『MMA2023』はいかがでしたか?
imase:グループアーティストが多かったので、そういう意味ではアウェイでとても緊張しました(笑)。でもみなさん温かく受け入れてくださって、すごく嬉しかったです。賞をいただいたのは初めてだったので、本当にたくさん聴いていただけていたんだなという実感にもつながりました。
NewJeansらも出演した『MMA2023』での“NIGHT DANCER”のパフォーマンス映像
「海外で最も再生された国内アーティストの楽曲」では第4位。第1位の藤井 風“死ぬのがいいわ”との共通点は?
―先日発表された「Spotifyまとめ」と連動して、「Spotify Singles」に参加し、Yaffleさんによる“NIGHT DANCER”のリミックスが発表されました。
imase:めっちゃいいですよね。昔からYaffleさんとはなにかの曲でご一緒したいなと思っていたので、今回Spotifyさんのお話をいただいて、Yaffleさんにお願いしました。
imase“NIGHT DANCER -Yaffle Holiday Remix-”を聴く(Spotifyを開く)
imase:クリスマスの雰囲気もありながら、“NIGHT DANCER”のいままでとは違う良さも出してくださったと思っていて。Yaffleさんのアレンジも音数自体はシンプルだけど、エレピやシンセ、ドラムの音がすごく太くて。“NIGHT DANCER”の原曲に近しいような要素もありつつ、シンセの音が少し遅れ気味だったり、原曲ともまた少し違ったグルーヴがあって、すごくかっこいいです。
―ボーカルの処理の仕方とかも「Yaffleさんらしいなあ」と思いました。
imase:音色からしてYaffle節だから、聴いたらすぐ「Yaffleさんだな」と思いますよね。「今度またYaffleさんとご一緒できるならどの曲がいいかな?」とか、勝手に考えたりしています。自分のメロディーや歌声とすごく相性が良いような気がしているので、ぜひまたご一緒したいです。
―「Spotifyまとめ」で発表された「海外で最も再生された国内アーティストの楽曲」のランキングでは“NIGHT DANCER”が4位で、藤井 風さんの“死ぬのがいいわ”が2年連続で1位でした。“死ぬのがいいわ”はYaffleさんが編曲を手掛けているわけですけど、このランキングに対してはどんな印象ですか?
imase:ランクインしている全ての楽曲が、異なるアプローチやスタイルでバズっていたと思うので、そういった意味では、諦めずに続けることがチャンスにつながるんだと思いましたね。
―2〜3年前まではアニメの曲だけでランキングが埋め尽くされるような感じだったのが、それと関係なく“死ぬのがいいわ”がヒットして、今年は“NIGHT DANCER”であり、なとりさんの“Overdose”もタイアップなしでヒットしたし、またちょっと別の文脈だけど、XGみたいなガールズグループが新しい道を示したりもして、国内アーティストの世界での聴かれ方も多様化しつつある印象です。
imase:“死ぬのがいいわ”も“NIGHT DANCER”も “Overdose”もXGさんもそうですが、リズムが立っている曲が聴かれていますよね。
―imaseさんは“NIGHT DANCER”以外の曲も含めて、リズムのハネ感はずっと意識してきた部分ですよね。
imase:ハネ感とメロディーはかなり意識しています。音楽活動を始めた頃は音楽知識もまったくないし、他のアーティストと比べてすごく歌が上手いわけでもない。そこだけでしか勝負ができなかったので、メロディーとリズムのハネ感にはかなり力を入れましたし、いまもそうですね。
―自分の武器がなんなのかをちゃんと分析したうえで、その強みを押し出す楽曲制作を初期の頃から意識してきたと。
imase:そうですね。王道というか、正攻法では勝てないなとずっと思っていましたし、普遍的なメロディーだけだと流されちゃうこともあるので、やはりバランス感が大事だなと思っていて。どこで違いを出すかは、トラックかもしれないしボーカルかもしれない。曲によって違ったりすると思いますが、ひとつフックになる部分は必須だなと思います。
―藤井 風さんの曲はそのバランスやフックのつくり方が絶妙ですよね。
imase:J-POPのいいとこ取りをしていて、メロディーはかなり歌謡曲だけど、そこにYaffleさんのアレンジがあることで独特な組み合わせになっていますよね。“死ぬのがいいわ”も、ああいう曲にトラップっぽいビートを合わせるおもしろさがあって、そこがフックになっていると思います。メロディーだけじゃなくて、藤井 風さんのワードセンスも。「死ぬのがいいわ」ってなかなか強烈ですし、そういうフックがありつつ、でも普遍的でもありつつみたいな。
―“NIGHT DANCER”もまさにそういう曲で、ESMEさんとの組み合わせの妙もあるし、リズムも含めた日本語の独自性があるし、そのうえでメロディーの普遍性もある。そういった要素が積み重なって生まれたヒット曲だったような気がします。
imase:そうだとしたらすごく嬉しいですね。
「ずっとライブは意識していた」。“Nagisa”、“ユートピア”、“ヒロイン”など、2023年の楽曲たち
―ここまで“NIGHT DANCER”のことを軸に話してきましたが、2023年の活動全体でいうと、他にはどんなことが印象的でしたか?
imase:やっぱりライブですかね。ライブ活動を始めたのはかなり大きかったです。いまは曲作りにも結構影響があって、「ライブで盛り上がる曲をつくろう」という想いが強くなりました。どんな曲がライブで受けやすいかなど、いまはかなりそこを意識してつくっています。
―先日リリースされた“ヒロイン”もきっとそういう曲ですよね。BPMはおそらくこれまでの曲のなかでも最速だと思いますし。
imase“ヒロイン”を聴く(Spotifyを開く)
imase:そうですね。やっぱりロックが好きな人って多いなと感じているので、来年はゴリゴリなロックも出そうかなと思っていたりします。“ヒロイン”にはギターソロが入っていたり、かなりライブを意識してつくりましたね。
imase“Nagisa”を聴く(Spotifyを開く)
imase“ユートピア”を聴く(Spotifyを開く)
―ライブではAwesome City Clubのモリシーさんがサポートをしていますが、音源のギターソロは別の方なんですよね。
imase:そうです。でもライブだとモリシーさんがバチバチに弾いてくれています。最近バンドメンバーにも録音に参加してもらっている曲もあって。まだリリースはしていない曲なんですが、あぐりさん(ベースの林あぐり)に入ってもらったりしていて。
バンドメンバーはライブを一緒にやっているから、曲のノリもわかってくれるし、これからは制作でもなにか一緒にやれたらいいなと思っています。みなさん百戦錬磨の方々なので、ライブのことだけじゃなく、楽曲制作の話もできるんです。ドラムのboboさんはMIYAVIさんとずっとやっていて海外にもよく行っているので、海外だとどういう曲が受けやすいかとか、そういう話もよくしています。
2023年10月31日にZepp Shinjukuで行われたライブでの“ヒロイン”のパフォーマンス映像。モリシーによるギターソロもフィーチャー
「日本語だからとか英語だからとか関係なく、いろんなアーティストが聴かれるようになったらいいなと思っているので、その窓口になれたら」
―曲をつくるときはいろんな曲を聴いて分析してつくるという話がありましたが、「いま現在こういう曲にハマっていて、2024年以降のアウトプットに出てくるかも」みたいな、いま現在のimaseさんの興味について教えてください。
imase:結構バラバラなんですよね。そのときつくっている曲がカントリーだったらカントリーを聴いたり、ロックだったらロックを聴いたり。最近は2000年代J-POPアイドルソングをつくろうかなと思っていて、SMAPさんやAKB48さんなどの曲を聴いています。
あと個人的に最近ずっとハマっているのが、Frost Children。テクノやハイパーポップのアーティストです。結構カオスな曲なんですが、そういう曲もあってもいいのかなと思ったり。
Frost Children『Hearth Room』を聴く(Spotifyを開く)
imase:海外だとずっと2ステップやUKガラージが流行っていると思います。日本でもSIRUPさんやSkaaiさん、R&Bのアーティストは2ステップのビートでかっこいい曲を出していたりしますが、ポップスでやっている人はまだあまりいないかなと思うので、チャレンジしてみたいです。
―では最後に、今後の活動を通じてimaseさんが体現したいこと、成し遂げたいことがあれば教えてください。
imase:ひとつ前の話とも通じるんですが、僕は海外の曲がすごく好きで、UKガラージやハウスをよく聴きますが、日本はやっぱりバラードが強いなと思っていて。いまはNewJeansさんやBTSのジョングクさんなどが日本でも聴かれたり、ダンサブルな曲も受け入れられやすい環境はできてきていると思います。でも、もっと受け入れられてもいいのかなと思うので、僕がそこのひとつの入口になれたらいいなと思っています。
―リスナーの音楽の間口を広げられるような存在になりたい?
imase:音楽が好きでよく聴いている方は洋楽も聴いていると思いますが、音楽をたまに聴くぐらいの友達だと、洋楽はほとんど聴いていなくて。有名なアーティストでも、「誰?」という反応をされることが多々あります。日本語だから、とか英語だから、とかが関係なく聴かれるようになればいいなと思っているので、その窓口になれたら嬉しいですね。
- プロフィール
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- imase (いませ)
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岐阜出身の23歳の新世代男性アーティスト。音楽活動開始わずか1年でTikTokで楽曲をバイラルさせ2021年12月にメジャーデビュー。「NIGHT DANCER」は韓国配信サイト“Melon”でJ-POP初のTOP20入りを果たし、SpotiifyバイラルチャートTOP50に31カ国ランクインするなど世界各国でもバイラル中。2023年3月30日に開催した初の有観客ライブ『POP OVER』は追加公演共にチケットが即完売。夏フェスにも続々と出演し、今秋開催した自身初のツアー『imase 1st Live Tour 2023 "Utopia"』のチケットも即完売した。2024年3月からは初の全国ツアーの開催が決定している。