佐藤千亜妃とさとうもかが考える音楽活動の「やり方」と「あり方」。TikTokのバズのその先で

TikTok×Spotifyによるアーティスト応援プログラム『Buzz Tracker』で、それぞれマンスリーアーティストに選出されている佐藤千亜妃とさとうもか。今年発表の“夜をループ”や“魔法”がバズを起こしただけでなく、佐藤はきのこ帝国として2014年に発表した“クロノスタシス”が映画『花束みたいな恋をした』の影響もあって近年リバイバルヒットしたことも記憶に新しい。さらに、さとうは2020年発表の“melt bitter”がロングヒットを記録し、今年の『TikTok流行語大賞』にノミネート。こうした現象はサブスクやTikTokの現代における影響力の大きさをあらためて感じさせる。

さとうは先日、11月1日に独立を発表し、インスタライブで自らの気持ちを直接ファンに伝えた。こうしたSNSによるつながりはプラスの側面がある一方、その距離感の難しさや多様化するSNSごとの差異がアーティストのメンタルを苦しめる可能性も存在する。そんな時代において、2人はどのようにさまざまなツールと向き合っているのか。それぞれの現在地を語り合ってもらった。

サブスクへの移行に伴うサイクルの変化と、きのこ帝国“クロノスタシス”のリバイバルヒット

―もかさんはご自身の楽曲がサブスクやTikTokでたくさんの人に聴かれている現状についてどのように感じていますか?

さとう:すごくネット世代を感じます。2013年頃にSoundCloudに曲を載せ始めたのがきっかけで、いろいろな方に知ってもらえるようになったのが、自分の音楽活動の最初の一歩だった気がして。CDにも憧れがあったけど、そこからだんだんサブスクが発展していって、自然とサブスクで聴かれるようになっていった感じがあります。

―千亜妃さんの音楽活動の始まりは2007年結成のきのこ帝国で、活動初期の曲を聴いてもらう手段としては、やはりCDが中心でしたよね。

佐藤:MySpaceはあったんですよ。

さとう:MySpace?

佐藤:SoundCloudみたいな、自分たちの音源を載せて、ただで聴いてもらうサイトがあったんです。CDをつくるのもお金がかかるから、アマチュア時代は意外とMySpaceで曲を聴いてもらうのも重要で、mixiみたいに「フレンド」の機能があったから、「このバンドとフレンドになってる」みたいなので優越感があったりとかして(笑)。

そうやってネットで交流もしつつ、やっぱり主戦場はCDの時代で。最初は、現場で販売するためのCDを自分たちでつくって、そこからインディーズになって、メジャーになるっていう、CD文化を経験しましたね。

―音楽の聴かれ方がCDからサブスク中心に移ったことによって、ご自身の活動にはどんな変化がありましたか?

佐藤:サイクルが速くなりました。CDのときの方がゆっくりどっしりつくって、それを長く聴いてもらって、その間にまたつくるっていうサイクルが何となく自分のなかにあったんですけど、いまは一か月も経つと一周回っちゃって、また新しい音楽が出てくる。

リスナーもイントロだけ聴いてほかの曲に飛ばせたりするから、より「最初の何秒が大事」みたいなことも顕著になってきて、しっかり爪痕を残すように、一曲一曲を大事に出すようになりました。

アルバム単位で聴かれることは減ったような気がするので、「ちょっと力を抜いたアルバム曲」みたいなのはあんまり機能しなくなって、それはちょっと歯がゆくもありますね。なので、フルアルバムより5曲入りのEPとかの方が、いまの時代には合ってるのかなと思ったり、やり方が変わったぶん、いろんなことを考えています。逆に、サブスクがネイティブの世代の子たちは、どういう感覚なのか気になってはいるんですけど。

さとう:ちょっとネガティブな言い方になっちゃいますけど、ある意味、消費されやすくなった感じはしていて。「どんどんつくらなきゃ」みたいな、焦っちゃう部分はあります。でもそれだと目の前のことばっかりになって視野が狭くなるかなと思って、あまり焦りすぎず丁寧に、自分の確固たるものを積み上げていったら、簡単には消費されない「私ならではの道」ができることを信じたいです。

―サブスクで時代関係なく音楽が聴かれるようになって、リバイバルヒットが起こりやすくなりました。きのこ帝国の“クロノスタシス”もその代表例のひとつだと思うんですね。映画『花束みたいな恋をした』で使用されたことも大きかったと思いますが、他に原因があったのでしょうか?

きのこ帝国“クロノスタシス”を聴く

佐藤:私もよくはわかってないんですけど、大学生とか新社会人に「ワン缶文化」っていうのがあるらしくて。コンビニで缶ビールとかを買って歩き飲みをするのが流行っていて、そのBGMとして“クロノスタシス”を聴いたり歌ったりしていたと聞きました。どうやらそういう文化にフィットして、そこに映画のことも加わって一般化したのかなって。

菅田(将暉)くんも映画関係なく、もともとそういう感覚で“クロノスタシス”を歌ってくれていたみたいです。あの曲を出した当時(2014年)は自信満々で、「これ絶対くるだろう」と思ってたから、「もっと早く言ってよ」って感じではあるんですけど(笑)。時代に合ってきたのか、リバイバルみたいなかたちでみんなに聴いてもらえるようになったのはラッキーだし、すごくうれしいことでした。

さとうもかが独立時のインスタライブに込めた想いと、多様化するSNSの難しさ

―現代のサイクルに前向きに乗っかって、手数多く楽曲を出していくのか、そのサイクルから外れて、自分の道を見つけていくのか。それはアーティストによってもさまざまでしょうし、同じアーティストでもキャリアの時期によって変わってくるのかなと思います。千亜妃さんで言うと、8月にデジタルでリリースした『NIGHT TAPE』は5曲入りのEPで、先ほど話にあった現代的なサイズ感を意識しての制作だったのかなと。

佐藤千亜妃『NIGHT TAPE』を聴く

佐藤:そうですね。去年はわりと重心がしっかりした感じの『KOE』というアルバムを出して、その活動を経た結果、もうちょっとフットワーク軽く聴いてもらえるような場をつくっていきたい欲求が出てきたので、すごく自然に『NIGHT TAPE』の制作に向かえました。ただ、フットワーク軽く出し続けるのが苦しくなっちゃうアーティストもいると思うんですよね。

そこでもがき続ける美もあると思うけど、そこから一回抜け出して、マイペースなやり方が構築できたら、それはそれでアーティストとして長く活動できそうだなと思って。器用に環境にフィットしていける人はすごいけど、器用にできない人が悪いわけではないじゃないですか? 器用じゃない人にとっての居心地のいい場所ができたら、選択肢が増えてよりいいのかなと思います。

―もかさんが先日独立を発表したのも、自分にとって居心地のいい環境を自分でつくっていくための第一歩だったと思うんですけど、インスタライブでまずはファンの人に直接自分の言葉でその理由を伝えていましたね。

さとう:昔は自分一人でやるしかなかったところから、だんだんいろいろな場所で音楽をするようになって、いろんな人が手伝ってくれるようになって。それによってクオリティの高いものを見せられる場が増えたのは本当にありがたいことだったんですけど、そのぶん「この瞬間の自分の声」と自信を持てるスピード感や親密さを届ける場所が減ってきた気がして。

クオリティや規模感も良くしていきたいけれど、自分の信念を誠実に伝えることもとても大事にしたいし、ファンの人もみんな心を持つひとであるように、私も同じだから。そこはごく普通に「自分が伝える以外ねぇな」みたいな感じでした。

―昔はそういう機会をつくることが難しかったけど、いまはツールがたくさんあって、直接伝えられるのはいいことですよね。もちろん、SNSによって考えなくちゃいけないことが増えたという側面もあるわけですけど。

佐藤:いまはいろんな種類のSNSが生まれて、それをやるのがベーシックになっているので、そこに対する追いつけなさみたいなのは多少感じていて。身近にリスナーとやり取りできるよさはありつつ、SNSごとのユーザーの違いがあるじゃないですか?

同じものを投稿してもダメで、ちょっとずつ変えないといけない。そこがすごく難しくて、一人で全部やるのは無理だなって。昔はTwitterとInstagramをやってればよかったけど、いまはもっといろいろありますもんね。

さとう:TikTokはそのなかでもカロリー高めというか、「レベルたけぇ!」みたいな(笑)。

佐藤:SNSのデータ解析はスタッフがメインでやってくれてるんですけど、自分でアルゴリズムの勉強もして。でもそれは音楽そのものとはまた違う悩みだから、いまのアーティストにはいまだからこその悩みがあるなと思いました。リスナーとの距離感にしても、近い方がうれしい人もいれば、それを重く感じる人もいるかもしれないですし、そこのコントロールの裁量、セルフブランディングがより重要になっていると思いますね。

“melt bitter”のロングヒット、TikTokによってもたらされたティーン層への広がり

―もかさんは今年TikTokをきっかけに“melt bitter”や『Buzz Tracker』に選ばれた“魔法”がたくさんの人に聴かれたわけですが、それについてはどのように感じていますか?

さとうもか『melt bitter』を聴く。“melt bitter”は10月末時点でTikTok総使用回数20億回を突破している
さとうもか『魔法』を聴く

さとう:本当にびっくりしたんですけど、いままで届いてなかった人たちに届いた感覚がすごくあって。それはうれしかったです。それまでは自分と同世代とか、ちょっと上の方がライブに来てくれていたんですけど、“melt bitter”がたくさん聴かれて以降は、高校生とか自分より年下の人たちがたくさんライブに来てくれて。それはすごい衝撃でした。

―「衝撃」だったんですね。

さとう:2年前の曲ですし、「いつ何が起こるかわからん!」って。

―“melt bitter”は弾き語りの投稿がたくさんあったのも広がりが生まれた要因のひとつでしたが、それについてはどう感じていますか?

さとう:コピーバンドをしてもらってるような気分というか。自分も高校生とか大学生のときにコピーバンドをやっていたし、家で弾き語りの動画を撮って、Twitterに載せたりしていたので、「自分の曲でやってもらえるなんて!」って。嬉しいのはもちろん、自分の曲の表現を客観的に見ることができて、自分自身でも新しい発見がありますね。

―千亜妃さんも『Buzz Tracker』で取り上げられた“夜をループ”がたくさんの人に聴かれていますね。

佐藤千亜妃 - 夜をループ(Lyric Video)

佐藤:正直まだ実感はないんです。でもこの曲をきっかけに、名前だけでも知ってくれた人が多いのかなと思っていて。「きのこ帝国は好きだったけど、ソロでもやってたんだ」って、初めて知ってくれる子もいたのかなと思うと、今後活動していくうえで、いい相乗効果になっていったらいいなと思います。でも……どこか遠い国で起きてる出来事みたいな感覚もあって。

さとう:わかります。

佐藤:ここ2年くらいはコロナ禍なのもあって、ライブをバンバンやって、動員がどうのって感じでもなかったので、それで実感が湧いてないのもあると思うんですけど。

―それこそ、もかさんの話のように、ライブの本数が増えて若いお客さんが増えたりすると実感も増すんでしょうね。

佐藤:10代の子に聴いてもらえるのはめちゃめちゃうれしいです。やっぱり、これまでだと同世代とか、もう少し上の世代の音楽好きに聴いてもらえることが多くて、ティーンにリーチするのはなかなか難しい印象があったので。これをきっかけにもっと高校生とか中学生にも聴いてほしいし、いずれは全世代の人が口ずさんでくれるような曲をつくりたいというのは、憧れというか、大きな目標です。

SNSとアーティストのリアルな関係。「全員に聴いてほしい」と「どの層に届けるか」の狭間で

―その一方では、TikTokで曲を聴いてもらうことの大変さも感じましたか?

さとう:流行っていることをやるのは難しいから、自分なりにできることをやろうと思って。ライブの動画に歌詞をつけたり、面白いと思ったフィルターを組み合わせて、プチミュージックビデオをつくってみたり、半分遊びみたいな気持ちでやったりすることもありました。

@_satomoka_ melt bitter#さとうもか #meltbitter #tiktok#spotify ♬ melt bitter - sato moka
さとうもか "melt bitter" Buzz Tracker TikTokライブ動画

佐藤:私は世代的にTikTokを見る文化がなかったので、何が流行ってるとかは若いスタッフに教えてもらいながらやってました。どうすれば曲に興味を持ってもらえるのかを考えて、弾き語りをしてみたり、いろいろ試行錯誤しながらやっている感じですね。ただ、TikTokerではないから、そこが難しいところで。

さとう:うんうん、そうですよね。

佐藤:専門でやってる人だったら、一貫性をもってずっと動画を上げていくのがいいと思うんですけど、そこの線引きは難しくて。本業から離れすぎて、そこで誤解が生まれるのは不本意じゃないですか。そう考えると意外と制約も多くて、アーティストがTikTokをやるのはなかなか難しい。かっこつけすぎてもあんまり見てもらえなくて、もうちょっと日常っぽい方がいいとか、カルチャーがInstagramやTwitterともまた違いますよね。

@chiaki_sato0920 昨晩のTikTokライブありがとうございました!楽しかった✨ #佐藤千亜妃 #夜をループ #BuzzTracker @TikTok Japan @Spotify ♬ オリジナル楽曲 - 佐藤千亜妃
佐藤千亜妃 "夜をループ" Buzz Tracker TikTokライブ動画

さとう:そうですよね。ガチガチにし過ぎても、CMみたいに見えちゃうんじゃないかと思うし、かといってラフ過ぎても、それをファンの方が望んでるのかっていう。

佐藤:そうそう、望まれてないものを上げてもね。だから、昔よりも「どの層に届けるか」を意識せざるを得ない感じになってきてると思う。昔は「全員に聴いてほしい」って投げて、それを受け取りたい人が受け取ってたと思うけど、いまは思ってもなかったところに響いちゃって、自分のなかにズレが生じて、ストレスになっちゃうこともあるし。投げる側にとっても取捨選択が重要になってきてる。そこは難しいなと思います。

「新しくデビューしたアーティストみたいな気持ちでつくった」、明確な挑戦だった“夜をループ”

―曲をつくるうえでは、サブスクやTikTokのことをどの程度意識しますか?

さとう:私はちょっと意地っ張りな気持ちもあって、「あんまり意識したくねぇな」と思っていたんですけど(笑)、自分がもともとサビ始まりの曲が物語っぽくて好きなので、イントロなしの曲は積極的につくっています。

さとうもか『Love Buds』を聴く。さとうもかのメジャーデビューシングルであるこの曲もサビ始まり

さとう:いまTikTokでたくさん使ってもらっている曲は、自分の心が元気で、本当に書きたいものを書いた曲で。その曲が偶然にも流行ってくれたから、「TikTokで流れそう」みたいなことはあんまり考えていなくて。もともとそんなに器用じゃないから、自分がそういうことを意識したら、みんなの耳をスッて通り過ぎちゃう曲になりそうな予感もするので(笑)、それはしないようにしています。

―“melt bitter”は自分の心が動いたときに自然に生まれた曲だったわけですね。

さとう:そうですね。偶然かもしれないけれど、好きじゃないことをしない方がいい曲になるというか、結局、そういう曲がみんなに届くのかなって思います。

―千亜妃さんはいかがですか?

佐藤:きのこ帝国のころから周りのことはあまり意識せずにやってきたタイプだと思ってるんですけど(笑)。でも“夜をループ”に関しては、ちょっとずつライブができるようになったらいいなっていう展望も含めて、みんなでシンガロングできる、アンセムみたいな曲っていうのがまずあって、そこに緩めのダンスビートを絡ませるのは、TikTokも意識してました。

移籍してすぐにつくり始めた曲だったのもあって、スタッフと「若い人にSpotifyやTikTokで聴いてもらうにはどうしよう?」って話すなかで、自分事のように聴けて、曲に入っていけるような、身近なテーマの曲がいいね、となり、誰かと一緒に聴いたり歌ったりすることを想定してつくった曲だったんです。そうやってイメージしてつくったものを『Buzz Tracker』に選んでいただいて、TikTokでもたくさん使ってもらえて……ちょっと怖いですね(笑)。

佐藤:「夜」をテーマにした曲はこれまでもたくさん書いてきて、それこそ“クロノスタシス”もそうだし、今回はその延長というか、“クロノスタシス”は恋愛の曲に聴こえると思うんですけど、“夜をループ”は友達と一緒にいる夜をテーマにつくってて、「仲間感」みたいなのはこれまであんまり曲にしたことがなかったので、新たな試みが詰まった曲になりました。

きのこ帝国から数えると10年以上音楽をやってますけど、そういう曲を『Buzz Tracker』に選んでいただけたのは、新人アーティストみたいな気持ちでつくって、それがひとつかたちとして報われた感じがしたので、頑張ってつくってよかったなと思いました。

「やり方」はいろいろあるけど、「あり方」は自分で選べる。これから先を「自分の靴で走る」ために

―いろいろなツールとの付き合い方も含めて、もかさんはこれから先の展望をどのように考えていますか?

さとう:いまはやりたいことが貯まっている状態なので、それをひとつずつ叶えていきたいです。インディーズとメジャーの両方を経験して、それぞれのよさがあったと思っていて。自分の殻に閉じこもって、ただ自分のやりたいことをやっているだけだと広まらない実感もあったので、自分が納得できるバランスでやっていきたいです。

音質面でも「レコードのプチプチ音が入っているほうが好き」みたいに、私は「悪い音の良さがある」とも思っていて。そうした表現にまつわるいろいろな評価の軸があると思うんですけど、私は「未完成で完成」な感じが好きなんです。完成されてても、未完成すぎてもダメで。そこのバランスを保ちながら、「おもしろい!」と思える瞬間を見せていきたいですね。

いろいろ大変だとは思うけれど……「自分の靴で走る」みたいな感じ。自分がしたいことは、それでしかできそうにないことがわかった、って感じかな。

―インスタライブではZINEをつくったり、ラジオもやりたいと話していて、音楽を軸としながらも、幅広く活動していきたい?

さとう:そうですね。たくさんの方に手伝っていただけるのはすごくありがたいことなんですが、「自分なら、こうしたい」とか「もっともっと」って思うけれど、人に任せなければいけないシーンも増えて歯がゆい感じもあったりして。そういうことを自分がもっと頑張ったり、信頼できる人としっかり話し合いながら、ひとつずつやっていきたいです。

さとうもか『Lukewarm』を聴く。本作に収録されている“Wonderful voyage”は「いまの自分の心境に合っている」として、独立について説明したインスタライブで弾き語りで演奏した一曲(現在もアーカイブが閲覧可能)

―千亜妃さんもあくまで音楽を軸にしつつ、近年は幅広く活動されている印象を受けます。

佐藤:私は怠惰な人間なので(笑)、本当は音楽しかやりたくないんです。でもありがたいことにいろんな面白いオファーをいただいて、そうなると断れないタイプなんですよね。でもそれで本業が疎かになったら本末転倒なので、そこをもっと明確にしたいといまは思っていて。

より音楽がストロングに響くような、より音楽に集中できるような環境をつくるために、いまはその途中というか、移籍をしたのもそのひとつですし、より自分の音楽人生を濃く楽しくしていく方法を考えたいですね。

―まずは自分のやりたい活動が軸にあって、そのうえで時代ごとにそれに見合ったツールを上手く活用することによって、自己実現につなげていけるといいですよね。

佐藤:宇多田(ヒカル)さんが以前、「あなたは誰にも必要とされてないのよ」って言われて、それで気が楽になったということをツイートされていて。たしかに「そもそも私の歌なんて誰も聴いてなくて、勝手に一人でやってたことじゃん」と思うと、すごく楽になるんですよね。

誰かの機嫌を取りたいわけでも、誰かにお願いされたからでもなく、ただ自己責任でやってきただけで。「やり方」と「あり方」は別で、「やり方」はいろいろあるけど、「あり方」は自分で選べると思うんです。「自分の靴で走る」っていうのも、きっとそういうことなんじゃないかなって。

リリース情報
佐藤千亜妃
『1DK』


2022年12月9日(金)配信
イベント情報
『LUMINE 2022 Xmas for me』

2022年12月25日まで、ルミネ全館でさとうもかオリジナルクリスマスキャンペーンソング“クリスマスをはじめよう”を放送中(ルミネ特設サイトでもBGMとして使用中)
プロフィール
佐藤千亜妃 (さとう ちあき)

シンガーソングライター。音楽活動のため、高校生の時に岩手県から上京し、大学の同級生とバンド「きのこ帝国」を結成。 Vo/Gt/作詞作曲を担当(2019年5月27日に活動休止を発表)。現在はソロで活動中。類まれな表現力を纏った歌声は、音楽ファンのみならず数々のミュージシャン、タレント、俳優等からも支持されている。

さとうもか

1994年生まれ、岡山県出身。無垢な歌声とガーリーなムードをベースにしながら、普遍的な物語を時にはコミカルに、時には鋭く、あべこべな心のグラデーションを色彩豊かに描く世界観に定評がある。国内外を問わず、ポップス〜ロック、シティポップ、エレクトロ、ジャズを横断し、他にないポップでドリーミーな音楽を紡いでいる。これまでに4枚のアルバムをリリース。自身の作詞作曲、歌唱以外にも、楽曲提供やラジオ、Podcast、コマーシャルソング・テーマソング・ナレーションなど、多様な表現活動に関わる。



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