テレ東ドラマP・寺原洋平に聞くこれからのメディアコンテンツ

テレ東ドラマP・寺原洋平に聞くこれからのメディアコンテンツ

2021/10/15
インタビュー・テキスト
西森路代
撮影:豊島望 編集:𠮷田薫、原里実

個性的な番組が人気を集め、2020年には「学生が就職したいテレビ局」ランキングで見事1位に輝いたテレビ東京(以下、テレ東)。Spotifyとのコラボレーションから生まれ、2021年7月クールで放送されていたドラマ『お耳に合いましたら。』は、主人公・高村美園(伊藤万理華)が自身のポッドキャスト番組で「チェーン店のご飯=チェンメシ」への愛を語りつくすという親しみやすい内容もさることながら、ドラマとポッドキャスト番組が連動したコンテンツのあり方も注目を集めた。

今回話を聞いたのは、テレ東のプロデューサー・寺原洋平。『お耳に合いましたら。』のほか、サウナブームのきっかけにもなった『サ道 / サ道2021』、「絶滅してしまいそうな絶品メシ」を求めて各地を旅するサラリーマンを描いた『絶メシロード』(2020年)、ひょんなことから伊豆大島で居酒屋を手伝うことになった元裁判官の主人公を片桐はいりが演じる『東京放置食堂』(2021年)など、深夜帯ドラマで話題作を手がける。

かつてコマース事業部で通販事業にも携わっていたという寺原は、「サービスもドラマもつくり方は似ている」と語り、外部パートナー企業と手を組んだドラマづくりを得意とする。ポッドキャストと連動した『お耳に合いましたら。』の舞台裏から、寺原が考える「テレ東らしさ」まで、たっぷりと語ってもらった。

寺原洋平(てらばる ようへい)<br>2002年テレビ東京入社。デジタル専門の関連会社・テレビ東京ブロードバンドへの出向、編成部などを経て、通販専門の関連会社・テレビ東京ダイレクトに2度目の出向をし、クラブツーリズム株式会社との共同事業『ハーフタイムツアーズ』とを立ち上げる。2018年に、現部署である配信ビジネス局に異動し、深夜ドラマの企画やアイドル事業を担当。
寺原洋平(てらばる ようへい)
2002年テレビ東京入社。デジタル専門の関連会社・テレビ東京ブロードバンドへの出向、編成部などを経て、通販専門の関連会社・テレビ東京ダイレクトに2度目の出向をし、クラブツーリズム株式会社との共同事業『ハーフタイムツアーズ』とを立ち上げる。2018年に、現部署である配信ビジネス局に異動し、深夜ドラマの企画やアイドル事業を担当。

サービスもドラマも、ぼくにとってつくり方はけっこう似ているんです。

―『孤独のグルメ』『きのう何食べた?』『絶メシロード』『お耳に合いましたら。』、そして現在放送中の『東京放置食堂』。テレ東の深夜ドラマといえば、「何かを食べる」ということは外せない感じがあります。

寺原:ほとんどが食に関わるものですよね。でも、ぼくの場合は、あくまでも「食」はひとつの要素にすぎないつもりです。『お耳に合いましたら。』でも、大切なのはチェンメシ自体というよりチェンメシとともにある「思い出」でした。

『東京放置食堂』は、2014年にテレ東で放送していた『逆向き列車』って番組を意識してるんですよ。駅のホームで通勤前の人に声をかけて、「今日一日休みをとって、普段会社に行くのと逆向きの電車に乗りませんか?」とお誘いし、その行程に密着する番組です。

片桐はいりさんが演じる主人公は裁判官を辞めて、ひょんなことから伊豆大島に辿り着いた人。これは、逆向きの電車に乗るだけでは飽き足らない衝動を抱えた人に向けての物語なんです。


『東京放置食堂』トレーラー
あらすじ:曲がったことが大嫌いな主人公・真野日出子は、数多くの被告人を裁き、更生させてきた元裁判官。キャリアを重ねてきた彼女だが、人を裁くことに疲れてしまい、退官を決意。あることをきっかけに向かった大島で、居酒屋を一人で営む寡黙な若い店主・小宮山渚と大島名物の「くさや」と出会い、第二の人生が動き出す

―寺原さんは、現在の部署でドラマをつくるようになる前にも、いろいろなご経験をされてきたそうですね。

寺原:映画部で『木曜洋画劇場』のプロデューサーを務めたあと、編成部では「どんなターゲットに向けてどんな番組をつくるか」という戦略をつくる仕事をしていました。それから通販事業にかかわるコマース事業部に行き、いままで予定があったのに定年によってそれがなくなった世代に向けてツアー商品を紹介する『旅スルおつかれ様~ハーフタイムツアーズ~』(2018年スタート)という番組とサービスを立ち上げたり。

ドラマの部署に異動したのはそのあとです。オールドルーキーとして遅めのスタートを切り、最初にプロデューサーとして担当したのがサウナをテーマにした『サ道』(2019年)でした。

サービスもドラマも、ぼくにとってつくり方はけっこう一緒なんですよね。解決したい課題がまずあって、それに対してどうアプローチするか。『お耳に合いましたら。』は、共同企画のSpotifyさんの「ポッドキャストをもっと広めたい、たくさんの人に活用してほしい」という課題を軸にチームで構成を考えました。

ただそれを、あまりマーケティング的に、市場やトレンドがどうとか考えるのはつまらない。例えばポッドキャストなら、それを「どういう人が聞いていて、どういうエリアで聞かれている」とかから語るのではなくて、「どういう人がどんな気持ちでつかうのか?」という主人公のエモーショナルな面から考えてみたかったんです。

テレビ局の人間が音声だけで番組をつくっているのを見て、うらやましかった。

―『お耳に合いましたら。』は、ドラマとポッドキャスト番組が連動するユニークな番組でしたが、Spotifyとのコラボレーションの話はどのようにはじまったのでしょうか。


『お耳に合いましたら。』トレーラー
あらすじ:漬物会社に勤める主人公・高村美園が、あるきっかけからポッドキャスト番組をはじめ、パーソナリティーとして成長してゆく物語。ポッドキャスト番組では、美園が愛してやまない「チェーン店グルメ=チェンメシ」への愛と、チェンメシにまつわるエピソードを語っている

寺原:2021年4月に、弊社のグループのテレビ東京コミュケーションズが、Spotifyさんと連携して「ウラトウ」という音声コンテンツレーベルをスタートさせたんです。ぼく自身、去年くらいからSpotifyさんのポッドキャストやプレイリストにハマっていたので、うらやましいと思っていました。

―「ウラトウ」では、上出遼平プロデューサーによる『ハイパーハードボイルドグルメリポート no vision』が最初に配信されていますね。そういう局内の動きに刺激されたんですね。

寺原:ジェラシーもありましたね。テレビ局の人間が、音声だけで番組をつくるというのも、いままでのアプローチと違って面白いなと思っていました。ドラマ制作に関わるぼくたちも、Spotifyさんみたいな音楽と音声コンテンツのメガプラットフォームと一緒に何かやってみたいと考えて、私のほうから提案したんです。

「ウラトウ」の第1弾番組『ハイパーハードボイルドグルメリポート no vision』は、世界中の「食の現場」を取材する人気テレビ番組の音声コンテンツ版(Spotifyを開く

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寺原洋平(てらばる ようへい)

2002年テレビ東京入社。デジタル専門の関連会社・テレビ東京ブロードバンドへの出向、編成部などを経て、通販専門の関連会社・テレビ東京ダイレクトに2度目の出向をし、クラブツーリズム株式会社との共同事業『ハーフタイムツアーズ』とを立ち上げる。2018年に、現部署である配信ビジネス局に異動し、深夜ドラマの企画やアイドル事業を担当。

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