佐藤千亜妃×幾田りら、声にならない声に寄り添うために

佐藤千亜妃が2枚目のフルアルバム『KOE』を発表した。タイトル通りに「声」をテーマに掲げ、ありのままの自分を楽曲に投影するとともに、コロナ禍を通じて感じた「声にならない声」に寄り添う全12曲。きのこ帝国の活動休止から2年以上のときを経て完成した、ソロとしての最初のマスターピースである。

そんな佐藤の『KOE』をめぐって、幾田りらとの対談が実現。コンポーザーAyaseとのユニットYOASOBIのボーカルikuraとして、現在の日本で最も聴かれている「声」の持ち主といっても過言ではない幾田。お互いの声の魅力を語り合ってもらうとともに、SNS世代の「声にならない声」とどう向き合うかについても、それぞれの考えを話してもらった。

個人的に、ヒリヒリとした痛みや焦燥をポップに昇華する佐藤の歌声や楽曲と、「ネット以降」と呼ばれる女性シンガーの歌声や楽曲には通じるものがあると思っていたのだが、「歌の星に生まれた2人」の真摯な対話からは、その理由の一端が垣間見えたように思う。

アップテンポの曲でも清涼感が失われない幾田りらの声

―まずはお互いの声に対する印象を聞かせてください。

佐藤:りらちゃんの声は清涼感があって、息を吸い込んだり吐き出したりするときの空気の振動の成分みたいなのがすごく好きなので、繰り返し聴いても飽きない、耳馴染みのいい声だと思います。しかも、YOASOBIみたいなアップテンポの曲でもそれが失われずに、アップアップに聴こえないのがすごい。

私はボカロの曲をそんなに聴いてきたわけではないんですけど、生身の人間でも具現化して歌うことが可能なんだっていうのは衝撃で。あのスピード感は体幹がタフじゃないと歌いこなせないだろうなって。

幾田:ありがとうございます。うれしいです。

幾田りら(いくた りら)
2000年9月25日生まれ、東京都出身。シンガーソングライターとして活動し、2019年11月16日(土)に発売した2ndミニアルバム『Jukebox』の収録曲“ロマンスの約束”はYouTube400万回再生を突破。2020年8月にはGoogle Pixel 4aの新CMでカーペンターズ“(THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU”を歌唱するなどその歌声に注目が集まっている。2021年3月に配信リリースした“Answer”は、東京海上日動あんしん生命「あんしん就業不能保障保険」CMソングに起用。7月16日に公開となった細田守監督映画『竜とそばかすの姫』では、主人公・すずの親友役で初の声優を務めるなど、多方面で精力的に活動を続けている。

―ソロとYOASOBIで声の使い方を意識的に変えていますか?

幾田:意識的に何かを変えているわけではないんですけど、自分で書く曲とのコンセプトの違いが、声にも表れているのかもしれないです。

自分が書いた曲を歌うときは「ありのままの私」という感じなんですけど、YOASOBIの楽曲は小説などをもとにつくられることが多いので、登場人物の心情に合わせて歌ったりします。それが声にも表れているのかなって。

佐藤:YOASOBIの曲はブレスのタイミングがすごく重要ですよね。「カラオケで真似して歌ってみたら、思ったとおりに歌えなかった」みたいな現象がよく起こってそう。

『紅白歌合戦』も観させていただいたんですけど、音源とも全然遜色なくて、しっかりした基礎があるというか、腹式呼吸が上手なんだろうなって。アスリートみたいでかっこいいと思いました。

―ボイストレーニングは昔からやられていたんですか?

幾田:18歳くらいまでは自己流というか、ただただ歌うことが好きで、一日中ずっと歌ってるような感じで、なにか練習をしていたわけではなくて。ただ、19歳くらいからボイストレーニングに通い始めて、そこから体幹を鍛えたり、喉を鍛えたりしています。

佐藤:意外です。もっと長く、高校生くらいからしっかりトレーニングをしてたのかなと思いました。

幾田:ひとつ理由があるとしたら、小学生のときに3年間くらいミュージカルをやっていたんですけど、それが結構スパルタで(笑)。声が決まってくる12歳くらいのときに、クラシックの発声練習をたくさんやっていたので、その影響はあるのかなと思います。

たどってきた人生がそのまま漏れ出ているような佐藤千亜妃の声

―では逆に、幾田さんは佐藤さんの声にどんな印象をお持ちですか?

幾田:声の粒子というか、聴こえてくるものがとっても濃密だと思っていて、どの曲を聴いても、1ミクロンも無駄な音がないというか(笑)。フレーズの入りから、最後にちょっと息が残るところまで、ずっと繊細な、きれいな音が聴こえていて、とても美しいなと思っています。

佐藤:すごくうれしい。

佐藤千亜妃(さとう ちあき)
1988年9月20日、岩手県出身。2007年にきのこ帝国を結成し、Vo / Gt / 作詞作曲を担当。2015年に『桜が咲く前に』でメジャーデビュー。2019年にバンドの活動休止を発表。現在はソロとして活動中。2019年にファーストソロアルバム『PLANET』をリリース。2021年4月スタートの連続ドラマ『レンアイ漫画家』(フジテレビ系 木曜22:00~)の主題歌に新曲“カタワレ”が大抜擢された。11月には最新アルバム『KOE』のリリースツアー「かたちないもの」を全国5か所で開催予定。

幾田:あと、ご自身で書かれたストーリーを読み聞かせていただいているみたいというか、「歌っている」というよりも、佐藤さんの人生とかストーリーを聴かせてもらっているような感じがして、すごく生身の、温かい声だなっていう印象があります。

佐藤:素敵な言葉選びをしていただいて、照れますね。たしかに、私は自分がいままで経験してきたことをそのまま歌詞に落とし込むタイプです。そうじゃないとどう歌っていいかわからないし、自分のなかのジャッジも揺らいじゃうので、「そういうものを人に聴かせていいのか?」という思いもあって。つくり込まれたものではなく、「漏れ出しちゃった」みたいな歌を歌いたくて、歌詞も自然とそうなっちゃいます。

―そこは幾田さんのソロとも通じる部分かもしれないですね。

幾田:そうですね。私も曲を書くときは自分の日常から出てくるものがとっても多いので、本当にリアルを歌っている感じです。

―ちなみに幾田さんは、カバーセッションユニットのぷらそにかで活動されていた時代に、同じくメンバーだったにしなさんときのこ帝国の“怪獣の腕のなか”をカバーされていますね。なぜあの曲を選ばれたのでしょうか?

幾田:あれは2人でなにか録ろうとなって、やりたい曲のリストをお互いバーッて出し合ったときに、にしなが“怪獣の腕のなか”を出してくれて。聴いた瞬間に「これにしましょう!」と。

佐藤:2人の歌声にすごくぴったりですよね……って、自分の曲に対していうのも変ですけど(笑)。「そうそう、こういう声の人に歌ってほしかった」と思いました。

幾田:うれしいです。あれがきっかけできのこ帝国が大好きになって、佐藤さんの曲も聴くようになりました。周りのシンガーソングライターの友達もカバーしてたり、高校の同級生も聴いてたり、同世代でも好きな人がたくさんいましたね。

佐藤:自分たちとしてはそれが意外だったんです。きのこ帝国は大学生からアラサーくらいの人が聴いてくれてると勝手に思い込んでいたので、すごくうれしくて。もともと中高生にも聴いてもらいたい気持ちがあったから、最近映画(『花束みたいな恋をした』)の効果もあって、高校生が“クロノスタシス”を聴いてくれたりしているのは「やっときたか」みたいな気持ちです(笑)。

『花束みたいな恋をした』では、主役の2人がカラオケで“クロノスタシス”を歌うシーンがあり、話題となった(Spotifyを開く

テイラー・スウィフト、ヨンシー、アリシア・キーズ……佐藤と幾田が影響を受けた声

―お二人が影響を受けた「声」についてもおうかがいしたいです。

幾田:私はテイラー・スウィフトさんが昔からとっても大好きで。歌詞は結構赤裸々というか、いままでの恋愛をすべてさらけ出したような感じですけど、それをああやって大衆に向けて歌えることに、力強さをすごく感じる。その力強さが声にも乗ってるなと思います。

プレイリスト『This Is Taylor Swift』を聴く(Spotifyを開く

幾田:それまではわりとおしとやかに歌うような女性アーティストの曲をよく聴いていたんですけど、テイラー・スウィフトさんの曲に衝撃を受けて、私の見てる世界はまだまだ小さかったんだなと思いました。

佐藤:私はバンド活動をはじめた当時、ロックはがなって歌わないといけないイメージがあって。でも自分の声はそういう歌い方で生きる声じゃないからと、壁にぶつかったことがありました。そのときにSigur Rósのヨンシーに出会ったのですが、すごく衝撃的で。まるで子守唄みたいで、「伸びやかな声で歌うことがバンドのなかでも成立するんだ」と自由を感じさせてくれて、肩の荷が降りましたね。

プレイリスト『This Is Sigur Rós』を聴く(Spotifyを開く

―佐藤さんは、もともとR&Bシンガーがお好きだったんですよね? 声や歌い方にR&Bの要素を含んでいることがいまの時代にマッチして、下の世代からの支持につながっている部分もあるような気がします。

佐藤:兄の影響で小中学生のころにブラックミュージックをよく聴いていて、男性だとダニー・ハサウェイ、女性だとアリシア・キーズが大好きでした。女性だけど低音が響くかっこいいアリシア・キーズの声にハマって、“If I Ain’t Got You”を中学生のころはずっと歌っていましたね。

アリシア・キーズ“If I Ain’t Got You”を聴く(Spotifyを開く

佐藤:低い声をかっこよくコントロールして歌える女性への憧れはそのころからあって。最近も声が低いアーティストが出てきている印象で、yamaさんとかもいいなと思います。「低い声をかっこよく出す」というのは、最近あらためて大事にしている部分ですね。

yama『the meaning of life』を聴く(Spotifyを開く

幾田:高音は技術を鍛えることである程度出る部分もあると思うんですけど、低音はもともと持っているものも重要なので、難しいところはありますよね。

佐藤:下の響きのほうが声帯のかたちの癖が出やすいんだろうね。低くていい声が出せる人は喉が太いという話も聞いて、野生っぽくてかっこいいなと思ったりもしました(笑)。

佐藤が「声」を作品のテーマにした理由「声にならない声に寄り添う」

―新作で佐藤さんが「声」をテーマにした理由を教えてください。

佐藤:ソロの作品をつくるとなったときに、まずはバンドとの違いを意識しました。バンドでは「歌」だけに注力するのではなく、アンサンブルを俯瞰で見て、そのサウンドのなかにどう歌をはめ込むのかという考え方だったんです。

でも一人だと自分の歌をやり切らないと表現として成立しないんじゃないかと思って。じゃあ自分が一番裸で、ストロングな表現ができるのはなにかって考えると、やっぱり「声」だなと。ソロ2作目にして、やっとそのテーマをかたちにできました。

佐藤千亜妃『KOE』を聴く(Spotifyを開く

佐藤:それに加えて、コロナ禍を通じて自問自答の時間が長くなって。「なんで音楽をやってるんだろう?」「なんで歌ってるんだろう?」、もっといえば「自分はそもそも何者なんだろう?」とか、いろんなことをグルグル考えてるなかで、「声にならない声」が誰にでもあると思ったんですよね。

普段人にはいえない、心のなかにある想いを吐き出せるのが音楽だし、自分の想いをいえない人の心に寄り添えるのが音楽のいいところだと思ったので、そこも掘り下げたくて。なので、シンプルに「自分の声と向き合う」というところから「声にならない声に寄り添う作品」にテーマがより深まって、心のコアな部分に触れる作品になったんじゃないかと思っています。

―「声にならない声に寄り添う作品」というテーマは現代がSNSの時代であることとも関連づけられるテーマだと感じました。幾田さんは「SNS世代」と呼ばれることもあるかと思いますが、表現をするにあたって、「声にならない声」とどのように向き合っているといえますか?

幾田:いまはなんでも隠せてしまうというか、発信したいことだけ発信できてしまいますよね。一方で、自分の内側にある、見せたくない弱い部分って、誰しも何かしら抱えていると思うんです。表現をする人間としては、そこを自分自身がさらけ出すことによって、たとえば、心の奥に傷を負ってる人でも、自分の気持ちを乗せられるかなと思ったりして。

私ももともと自分の素直な気持ちにフィルターをかけてしまいがちな性格で、歌詞もフィルターをかけて言葉にしてしまうことが多かったんですけど、この1年くらいは……とっても難しいことではあるんですけど、自分の内側をさらけ出して、ありのままを歌に込めることで、みんなが人に見せられない内側の部分に触れることができたらいいなと思っています。

―今年発表した“Answer”はまさにその想いが表れた曲でしたよね。

幾田:そうですね。いままで書いてこなかったような、自分の内側の部分というか、自分のちょっとした闇の部分を初めて書くことができた曲でした。

幾田りら“Answer”を聴く(Spotifyを開く

佐藤:私は逆のタイプで、音楽のなかではもともと全部さらけ出しまくっているタイプですね。普段は人の話を聞くほうが好きで、自分の話をするのはあんまり好きじゃないんですけど、音楽になった途端に……変態なのかな?(笑)

―あははははは。

佐藤:音楽だと、赤裸々な歌詞でも、聴いてる人は誰のことを歌ってるのかわからないから、ちょっと曖昧になるというか、ごまかせるっていうのもあると思う。なんにしろ、私は歌や音楽のほうが、普段誰かと話してるときの自分よりも自分なんです。

幾田:私ももっと赤裸々に書けるようになりたくて、そこはちょっとコンプレックスというか。

佐藤:それこそ世代もあるかもしれないですね。自分たちの若いころはSNSがそんなに普及してなくて、「Twitterで叩かれる」みたいなこともなくて、ある種暴君になってもなにもいわれないし、むしろそれがかっこいいみたいな風潮もあったりして。でもいまはちょっとずれてたりダサかったりするとすぐ気づかれて、突っ込まれるじゃないですか? さらにはそれが拡散までされちゃったり。

そうなると、自分を守ってしまうのは理解できるというか。自分たちが高校生のころも「暗いところは見せたくない」みたいなのはあったけど、SNS世代はよりそうなっていて、SNSに書くことと自分の感情に格差が生まれているんだろうなと感じますね。

「他の誰かになるために生きてるんじゃない。自分が何者かを考えて、自分になっていく過程が人生」(佐藤)

―『KOE』というアルバムは、きのこ帝国の活動休止から2年以上を経て、あらためて「私は歌で生きていく」と宣言している作品のようにも感じました。

佐藤:この作品をつくっている間の心情は結構ギリギリでした。この作品が最後の作品になってもいいようにつくらなきゃと考えていて。去年は人の生死の話が多かったですよね。そういったことからも、自分がいつそうなってもおかしくないと思ったら、自分が自分だったことをしっかり作品として残すために、歌い切って、表現し切って、作品にしなきゃなって。

佐藤:気負いもプレッシャーもすごかったんですけど、結果的には、すごくパーソナルな作品ができたと思っています。ただただ自分そっくりの像を彫ってつくったみたいな感じで、自分の嫌な部分も入ってるんだけど……そこが表現できないなら私がやる意味がないし、欠けている部分こそがその人の特徴であり、人から愛されるポイントだったりもするんじゃないかな、と。

―たしかに。

佐藤:そういうところをきれいにするんじゃなくて、そのまま見せることのほうが、どんな表現でも大切な気がするんです。他の誰かになるために生きてるんじゃない。自分が何者かを考えて、自分になっていく過程が人生だなって。そう思えたのはとても重要な経験で、自分にとってのターニングポイントになったと思います。

―幾田さんも、このご時世で歌うことの意味を考えたのではないかと。

幾田:そうですね。ふと立ち止まって、それこそ「私はなんのために歌ってるのか?」「私は何者になりたいのか?」みたいなことをよく考えました。

そこで思ったのは、誰かを想って曲を書いたり、ファンの人に向けてライブで歌を届けることももちろん大事なんですけど、もしそういう機会を取り上げられてしまったとしても、自分はきっと声を発して歌い出すだろうし、何もないなかでも音を奏でてしまうだろうと思ったんです。本能的に、歌うという行為が好きで仕方なくて……とりつかれてるんじゃないかなって(笑)。

佐藤:私もとりつかれてるってすごく思う。なんでこんなに離れられないんだろうなって。

幾田:そうですよね。ちょっとスピリチュアルな話になっちゃうんですけど、生まれてくるときに「あなたは~の星です」みたいにいわれるとしたら、私は絶対歌の星だといわれた人間なんじゃないかと思っていて。

佐藤:すごくわかる。自分自身が歌って救われるというか、「歌うことで生きてる」みたいな感覚がありますよね?

幾田:はい、わかります。

佐藤:歌えないと生きるのしんど過ぎる、みたいな。喜びのない、空っぽな人間になっちゃう気がする。この一年は閉塞感があって、ふさぎ込んでしまいそうになったこともあったけど、レコーディングや制作があると、それに自分が生かされてるなって強く感じて。

「誰かに聴いてほしい」という想いももちろんあるし、「誰かを救いたい」みたいなことって、傲慢ながらもあったりはするんです。でも、そもそもは自分が救われたくて歌ってるんですよね。だから本当に「歌の星に生まれた」じゃないけど、歌わざるを得ない生き物なんだよなって、共感しました。

幾田が環境の変化を経てたどり着いた境地、佐藤が考える「幾田の歌声が支持される理由」

―幾田さんも、YOASOBIのボーカルikuraとしてのブレイクに伴う急激な環境の変化もあって、アップダウンの多い期間を過ごしてきたかと思います。そんななかでも、やはり歌うことで救われていた感覚がありますか?

幾田:正直にいうと、「もう音楽やめたい」と思ってしまうくらい悩むこともありました。ただ、ライブをやってから、その後3日間くらいなにもないお休みをいただいたときがあって、本当になにもせずに過ごしてたんですよ。そうしたら……「やっぱり音楽がやりたい。どうしよう? いますぐ動き出したい!」みたいな感じになってしまって。

佐藤:わかるなあ。

幾田:血が騒いじゃうんですよね(笑)。やっぱり音楽とは離れられない運命だなって、あらためて感じたので、これからはもっと上手く折り合いをつけたいというか。お仕事としての音楽とも向き合い続けるし、自分が寄り添ってきた音楽とも向き合い続けるし、そうやってバランスを取っていきたいと思いました。

佐藤:20歳でその境地はすごい。でもそれくらい、目まぐるしくいろんなことを経験したんでしょうね。「3日間」ってすごくリアルだなと思って、私もそれくらいしかもたないんですよ。離れた気でいても、2日目くらいから違和感を覚え始めて、3日目には好きな曲を歌ってたり。やっぱり歌うことは止められないですね。

―すでにYOASOBIはSNS世代の「声」を代弁する存在になっていると思いますが、シンガーソングライターの幾田りらとしては、今後どうなっていきたいと考えていますか?

幾田:まだシンガーソングライターとしての幾田りらは駆け出しの段階で、まだまだ出し切れてない部分がたくさんあると思っていて。自分から自然に出てくる曲を自分から自然に出てくる声で歌いたいという気持ちは強くあります。ありのままを出して、それに共感してもらえるようなシンガーソングライターになれたらなと思います。

佐藤:こういうマインドがあるから、りらちゃんの声に、みんなが吸い寄せられるように惹かれるんでしょうね。芯が空っぽだと、歌は響かないと思うんです。声がいいっていうのも入口としては大きいですけど、声の鳴り方はハートが重要。りらちゃんはちゃんとそこにエンジンを積んでいて、だからこそみんなが惹かれてるんだなと思いました。

幾田:YOASOBIはちょっと特殊で、もともと一人で、シンガーソングライターとしてやりたい人間同士でやってるんです。Ayaseさんももともとはバンドでボーカルをやっていたので。

佐藤:そうなんだ。

幾田:だから、お互い最終的にはソロでやっていくために、いまYOASOBIをやってるみたいなところもあって。

佐藤:もともと歌う人だから、ただ「作曲してます」っていう感じじゃなくて、ちゃんと歌心がある、ああいうメロディーを書けるんですね。なるほどなあ、アーティストにはアーティストごとのストーリーがありますね。面白い。

―佐藤さんは『KOE』を「これが最後の作品になってもいいように」とつくったとのことですが、つくり終えてみて、いまの心境はいかがですか?

佐藤:これが最後でもいいと思ってつくったんですけど……3日ももたないんですよ(笑)。いまはまた次のことを考え始めちゃってます。

リリース情報
佐藤千亜妃
『KOE』

2021年9月15日(水)発売

幾田りら
『ロマンスの約束』

2021年8月14日(水)配信

プロフィール
佐藤千亜妃 (さとう ちあき)

1988年9月20日、岩手県出身。2007年にきのこ帝国を結成し、Vo / Gt / 作詞作曲を担当。2015年に『桜が咲く前に』でメジャーデビュー。2019年にバンドの活動休止を発表。現在はソロとして活動中。2019年にファーストソロアルバム『PLANET』をリリース。2021年4月スタートの連続ドラマ『レンアイ漫画家』(フジテレビ系 木曜22:00~)の主題歌に新曲“カタワレ”が大抜擢された。11月には最新アルバム『KOE』のリリースツアー「かたちないもの」を全国5か所で開催予定。

幾田りら (いくた りら)

2000年9月25日生まれ、東京都出身。シンガーソングライターとして活動し、2019年11月16日(土)に発売した2ndミニアルバム『Jukebox』の収録曲「ロマンスの約束」はYouTube400万回再生を突破。2020年8月にはGoogle Pixel 4aの新CMでカーペンターズ「(THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU」を歌唱するなどその歌声に注目が集まっている。2021年3月に配信リリースした「Answer」は、東京海上日動あんしん生命「あんしん就業不能保障保険」CMソングに起用。7月16日に公開となった細田守監督映画『竜とそばかすの姫』では、主人公・すずの親友役で初の声優を務めるなど、多方面で精力的に活動を続けている。



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