ジェーン・スー×堀井アナに訊く生きのびる術 戦い方は人それぞれ

ジェーン・スー×堀井アナに訊く生きのびる術 戦い方は人それぞれ

2021/07/20
インタビュー・テキスト
松井友里
撮影:大畑陽子 編集:井戸沼紀美(CINRA.NET編集部)

さまざまな課題に直面するコミュニティーや社会的マイノリティーの人々の声をポッドキャストによって発信し、社会における「声の多様性」を推進する目的で2018年に始まったSpotifyの次世代ポッドキャストクリエイター育成プログラム『Sound Up』。これまで世界数か国で実施されてきたこのプログラムが、日本でもこの秋からのスタートに向けて受講生の募集を開始した。日本での公募対象は、ポッドキャストを始めたい女性。アメリカのアネンバーグ財団による調査の結果では、世界でポッドキャストを配信する女性の割合は全体の20%に満たないと言われている現状のなかで、女性たちが自分自身の考えやストーリーを音声によって自由に表現し、世の中に発信できるように、番組を企画・制作・配信するためのノウハウや機材を提供する。

そこで今回Kompassでは、『JAPAN PODCAST AWARDS2020』においてベストパーソナリティー賞と「リスナーズ・チョイス」をダブル受賞した、人気ポッドキャスト番組『ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」』の2人にインタビューを行った。

どこか及び腰なニュアンスをまといがちな「処世」という言葉に対し、ともに長い会社員経験を持つジェーン・スーと堀井美香は「処世」は勇気のなさではないという。閉経、離婚、整形、中年の片想いなど、表向きには語られることが少ないながらも、人生の身近な悲喜交々についてユーモアで笑い飛ばし、ときに涙しながら、力強く暖かに寄り添う二人が考える、正面突破だけではない、前進していくための道のつくり方とは。

左から:ジェーン・スー、堀井美香
左から:ジェーン・スー、堀井美香

タブー視されてきた話題に知恵を出し合う「おばさん掲示板」。オフ会したら最初から泣ける

―経験している人や関心がある人も少なくないはずなのに、あまり光が当たってこなかった事柄が『OVER THE SUN』では話題になりますよね。

スー:この番組は「おばさん掲示板」だとよく言っていますね。VIO脱毛や整形の話なんて、自分たちだけで話しているだけじゃそこまで話題が広がらないと思うけど、経験者たちがたくさんメールを送ってくれたおかげですごく盛り上がった。

堀井:VIO脱毛をするとおならの風の向きが変わるなんて、体験談を読むまでは知らなかったものね(笑)。

スー:おばさんになってくると、友達と話していて盛り上がることがメディアに載っていないなという実感があるんです。VIO脱毛や整形、閉経などについては、われわれの世代向けのメディアを見てもそんなに詳しくは載っていないし、載っていたとしても、比較的お勉強っぽく紹介されることが多いんですよね。「VIO脱毛をするときに白髪はレーザーに反応しません」みたいな経験者の知恵は書かれない。

顔に糸を入れたり、ハイフ(リフトアップの施術のひとつ)をやって頬を引き上げたみたいな話をリスナーの方たちから聞くと、「なんだ、まだまだ私たち自由にやっていいんじゃん」という勇気をもらえますね。

ジェーン・スー<br>1973年、東京都出身。作詞家、コラムニスト、ラジオパーソナリティー。『ジェーン・スー 生活は踊る』(毎週月~木曜午前11時 TBSラジオ)に出演中。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』(幻冬舎)で講談社エッセイ賞を受賞。著書に『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』ポプラ社)、『女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。』(文藝春秋)、『生きるとか死ぬとか父親とか』(新潮社)、『これでもいいのだ』(中央公論新社)、『女のお悩み動物園』(小学館)など。
ジェーン・スー
1973年、東京都出身。作詞家、コラムニスト、ラジオパーソナリティー。『ジェーン・スー 生活は踊る』(毎週月~木曜午前11時 TBSラジオ)に出演中。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』(幻冬舎)で講談社エッセイ賞を受賞。著書に『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』ポプラ社)、『女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。』(文藝春秋)、『生きるとか死ぬとか父親とか』(新潮社)、『これでもいいのだ』(中央公論新社)、『女のお悩み動物園』(小学館)など。

堀井:みんなで知恵を出し合うような感じですよね。私は最初にVIO脱毛についてのメールが来たとき、「これ読んでいいのかな」と思ったんです。閉経や、中高年の恋愛やセックスなど、触れたいけれど、あからさまに口にすることが憚られると感じることってあるじゃないですか。VIO脱毛もその1つで。

でもそういうなかでちょっとずつ切れ目を入れていって話し続けることで、だんだんみんなが口に出すことに慣れてくるんですよね。

―例えば生理の話など、かつてタブー視されていたことが、言葉にされていくうちに意識が変わってきた感覚は本当にありますね。

堀井:どうしていままでこのことについて話すのを恥ずかしいと思っていたんだろうと感じる経験は収録のなかで何度かしました。集まってくるメールに対して「なるほどねえ!」といつも感心しています。

堀井美香<br>TBSアナウンサー。1972年3月22日生まれ、秋田県出身。法政大学法学部を卒業、1995年にTBS入社。これまでTBS系列の番組で多くのナレーションを担当。同局のナレーターとして圧倒的な実績を持つ。現在、TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』にレギュラー出演するほか、週1回Podcast番組『OVER THE SUN』も配信中。 1男1女の母。小学生の頃からの音読経験を生かし、子育て時に「絵本の読み聞かせ」を実践。現在はTBSアナウンサーによる朗読会『A'LOUNGE(エーラウンジ)』のプロデュースを担当する。
堀井美香
TBSアナウンサー。1972年3月22日生まれ、秋田県出身。法政大学法学部を卒業、1995年にTBS入社。これまでTBS系列の番組で多くのナレーションを担当。同局のナレーターとして圧倒的な実績を持つ。現在、TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』にレギュラー出演するほか、週1回Podcast番組『OVER THE SUN』も配信中。 1男1女の母。小学生の頃からの音読経験を生かし、子育て時に「絵本の読み聞かせ」を実践。現在はTBSアナウンサーによる朗読会『A'LOUNGE(エーラウンジ)』のプロデュースを担当する。

スー:リスナーさんたちのメールの文章力が異様に高いんですよ(笑)。

―聞いていても構成が巧みなメールが多いなと思います(笑)。

スー:みんなユニークな人たちなんだよね。ニヤニヤしながらメールを書いているのが目に浮かびます。普段からラジオへの投稿に慣れている人は、採用されやすくするために短く書くけれど、『OVER THE SUN』にメールを送ってくる人は思いの丈をそのまま書いてくるので、われわれも全部そのまま読むんです。

それなりの経験をして立ち上がってきた大人たちが、ユーモアを持ってすべてのことを語ってくれるのは「これぞ大人だな」という感じがして、楽しませてもらっています。

堀井:もしもリスナーさんとみんなで集まったとしたら、きっと最初から泣けるよね。まったく知らない人たちだけど、なにかをわかり合える。道は違えど、お互い頑張ってきたよねえ……! って。

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サービス情報

『ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」』

ジェーン・スーとTBSアナウンサー・堀井美香による、ポッドキャスト番組。リスナーのみなさんともに語らいながら、「太陽の向こう側」を目指していきます。

『Sound Up』

音声で自身のユニークな考えや発想、ストーリーを世の中に発信するポッドキャストクリエイターを育成し、音声コンテンツの多様化を推進する目的で、ポッドキャスト番組の企画・制作・配信に関するトレーニングやサポートを提供する次世代クリエイター育成プログラム。

応募資格:
女性(性自認が女性の方を含む)
20歳以上の日本居住者
ポッドキャスター志望者(経験不問)
すべてのプログラムに一貫して参加いただける方
応募締切:2021年7月25日23時59分
費用:無料

プロフィール

ジェーン・スー

1973年、東京都出身。作詞家、コラムニスト、ラジオパーソナリティー。『ジェーン・スー 生活は踊る』(毎週月~木曜午前11時 TBSラジオ)に出演中。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』(幻冬舎)で講談社エッセイ賞を受賞。著書に『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』(ポプラ社)、『女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。』(文藝春秋)、『生きるとか死ぬとか父親とか』(新潮社)、『これでもいいのだ』(中央公論新社)、『女のお悩み動物園』(小学館)など。コミック原作に『未中年~四十路から先、思い描いたことがなかったもので。~』(漫画:ナナトエリ、バンチコミックス)がある。

堀井美香(ほりい みか)

TBSアナウンサー。1972年3月22日生まれ、秋田県出身。法政大学法学部を卒業、1995年にTBS入社。これまでTBS系列の番組で多くのナレーションを担当。同局のナレーターとして圧倒的な実績を持つ。現在、TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』にレギュラー出演するほか、週1回Podcast番組『OVER THE SUN』も配信中。1男1女の母。小学生の頃からの音読経験を生かし、子育て時に「絵本の読み聞かせ」を実践。現在はTBSアナウンサーによる朗読会『A'LOUNGE(エーラウンジ)』のプロデュースを担当する。

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