SKY-HIが語る『THE FIRST』ここが自身とボーイズグループの転換期

SKY-HIが語る『THE FIRST』ここが自身とボーイズグループの転換期

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:YURIE PEPE 編集:矢島由佳子、CINRA.NET編集部

SKY-HIが設立したマネジメント / レーベル「BMSG」主催によるボーイズグループのオーディション『BMSG Audition 2021 -THE FIRST-』(以下、『THE FIRST』)が、現在日本テレビ系列『スッキリ』で放送、Huluで完全版が毎週金曜日20時から配信されている。K-POPの躍進や、日本の芸能界に対する危機意識を背景に、世界で活躍するボーイズグループをつくるべく始動したこのオーディションは、既存の物差しで参加者を評価するのではなく、一人ひとりの個性と向き合い、多様性を尊重したうえでの審査を信条とするもの。参加者の奮闘はもちろん、審査員であるSKY-HIの哲学もはっきりと伝わるのが魅力だ。

そもそも、この「既存の物差しで評価をしない」という考え方は、SKY-HI自身がこれまでのキャリアのなかで「アイドルか? ラッパーか?」といったカテゴライズと格闘してきたからこそ生まれたもの。番組のために書き下ろされ、SKY-HI自身が「2度目のデビュー曲」と語る“To The First”でも、<I know this is the only way>と「いかに自分自身であるか」が歌われている。

SKY-HI自身が「10代の頃に参加したかった」という『THE FIRST』が、日本の音楽業界と才能の持ち主たちの人生を、そしてアーティストとしてのSKY-HIのキャリアを、どのように変え得るのかについて語ってもらった。

SKY-HIの現在地。肩書きやカテゴリーで語られることが「正直無意味」


SKY-HIが『THE FIRST』を立ち上げた意義や危機意識については、この動画の冒頭でも語られている

―まずは『THE FIRST』を始めたタイミングについてなのですが、いろいろな理由が関係しているとはいえ、やはり大きかったのは昨年『SKY-HI’s THE BEST』をリリースしたことだと思うんですね。

SKY-HI:ベストを出して、区切りをつけて、それでBMSGを設立したというよりは、むしろその逆で。BMSGの設立発表は2020年以外になかったので、その前にベストを出して一回ピリオドを打ちたいという感じでした。

自分がこれまで打ち出してきたさまざまなことは正も負も含めて財産だと思うんですけど、いったんその遺産を整理して、新たな打ち出しとしての会社設立、という考え方でしたね。

SKY-HI『SKY-HI's THE BEST -POPS BEST-』を聴く(Spotifyを開く

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SKY-HI『SKY-HI's THE BEST -COLLABORATION BEST-』を聴く(Spotifyを開く

―「2020年以外になかった」というのはなぜですか?

SKY-HI:誰しもにとって1年経つごとに失われていってしまうチャンスってあるし、なにもしないであとから愚痴を言うのは嫌だったので、「一刻も早くやらないと」という気持ちは3年前からすでにあったんです。ただ、それをやるにはさっき言った整理が必要で、その整理がついたのが2019年の末。じゃあ、2020年にベストアルバムを出して、BMSGを設立しようという流れでした。

SKY-HI(すかいはい)<br>2005年9月にAAAのメンバーとしてデビュー。同時期から「SKY-HI」としてマイクを握り、都内クラブ等で活動をスタート。ラッパー、シンガーソングライター、トラックメイカー、音楽プロデューサーとして活躍。2020年9月、マネジメント / レーベル「BMSG」を立ち上げ、アーティストが自分らしく才能を開花させられる環境づくりに力を注ぐ。
SKY-HI(すかいはい)
2005年9月にAAAのメンバーとしてデビュー。同時期から「SKY-HI」としてマイクを握り、都内クラブ等で活動をスタート。ラッパー、シンガーソングライター、トラックメイカー、音楽プロデューサーとして活躍。2020年9月、マネジメント / レーベル「BMSG」を立ち上げ、アーティストが自分らしく才能を開花させられる環境づくりに力を注ぐ。CINRA.NET掲載・過去のインタビューはこちらから

―ベストアルバムのリリースまでにある種の達成感があって、そのうえでの新たなチャレンジとしての『THE FIRST』なのか、むしろ歯痒さやもどかしさを感じていて、それがゆえの次のアクションとしての『THE FIRST』なのか、もちろん両方の要素があるとは思うのですが、どちらのほうがより大きいと言えますか?

SKY-HI:おっしゃるとおり、0か100かで語れることではないと思うんですけど……ある種の歯痒さのほうが大きいかなあ。

―それはどんなことに対しての歯痒さですか?

SKY-HI:……前提がうぜえっていうのはありますよね(笑)。「どういう存在?」っていう、その前提がもう不毛だし無意味だし、正直うぜえっていう気持ちはありました。

―「アイドルか? ラッパーか?」みたいな、これまで常にラベリングと戦わざるを得ない部分があったということですよね。

SKY-HI:もちろん、「うざい」っていうのはあえて言ってることで、「厄介だな」とか「めんどくさいな」くらいの感じなんですけど、ぼくはそういう前提が多過ぎて、それはすごく嫌だったので。一回「引退しようかな」とかも思ったし。

―だからこそ、生まれ変わるための遺産整理が必要だったと。

SKY-HI:そうですね。「なんとなく」で進みたくなかったというのが一番大きいかなあ。

SKY-HI

―結果的に引退を選ぶことなく、SKY-HIとしての活動も続けたうえで、BMSGを設立して、『THE FIRST』をスタートさせました。そこにももちろんいろいろな理由があったと思いますが、一番の理由はなんだったのでしょうか?

SKY-HI:……もらった数のリスペクトに応えたい気持ちがあったかな。Novel Core(ラッパー。2020年からBMSG所属)だったり、『THE FIRST』に応募してくれた人たちからの熱量を感じると、そのリスペクトはまだ清算できていない、まだお返しができていないから、自分がSKY-HIとしてやるべきことがあまりにも残されているなあという感じ。彼らを通して、その向こう側にいま現在自分を応援してくれているFLYERS(SKY-HIのファンの呼称)の顔も明確に見えて。なので、あらためてSKY-HIという自分の名前に責任を持とうと思った。そういう感じなのかな。

SKY-HI

SKY-HI:「BMSG」は「Be My Self Group」の略ですけど、自分のままでいるための自由を得るためには、同等の責任が付随すると思うので、自分が旗頭として背負わないといけないものもあると思ったし、そこは背筋が伸びる思いで……再びデビューするような思いでもあるというか。BMSGを設立して最初につくったのが“To The First”なので、デビュー曲みたいな気持ちなんですよね。

―わかります。リリックを読んでも、「第2のデビュー曲」という感じがしました。

SKY-HI:そういう感じがしますよね。“To The First”は久しぶりに自分を構成する全細胞的にオッケーが出た曲なので、そこもすごくポジティブに感じています。

SKY-HI

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リリース情報

SKY-HI『To The First』
SKY-HI
『To The First』

2021年4月28日(水)配信

プロフィール

SKY-HI
SKY-HI(すかいはい)

2005年9月にAAAのメンバーとしてデビュー。同時期から「SKY-HI」としてマイクを握り、都内クラブ等で活動をスタート。ラッパー、シンガーソングライター、トラックメイカー、音楽プロデューサーとして活躍。2013年はSKY-HI初のワンマンショーライブツアー『SKY-HI TOUR 2013-The 1stFLIGHT-』を開始。SKY-HIのツアーでハウスバンドを務めるミュージシャンチーム「THE SUPER FLYERS」の中心に立ち、自らがバンド音源や演出、照明に至るまでプロデュースするライブツアーは毎度、完売が続出。そして2020年9月、SKY-HI自らマネジメント/レーベル「BMSG」を立ち上げ、アーティストが自分らしく才能を開花させられる環境づくりに力を注ぐ。

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