祝サブスク解禁、マイブラの魅力をアーティストが語り尽くす

祝サブスク解禁、マイブラの魅力をアーティストが語り尽くす

2021/05/10
インタビュー・テキスト・編集
黒田隆憲
撮影:垂水佳菜

いまはビンテージのロックTシャツが高騰している。そのなかの頂点というか、もっとも高価でレアなのがマイブラ(Natsuki)

―いっときはEDMとヒップホップに席巻されていたギターサウンドが、ここ最近、また復活している感じがするんですよね。しかもビーバドゥービーやスネイル・メイルなど、マイブラの遺伝子を感じる存在も多いと思うのですが、その辺りどうでしょう。


「マイブラ愛」を熱く語るスネイル・メイル

エンドウ:ちょっと前になるけど、DIIVの『Deceiver』やStar Horseの『You Said Forever』にはマイブラの遺伝子を感じます。最近だと4ADのDry Cleaningが最高ですね。挙げていくとキリがないけど、Captured TracksやLuxury Recordsの人たちがマイブラフォロワーだと感じるし、佇まいからして「マイブラ好きなんだろうな」というバンドも多いじゃないですか。アートワークやアー写の雰囲気で音がわかるというか、ジャケ買いもあまり失敗しない。

―個人的にはスカルクラッシャーが、マイブラっぽいというか。轟音ではないけど、メロディの浮遊感に通じるものを感じました。

菅野:最近、スカルクラッシャーめっちゃ聴いてます。女の子で轟音を鳴らすかっこいい子たちが増えていますよね。日本でもラブリーサマーちゃんとか、リーガルリリーとか。

スカルクラッシャー“Song for Nick Drake”を聴く(Spotifyを開く

エンドウ:リーガルリリー、ヤバいすよね。

Tamio:ギターの音がほんとすごい。

Natsuki:マイブラがサブスク解禁したタイミングで、Yuckのマックスやハッチーが一斉にインスタにマイブラをあげていたので、「みんな待っていたんだな」って思いました。ちなみにハッチーは以前、共演したことがあるんですけど、彼女はプロジェクト名をHatchieにするかHoney Power(マイブラの曲名)にするかで悩んだらしいです。

―いい話ですね(笑)。

Natsuki

Natsuki:あと、これは少し音楽から離れるのですが、ぼくは古着屋でも働いていて、いまってビンテージのロックTシャツがものすごく高騰しているんですよ。そのなかの頂点というか、もっとも高価でレアなのがマイブラなんです。The Cureも人気ですが、マイブラのほうがレアなのはオフィシャルのマーチャンダイズが当時はまったくと言っていいほどなかったからなんですよね。当時のTシャツ、5万とかで売っているんですよ。しかも日本だけじゃなくて世界的に人気なんです。

一同:へえー!

Natsuki:ここまで高騰した理由の一つは、カニエ・ウェストが『feed me with your kiss』(1988年)のジャケットをモチーフにしたTシャツを着ていたからです。ちなみにThe 1975も、前回来日したときにRideのTシャツを着ていましたけど、あれも古着で4万くらいするんですよ。昨年、Supremeがマイブラとコラボしたシリーズを出していましたけど、きっとそういう状況を知っているからだと思うんですよね。

菅野:あのシリーズ、まんまと買っちゃいました(笑)。

左から:菅野結以、Natsuki

Natsuki:ファッション業界にも影響を及ぼしているのだから、マイブラが残したものは偉大すぎるというか。すごいよなあとあらためて思います。レコードも1990年代のオリジナル盤が高騰していますが、個人的にはTシャツにしてもレコードにしても、「ビンテージのほうが価値がある」みたいなのは、ちょっと古いのかなと思っていて。

それよりも、今回のようにDominoから再発されたり、Supremeとのコラボで新しいシリーズが出たりして、若い人たちに知ってもらう機会が増えるほうが健全だなと思います。マイブラのこと全然知らない人がTシャツを着て、それがきっかけで好きになってもらえたりするのとか、めちゃくちゃいい流れじゃないですか。

―確かに。いまは音楽もリリースされたらすぐ消費されてしまいがちだけど、こうやって再発するたびに話題になって、あらためて聴いてまた「いいな」と思える作品があるのは尊いことだなと思います。最後に、マイブラに今後期待することがあればぜひ。

エンドウ:とにかく曲をたくさん書いて、ライブしてくださいという気持ちですね。

Tamio:新作は、2枚同時に出すって言ってるんですよね。

―『ニューヨーク・タイムズ』紙のインタビューによれば、1枚目のアルバムには「あたたかくメロディック」な楽曲が収録されて、2枚目のアルバムはより実験的なものになるそうです。『m b v』を出すのに22年もかかったんだけど、大丈夫かな。

Natsuki:はははは。1990年代より機材のレベルがあがっているなかで、どんなサウンドがつくられるのか。めちゃくちゃ楽しみですよね。

菅野:私はマイブラのピュアさというか、混沌としているようでものすごく澄んでいる、そういうサウンドやバンドとしての在り方がすごく好きなので、これからもずっと変わらずいてほしいです。新作は、いつまででも待てるので(笑)、好きなときに作品をつくって、好きなときに日本に来てライブをしてほしいなと思います。長生きしてほしいですね。

左から:Natsuki、Tamio、菅野結以、エンドウアンリ

Page 4
前へ

リリース情報

PELICAN FANCLUB
『ディザイア』

2020年10月3日(土)配信

(TVアニメ『炎炎ノ消防隊 弐ノ章』第2クールエンディング主題歌)

Luby Sparks『Birthday』
Luby Sparks
『Birthday』

2020年1月15日(水)配信

My Bloody Valentine『Isn’t Anything』
My Bloody Valentine
『Isn’t Anything』

1988年11月21日(月)発売

My Bloody Valentine『loveless』
My Bloody Valentine
『loveless』

1991年11月4日(月)発売

My Bloody Valentine『m b v』
My Bloody Valentine
『m b v』

2013年2月2日(土)発売

My Bloody Valentine『ep’s 1988-1991 and rare tracks』
My Bloody Valentine
『ep’s 1988-1991 and rare tracks』

2012年5月4日(金)発売

プロフィール

PELICAN FANCLUB
PELICAN FANCLUB(ペリカンファンクラブ)

エンドウアンリ(Vo, G)、カミヤマリョウタツ(B)、シミズヒロフミ(Dr)からなるロックバンド。エンドウアンリによる「透き通るほど〈純度の高い声〉」の存在感と、散文詩のように描かれる「音のように響く歌詞」の世界―――。シューゲイザー・ドリームポップ・ポストパンクといった海外の音楽シーンとリンクしながら、確実に日本語ロックの系譜にも繋がる、洋・邦ハイブリットな感性を持つスリーピースバンド。ライブでは独自のスタイルで唯一無二の空間を創り出す、ロックシーンにおける「異端」の存在。最新曲「ディザイア」(TVアニメ『炎炎ノ消防隊 弐ノ章』第2クールエンディング主題歌)が配信中。

Luby Sparks
Luby Sparks(ルビースパークス)

Natsuki(Vo, Ba)、Erika(Vo)、Sunao(Gt)、Tamio(Gt)、Shin(Dr)の5人組。2016年3月結成。2017年7月には『Indietracks Festival 2017』(英国ダービーシャー)に日本のバンドとして唯一出演。2018年1月、マックス・ブルーム(Yuck)と全編ロンドンで制作したデビューアルバム『Luby Sparks』を発売。2018年11月、4曲入りのEP『(I’m) Lost in Sadness』をリリースしている。2019年1月には、Say Sue Me(韓国)を招き、初の自主企画ライブ『Thursday I don’t care about you』を成功させ、10月15日にはjan and naomiをゲストに迎えたTAWINGSと共同企画『Dreamtopia』を渋谷WWWで、10月25日には、Yuckを来日させ、自主企画第二弾『Yuck X Luby Sparks 2019』をLOOPで開催。これまでにThe Vaccines、The Pains of Being Pure at Heart、TOPS、NOTHINGなど、海外アーティストの来日公演のフロントアクトも数多く務めている。

菅野結以
菅野結以(かんのゆい)

雑誌『LARME』『with』などで活躍するファッションモデル。10代の頃から『Popteen』『PopSister』の専属モデルを務め、カリスマモデルと称される。2010年8月に初の著書『(C)かんの』を出版し、その後最新スタイルブック『yuitopia』まで6冊の書籍を発売。アパレルブランド「Crayme,」、コスメブランド「baby+A」のプロデュースおよびディレクションを行っているほか、TOKYO FM『RADIO DRAGON -NEXT- 』、@FM『LiveFans』では豊富な音楽知識を生かしてパーソナリティを担当している。SNSの総フォロワー数は約100万人に及ぶ。

感想をお聞かせください

新たな発見や感動を得ることはできましたか?

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
回答を選択してください

ご協力ありがとうございました。

Category カテゴリー

What's "Kompass" ? コンパスとは

「Kompass」は、ネットメディア黎明期よりカルチャー情報を紹介してきたCINRA.NETと、音楽ストリーミングサービスの代表格Spotifyが共同で立ち上げた音楽ガイドマガジンです。ストリーミングサービスの登場によって、膨大な音楽ライブラリにアクセスできるようになった現代。音楽の大海原に漕ぎだす音楽ファンが、音楽を主体的に楽しみ、人生の1曲に出会うガイドになるようなメディアを目指し、リスニング体験を交えながら音楽の面白さを紹介しています。