millennium parade常田大希は個を突き詰め、花火を打ち上げる

millennium parade常田大希は個を突き詰め、花火を打ち上げる

2021/03/08
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:西田香織 編集:久野剛士(CINRA.NET編集部)

常田が音楽で表したかった祭りの本質は、生命力

―これまで、いろんなところのお祭りを見てこられたこともあったんですか?

常田:いや、そんな『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)みたいな感じではないっす(笑)。

―宮川大輔さんのような……。

常田:お祭り男のようなことはしてない(笑)。

―失礼しました(笑)。でも、さっき言ってくださった『ウッドストック』なんかも「お祭り」の一種ではあったと思うんですけど、ロックフェスみたいなものに対する幻想は、今はもう抱きづらい時代ですよね。でも、これはmillennium paradeに限らずですけど、今の常田さんがやっていることって、自分たちの手に、本当の意味での「祭り」を取り戻すことなんだろうと感じるんです。

常田:そうかもしれないですね。今回のアルバムは、あくまでも俺が子どもの頃から今に至るまでに体感してきた「祭り」と言いますか、友人の葬儀だったり、聴いてきた音楽から受け取った「祈り」だったりとか、インドで見た祭りの風景とか、そういう、自分の人生で感じてきた「祭る感覚」の風景が繫がってできたアルバムっていう感じがあるんですよね。今回の作品は、そういう自分の中にあったいろんな「祭り」をサウンドにエッセンスとして取り入れつつ、全体を通して与える印象としては近所の夏祭りのようなものにしたいという思いがあって。

―あくまでも、喜びを感じられるものというか。

常田:そう、意識したのは、とにかく生命力を感じさせるものになればいいなと。子どもたちがお祭りで楽しんでいるような質感を、最終的には与えられるようなものになればいいなと思っていたんですよね。

常田大希

―“Fireworks and Flying Sparks”という曲もありますし、ジャケットには手筒花火が描かれていますけど、この「花火」というモチーフは常田さんとしてはどのようなものとして受け止めているんですか?

常田:花火師の人たちにとって、花火って「捧げもの」みたいな感覚があるから、無闇矢鱈にバンバン上げるものではないらしくて。その分、1本1本に強い思いをかけて上げていく。

そういうところが、自分たちの音楽に対する向き合い方にも近いなと思って。それに、やっぱり花火も「祭り」を象徴するものだから。教会で歌われるゴスペルのように「捧げもの」っていうニュアンスもある手筒花火は今回のアルバムの音楽にもすごく通じている部分があるなと思ったんです。

millennium parade“Fireworks and Flying Sparks”を聴く(Spotifyを開く

―常田さんにとって、音楽は決してインスタントなものではなく、手筒花火のように丹念に作り込まれるべきものである?

常田:うん。やっぱり1個1個強い思いを込めて作っていきたいし、そういう意味では、花火師の人たちの感覚はすごく理解できるなと思う。

常田大希

―「祭り」というものをテーマにした今作のコンセプトに、コロナ禍の影響はどこまで反映されていると思いますか?

常田:コロナ禍自体はあんまり関係ないですね。意識的になにかを反映させようっていうことはしていないので。ただ、コロナだけじゃなくても、人種問題もそうだけど、この何年かで、本当にいろんなことが浮き彫りになってきたじゃないですか。

―そうですね。

常田:いろんな場面で分断が目に付くようになったり。そういう時代の空気に対して、まったく無関係でいられないとは思うんだけど。まあ、それでもやっぱり、音楽は単に政治でも宗教でもないので。音楽は祈りであり、同時に、所詮は娯楽でもあり……。あんまり、社会に対しての働きかけに、自分の音楽は結び付かないですね。ただ、この音楽やアートワークに触れた人が、人生をちょっとでもポジティブに捉えられる要素になったらいいなとは思う。昔から、人をネガティブな方向に導くようなものを作りたいとは思っていないので。

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リリース情報

millennium parade
『THE MILLENNIUM PARADE』通常盤(CD)

2021年2月10日(水)発売
価格:3,300円(税込)
BVCL-1136

1. Hyakki Yagyō
2. Fly with me(Netflix Original『攻殻機動隊 SAC_2045』主題歌)
3. Bon Dance
4. Trepanation
5. Deadbody
6. Plankton
7. lost and found(『DIOR and RIMOWA』コレクションムービーテーマ音楽)
8. matsuri no ato
9. 2992(NHKスペシャル『2030 未来への分岐点』テーマ音楽)
10. TOKYO CHAOTIC!!!
11. Philip(『adidas CASUAL Collection 2020 Fall/Winter』)
12. Fireworks and Flying Sparks
13. The Coffin
14. FAMILIA(綾野剛主演映画『ヤクザと家族 The Family』主題歌)

[Blu-ray](完全生産限定盤・初回生産限定盤のみ)
millennium parade Live 2019@新木場Studio CoastからFly with me, Slumberland, Plankton, lost and foundの4曲&ミュージックビデオを収録。

プロフィール

常田大希(つねた だいき)

バンド「King Gnu」のメンバーとして活動するほか、音楽だけでなく映像やビジュアル、空間演出などトータルなクリエイティブを行うコレクティブであるPERIMETRON及び、海外に向けた活動を志向する音楽プロジェクトmillennium paradeとして活動。2021年2月10日、millennium paradeの1stアルバム『THE MILLENNIUM PARADE』をリリースする。

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