プライド月間を彩るプレイリストを紹介。LGBTQIA+の表現を祝福

プライド月間を彩るプレイリストを紹介。LGBTQIA+の表現を祝福

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木津毅
編集:後藤美波(CINRA.NET編集部)

ジャンル別のプレイリストを通して触れる、現代のポップミュージックにおける「Pride」の風景

もちろん、ジャンル別に楽しめるプレイリストも揃っている。Queen、エルトン・ジョン、マドンナ、レディー・ガガといったアーティストによる歴代の有名プライドアンセムを厳選した「Pride Classics」、近年のクラブミュージックにフォーカスした「Club Resistance」、インディ / オルタナティブのエッジの効いた楽曲を集めた「Alternative Pride」、マスクで顔を隠すカナダ人シンガー、オーヴィル・ペックの存在もあって近年注目されているフォーク / カントリー系のクィアミュージシャンをピックアップした「Queer As Folk」など。個人的には、ニコ・ミューリーをカバーとして、コンテンポラリーミュージック系のミュージシャンを揃えた「Queer Composers」がとくに発見の多いプレイリストだった。

Queenやマドンナなど歴代の有名プライドアンセムが並ぶ「Pride Classics」プレイリスト(Spotifyを開く

コンテンポラリーミュージック系のクィアの作曲家たちを揃えた「Queer Composers」プレイリスト(Spotifyを開く

性的マイノリティ当事者、もしくはそのコミュニティと関わりの深いミュージシャンによる音楽がこれほどまでに多岐にわたっていることそれ自体が、現在のシーンやムーブメントの充実を表しているだろう。そしてそのことが、クィアシーンに限らない音楽文化全体を確実に豊かなものにしている。現代のポップミュージックにおける「Pride」の風景である。

フラッグシップのテーマは「Unlike Any Other(他の何にも似ていない)」。ボールカルチャーに光を当てた特集も

単発のプレイリスト以外にも、アンダーグラウンドにおけるボールカルチャーのシーンを取り上げた「The House of...」シリーズや、リスナーの星座に合わせた12通りの多様性を遊んでみせる「星占いプレイリスト」シリーズ、性的マイノリティ当事者の作曲家が手がけた楽曲をまとめた「Written by: Us」シリーズといった特集も興味深い。とりわけ「The House of...」はアンダーグラウンドのクィアパーティの熱気が伝わってくるものであり、偶然とはいえ、日本の「Let's Party Again」シリーズと通じるところがあって嬉しく感じたのだった。パーティの現場で鳴らされてきたたくさんのサウンドが、性的マイノリティたちの自由を広げてきたのだから。

1980年代ニューヨークのボールカルチャーを描いたドラマ『POSE』の振付などを手掛けるツイッギー・プッチ・ガーソンがキュレーションした「The House of Twiggy Pucci Garcon」プレイリスト(Spotifyを開く

こうした細部を包括しつつ、Spotifyにおけるグローバルの「Pride」プロジェクトの今年のフラッグシップとなるプレイリストが「Out Now: Unlike Any Other」だ。

これは、性的マイノリティ当事者の比較的新しい楽曲を中心として編まれた、バラエティに富んだカラフルなサウンドをポップに楽しめるもの。今年のSpotifyの「Pride」プロジェクトのキャッチコピーである「Unlike Any Other」──すなわち、それぞれが「何にも似ていない」こと、それぞれが自分らしくあることを祝福するようなプレイリストに仕上げられているのである。

今年のSpotifyの「Pride」プロジェクトのフラッグシップとなるプレイリスト「Out Now: Unlike Any Other」(Spotifyを開く

パンデミック下で中止に追い込まれた多くのプライドバレード。鳴り響く音楽とともに、再び歩くことのできる日を思って

最後に、わたしが作成したプレイリスト「Let's March Again」も紹介したいと思う。「Let's Party Again」シリーズは現在のパンデミック下において苦境にあるパーティをサポートする意味をこめたものだが、「Let's March Again」は『東京レインボープライド』をはじめ、中止に追いやられることになった多くのプライドパレードが再び行なわれることを願って作ったものである。

性的マイノリティであることを公言しているミュージシャンや関わりの深いアーティストによる比較的新しい楽曲(もっとも古いもので2017年)を中心に、なるべく多くのジャンルを横断するようにピックアップした。ディスコから始まり、ここにはポップもラップ / ヒップホップもロックもパンクもエレクトロニカもソウルもジャズもダンスホールもアンビエントもある。レズビアンもゲイもバイセクシュアルもトランスジェンダーもノンバイナリーもインターセックスもジェンダークィアのアーティストも含んでいる。それだけ、性的マイノリティの存在も表現も多様で多岐に及ぶことが伝われば嬉しく思う。

カバーを飾るのは、日本で生まれ、現在ロンドンを拠点とするRina Sawayama。日本をルーツに持ちながらグローバルな活躍を見せている点でも、パンセクシュアルであることをカミングアウトしている点でも、現代的な存在感を放っているアーティストである。

筆者監修により、プライドパレードが再び行なわれることを願って作られた「Let's March Again」(Spotifyを開く

「Pride」はもともと、マイノリティの権利を訴える抗議として生まれたものだ。公民権運動とも関わりが深い。ひとりひとり異なる存在が集まり、ともに歩くためのプライドパレード。そこでたくさんの音楽が鳴り響くことを、わたし(たち)はいつも願っている。

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