GLIM SPANKYとピエール中野、Yutoが語る「熱くなる」音楽

接触するメディアが多様化した時代に、「新しい音楽との出会い」をどのように届けるべきか? 音楽好きなメディアマンが集まり知恵を絞った結果、メディアの枠組みに捉れることなく、テレビやWEBサイト、YouTube、Spotify(Podcast)など様々なメディアで楽しむことができる音楽トーク番組『SONG LIST』がスタートした。

番組のMCにオカモトレイジ(OKAMOTO'S)、小田朋美(CRCK/LCKS、DC/PRG)、曽我部恵一(サニーデイ・サービス)、西寺郷太(NONA REEVES)、ピエール中野(凛として時雨)、manaka(Little Glee Monster)、Yuto Uchino(The fin.)という豪華7名を迎え、各話に1組のゲストと2名のMCが登場する。

今回の記事は、GLIM SPANKYをゲストに迎えた記念すべき第1話目の内容を、WEBメディアとしてテキストと画像ベースでお届けするもの。Webメディアの利点として、映像やPodcastではカットされてしまった部分も余すことなくお伝えしつつ、出演者が紹介した楽曲や、テレビで放送された動画も記事内に埋め込まれている全部盛りだ。

記念すべき番組第1回目がスタート

中野:いよいよ始まりました。新番組『SONG LIST』。MCのピエール中野です。

Yuto:The fin.のYutoです。

中野:この番組では決められたテーマをもとに、みんなでオリジナルのソングリストを作っていきます。

左から:Yuto Uchino(The fin.)、ピエール中野(凛として時雨)

Yuto:記念すべき、第1回目のゲストはGLIM SPANKYのお二人です。

中野:よろしくお願いします! いや……この番組、第1回なんですよ。

亀本:変に緊張しますよね(笑)。

中野:僕らも今のところ番組の方向性が見えてないところもあって(笑)。

Yuto:すっげえ、ふわふわしてるよね。

亀本:全員初回なんですもんね(笑)。

紹介した楽曲のプレイリストはSpotifyでも配信中(Spotifyを開く

GLIM SPANKY(ぐりむすぱんきー)
左から:亀本寛貴、松尾レミ
新しい時代を感じさせるサウンドを鳴らす、松尾レミ(Vo/Gt)&亀本寛貴(Gt)からなる男女ニ人組ロックユニット。アートや文学やファッション等、カルチャーと共にロックはあることを提示している。2018年5月には、自身初の日本武道館公演も大成功させた。同年の『FUJI ROCK』では、メインステージGREEN STAGE出演、11月には4枚目のフルアルバム『LOOKING FOR THE MAGIC』をリリース。

中野:まず、Yutoくんが番組のMCをするんだっていうところからね(笑)。

Yuto:そうね(笑)。

松尾:面白いですね。

中野:ちょっとわからないところがあるんですけど、全然引き受けると。

Yuto:まあ、「はい」って言ったからね。

中野:この二人でMCとしてバキバキ回していきたいのと……あと、Yutoくんと亀本くんの服装がお揃いというか。

亀本:あ、Gジャンですか? Yutoくんって、いつも薄い色のデニムのセットアップを着てるじゃん。

Yuto:うん。

亀本:ちょっとトレードマークだと思ってて。ウケ狙いで同じ色の着ていこうと思ったんだけど、やりすぎかもと思って違う色のデニムにしてるっていう。

中野:MCに合わせに来てるっていう。

亀本:そう、合わせつつちょっと外すみたいな。

Yuto:ちょっと、こういうお笑い芸人みたいじゃない?(笑)

一同:(笑)

中野:なんかね、不思議な感じですけどね。でも、それぞれ初対面ではないっていうところがあるので。

亀本:そうですね。

ソングリストのテーマは「私を熱くさせる曲」

中野:さて今日は、ソングリストを作っていくっていうことですよね。

Yuto:そう。今回、GLIM SPANKYと完成させるソングリストのテーマは「私を熱くさせる曲」ということで。

中野:みんな熱いからね。熱さがありますから。

Yuto:こんな服を着てたら熱いでしょ。

亀本:たしかに熱いけど!(笑)

中野:松尾さん、大丈夫ですか。この感じについてこれてますか。

松尾:大丈夫です……すごい楽しんでます。

中野:すごい楽しさが伝わってくる感じですけど(笑)。

亀本寛貴(GLIM SPANKY)の1曲 The Score“Legend”

中野:ではさっそく、ゲストの1曲目からお聞きしましょう。最初はGLIM SPANKYの亀本さんお願いします。

亀本:はいっ。じゃあ、僕いきますね。Spotifyで割とハードめなロックだったり、泥臭いブルースロックとかの、リフがバチバチの曲とかを集めたオフィシャルプレイリストがあって、それを聴いてて。でも、だいたい知ってるようなのばっかりなんですよ。上からLed ZeppelinとかAC/DCとかMetallicaとか。

亀本:そういう鉄板ものが来て、その中に一組、The Scoreっていう知らない人たちがいて。アーティストページに飛んでみたら、向こうでは相当聴かれているアーティストの方なんですよ。曲は、ブルースロック的なリフがありつつ全体的にはラウドというかハードで。ちょっとスポーツを応援するようなテンション感。サッカーとかラグビーに合いそうだなっていう曲です。僕的にはそういうのが「熱く」なるんで。

中野:1回聴いてみますか。

中野:言ってた通り、サッカーとかスポーツに合いそう。

亀本:そうっすね。サッカー中継のゴールシーンのハイライトとかで流れてそう。ゲームのBGMとかにも。

中野:GLIM SPANKYらしいセレクトというか。

亀本:そうそう。この曲、リフとかはブルージーな感じなんですよ。だけど、トータル的にはコーラスもあって、スタジアムロックみたいな音がすごい好きで。自分の音楽に直結してそうなのを意図的に選んできました。

中野:ちゃんと新しい感じがする。懐かしいけど新鮮に感じられるところが、こういうロックの特徴なのかなってひとつ思ったりとか。

亀本:そうですね。

Yuto:すぐ歌えるもんね、みんなでね。

亀本:フレーズがシンプルだからね。

松尾:ふふふ、なんか真面目だなぁ……。真面目に語っていい感じじゃん(笑)。

Yuto:ね! すごい真面目に選んでんねんな!

亀本:はい、真面目に選んできました。

中野:これ一応、熱くさせる曲だからね! この場も熱くなっていかないといけないかなって思うんですけど。

亀本:(松尾に)でも、この曲って熱くなる系じゃない?

松尾:うんうん、熱い、熱い。熱いな。

亀本:行くぜ行くぜってなるやん!

Yuto:熱くなることに関して論理的に説明するっていう(笑)。

中野:でもSpotifyって、プレイリストの中から突然知らないミュージシャンが入ってきてたりするから面白いですよね。

亀本:日本のレーベルが輸入してきてないけど、向こうではめちゃめちゃ知名度あるみたいな人っていると思うんですよ。そういうのが唐突にあったりして、見てみたら「この人たち、こんなに売れてたんだ」みたいな。日本には全然入ってきてない! っていう発見がありますね。

中野:音楽を調べる入り口になってるよね。Spotifyのプレイリストはよく聴くんですか。

亀本:聴きますね。こまめにチェックするのはJ-ROCKプレイリストです。誰の新曲が出た、みたいなのを。最初に言ったんですけど、この曲は洋楽のいわゆるクラシックなリフものが集まってるプレイリストに入っていたんですよ。Led ZeppelinとかAC/DCとかThe White StripesとかNirvanaが入ってて、その中で、The Scoreだけ知らないなみたいな。そのプレイリストのフォロワーも何十万人とかいて、ちょっと気になるなって思って聴いたら、そういうことか……と。

中野:理由がわかったんですね。

亀本:そういう発見があるから面白いですよね。

Yuto Uchida(The fin.)の1曲 QUEEN“Another One Bites The Dust”

Yuto:続いて俺の選んだ「私を熱くさせる曲」は、QUEENの“Another One Bites The Dust”っていう曲です。

Yuto:リマスターだから、けっこう音が変わってるっぽい。これは本当に、みんな1回は聴いたことがあるような曲やと思うんですけど、QUEENがダンスミュージックをやったっていう曲で、BPMとかテンポ感が徒歩よりちょっと早いくらい?

亀本:わかる!

Yuto:ちょっとぐいっていけちゃう。暗い道を歩いてて、「今夜はパーティーだぜ」みたいなイメージ。

亀本:たしかに足取りが力強くスピードアップする感じあるよね。

松尾:ちょっとステップ踏めて……くらいの。かっこいいよね。

亀本:すげえ気になってるんだけど、リバース(逆再生)のシンバルっぽいのがひゅ~てあるの。あれって、なんの音かわかります?

Yuto:あれ、たぶんピアノじゃないかなって思うんですけど……わからないです(笑)。

中野:QUEENも映画が公開されて、こんなことやってたんだって発見がまたそこであったわけじゃないですか。音源こそ聴いてたけど、そんなに知らなかったから、こんなに前衛的な人たちだったんだって。だから、こういう要素が入ってくるのわかるよね。

松尾:音数も少ないから、すごい立体的で。

亀本:映画でも見たよ。喧嘩してたらさ、ベースだかが弾きだすんですよね。このリフ。

Yuto:そうそうそう。喧嘩いいから曲作ろうぜって。そんなことある? みたいな(笑)。

中野:いや、きっとあったんだってば!(笑)

松尾:かっこいいよね。かめの選曲も「熱く」なるけど、けっこう気合じゃん。戦いにいくときの感じ。で、Yutoくんが選んでくれたのは、日常の中で上がる感じがいいよね。どっちもいいね。

Yuto:やっぱ、熱いんじゃない? もともと。

松尾:声高いしね。

亀本:声は……高いね(笑)。

Yuto:スタジアムロックとか昔のハードロックとか、声高めなの多いもんね。

中野:うちの凛として時雨ってバンド、めちゃめちゃ声高い。

一同:(爆笑)

亀本:オクターブ違いくらいで声高いですよね(笑)。

松尾レミ(GLIM SPANKY)の1曲 Steeleye Span“Gower Wassail”

中野:本日は、GLIM SPANKYのお二人に「私を熱くさせる曲」というテーマでソングリストを作っていただき、お話を伺っております。続いて、GLIM SPANKY松尾さんの曲を紹介お願いします。

松尾:えっとですね。私が選曲した曲はSteeleye Spanの“Gower Wassail”です。

松尾:曲調的には全然「熱く」ならない曲なんですけど、デビュー前からずっとGLIM SPANKYのSEに使ってたんです。なので、個人的に熱くなる。今から始まるっていう曲で。

あとは自分の趣味が、1960年代中盤から後半、または1971、2年くらいまでのイギリスのサイケとかトラッド、アシッドフォーク系のものが好きで、その時代にSteeleye Spanは、Fairport Conventionのメンバーが立ち上げていて。この“Gower Wassail”のアルバムは、1971年くらいに発売されたもので。

中野:すごい、めちゃめちゃ覚えてるね!『レコード・コレクターズ』っすね。

Yuto:なんかいま俺、雑誌読んでるみたい!(笑)

中野:素晴らしい解説。データの蓄積ヤバイな。

Yuto:これSEやったの!? やばいな、めっちゃ暗い。

松尾:暗い(笑)。

亀本:言ったら『COUNTDOWN JAPAN』とか『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』とかも、これで入場してましたよ(笑)。ずっとこれがSEだったんで、たぶん飯食ってるときにこの曲が鳴りだしたら、「やばい、準備しなきゃ!」ってなるよね(笑)。

松尾:この曲はよりトラッドな感じなんですけど、マニアックなレコード好きな人がたまに、このSEについて「あれってSteeleye Span?」って言ってくれるときは、一番ぶちあがる(笑)。

中野:なるほどね。わかってくれる人がいると。

松尾:反応してくれる人がいるのは嬉しいよね。

Yuto:曲調は落ち着いてるけど、ボーカルがすごい力強くて。低音やけど熱い感じがあるよね。「今からやるぞ」みたいな。

松尾:熱い。静かに始まっている。アルバムでも1曲目で、幕開けみたいな感じです。

中野:これSpotifyだからジャケットとかも出てくるんですけど、ジャケもかっこいいっすね。

亀本:わー、すごい。

中野:曲のイメージとも合ってるし。

松尾:オススメです。

中野:選曲の理由が本当にしっかりしてていいね。データもあるし。

お知らせコーナー

中野:そろそろ終了のお時間です! GLIM SPANKYの5枚目のシングル『ストーリーの先に』が11月20日にリリースです。特にこの部分を強調したいって部分ってありますか。

松尾:けっこう湿った感じのサウンドから始まるふうにしていて。湿ったところから、どんどん開けていくっていう。サウンドもそうですし、歌の歌い方だったりとか歪みの成分の使い方だったりとか。そういうところもけっこうこだわったので歌も聴いてほしいし、ジャケットもすごい綺麗なジャケット写真が雰囲気のあるところで撮れたので、ジャケットも含めて曲、歌詞の世界に入りこんで聴いていただけたらな……と思います。

亀本:曲調もさっきの選曲を含めて、わりとGLIM SPANKYっていうとクラシカルなロックっていう感じの楽曲が多いんですけど、今回のはまた違ったテイストになってるのでぜひ聴いてほしいなって感じですね。

中野:気になりますね。

Yuto:そして、こちら番組から注目イベントの情報です。『THE FINAL TOUR EVER END OF THE ROAD WORLD TUOR』。2019年1月のカナダ、バンクーバー公演からスタートしたKISSのファイナルツアー。ジャパン公演も12月からスタートです。至上最大級のステージセットによる、至上のロックンロールサーカス。最後のKISSをお楽しみに、とのことです。

中野:とにかく一番すごいって感じらしいですね。

Yuto:これはちょっとチェックしてもらって。ロックンロールサーカスっていう聞いたことのないワードも出てるし。

中野:レジェンドが周り続けてくれるってありがたいっすね。僕はドラムクリニックとかライブとかちょくちょくあるんで、チェックしてください。それでは!

紹介した楽曲のプレイリストはSpotifyでも配信中(Spotifyを開く
YouTubeでは番組の1話目、2話目が合わせてお楽しみいただけます

番組情報
『SONG LIST』

WOWOWとCINRA.NETがタッグを組んだ音楽トーク番組。2019年12月3日(火)から毎週火曜にWOWOW、12月5日(木)から毎週木曜21:45~歌謡ポップスチャンネルで放送。

MC:
オカモトレイジ(OKAMOTO'S)
小田朋美(CRCK/LCKS、DC/PRG)
曽我部恵一(サニーデイ・サービス)
西寺郷太(NONA REEVES)
ピエール中野(凛として時雨)
manaka(Little Glee Monster)
Yuto Uchino(The fin.)

プロフィール
GLIM SPANKY
GLIM SPANKY (ぐりむすぱんきー)

新しい時代を感じさせるサウンドを鳴らす、松尾レミ(Vo/Gt)&亀本寛貴(Gt)からなる男女ニ人組ロックユニット。アートや文学やファッション等、カルチャーと共にロックはあることを提示している。2014年に1stミニアルバム『焦燥』でメジャーデビュー。松尾レミの日本人離れしたハスキーな歌声が、多くのクリエイターを夢中にさせ、既に11本ものCMで歌唱を担当。映画「不能犯」(主演:松坂桃李)の主題歌である2018年1月リリースの「愚か者たち」は、iTunes総合アルバムチャート1位を獲得!! 2016年公開映画『ONE PIECE FILM GOLD』主題歌「怒りをくれよ」、映画『少女』主題歌「闇に目を凝らせば」等、新人では異例の大抜擢で担当。2018年5月には、自身初の日本武道館公演も大成功させた。同年のFUJI ROCKでは、メインステージGREEN STAGE出演、11月には4枚目のフルアルバム『LOOKING FOR THE MAGIC』をリリース。



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