Spotify担当者が見た、ミュージシャンがブレイクするまでの動き

Spotify担当者が見た、ミュージシャンがブレイクするまでの動き

2019/12/24
インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:大畑陽子 編集:久野剛士(CINRA.NET編集部)

プレイリストのような出会いを体験するイベントを目指して続ける『Spotify Early Noise Night』

芦澤紀子

―冒頭で少しお話しいただいた『Spotify Early Noise Night』についてもお聞かせいただけますか?

芦澤:イベントは最初、SPACE ODDという200人も入れば満員になるような小規模の渋谷のライブハウスで、センターステージにこだわってやってきました。

―センターステージというのが本当にユニークだなと思います。

芦澤:お客さんとアーティストの距離がすごく近くなるんですよね。ステージをぐるっと囲んで生演奏を体感するという、ストリーミングだけでない楽しみ方を味わっていただきたかったのと、チケットを1,000円と安くすることで気軽にイベントに足を運んでもらい、Spotifyで「いいな」と思ったアーティストをより好きになってもらいたい、そういうきっかけの場を提供したいという思いでスタートしました。

―ブッキングの基準はどのようなものですか?

芦澤:「今回はアーバンで」「シンガーソングライター系で」といった具合に、ある程度のカラーリングは決めています。ただガチガチには固めず、そこでの「意外な出会い」というか、「このアーティストが目当てだったけど、こっちもよかった」みたいな、プレイリストの発見と同じことが起きそうなブッキングを心がけました。

あとは『Early Noise Night』という名前のプレイリストを作成し、事前の「予習」ができるようにしつつ、イベント終了後はそれがセットリストの通りになり、ライブに行った人は追体験が、行けなかった人は擬似体験ができるような工夫を施しています。

芦澤紀子

―その1年半後にスタートした大阪での『Early Noise Night』は、会場を大阪・心斎橋のMusic Club JANUSにしたんですよね。

芦澤:東京よりも少しキャパが大きいライブハウスなのですが、卓球台をロビーにおいて、お客さんやアーティストが転換の合間やイベント終了後に遊べるようにしました。

―それも本当に素晴らしい試みですよね。

芦澤:ありがとうございます(笑)。深夜イベントという試みも大阪で行なっていて、それも通常のイベントとは違う盛り上がりがありましたね。土地柄もあるのかもしれません。あんなパーティー感のあるライブイベントって、私自身もあまり経験したことがないですから。

―特に印象に残ったパフォーマンスというと?

芦澤:TENDOUJIが大阪の深夜に出演してくださったときですね。予定されていたアーティストが急病で出られなくなり、急遽ピンチヒッターとして、当日に出演を決めて頂いたのですが、深夜3時頃で告知もほとんどしていなかったにも関わらず、なんとその時間帯が一番盛り上がったんです(笑)。それは本当に印象に残っていますね。演奏も素晴らしかったし、そのときに盛り上がってくださったお客さんにはいまも感謝の気持ちでいっぱいです。やってよかったと思った瞬間の一つでした。

TENDOUJI『COCO』(2019年)を聴く(Spotifyを開く

―そして今年12月25日から3日間にわたり、FM802が主催する大阪の年末の恒例イベント『RADIO CRAZY』の新人をフィーチャーする「LIVE HOUSE Antennaステージ」と『Early Noise』とがコラボレーションすることが発表されました。

芦澤:関西における『RADIO CRAZY』は年末の風物詩というか。「年末はレディクレへ」が合言葉になっているくらい人気のイベントなんですよね。しかも今年はアニバーサリーで3日間の開催ということもあり、そんな中で『Early Noise』とコラボさせていただけるのは意義深いものがあります。

Early Noise×FM802 RADIO CRAZY LIVE HOUSE Antennaプレイリストを聴く(Spotifyを開く

―来年の「Early Noiseアーティスト」も選考中だと思うのですが。

芦澤:おそらく今年と同じくインターネット文脈のアーティスト、グローバルに活躍するポテンシャルを持ったアーティストは注目だと思います。音楽性はハイブリットというか、「このジャンルの音楽」といい切れるものよりは、様々なエッセンスを含んだ独自のサウンドを奏でるアーティストが選ばれる傾向にありますね。それと、まだ詳しいことは話せませんが『Spotify Early Noise Night』も来年はスケールアップする予定です。

―『Early Noise』プログラムの3年間を振り返り、改めていまどのような心境ですか?

芦澤:ストリーミングが音楽の聴き方や送り出し方を変えていくということを確信した3年間でしたね。特に2019年は大型アーティストのストリーミング解禁が続き、かなり潮目が変わったと思います。スタートした頃は楽曲を配信する国内アーティストもまだまだ多くはなく、プレイリストを組むのが大変だった頃を思うと感慨深いものがあります(笑)。

依然としてフィジカルが強いマーケットですし、現時点でもストリーミング配信を始めていないアーティストもいらっしゃいますが、これからもっとストリーミングを通じてアーティストと音楽ファンが出会い、その結びつきを深められるよう、私たちも頑張りたいと思っています。

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イベント情報

『FM802 30PARTY FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2019』

開催日:2019年12月25日(水)、26日(木)、27日(金)
会場:インテックス大阪

「Spotify Early Noise LIVE HOUSE Antenna」ステージ出演アーティスト:
25日出演:
Karin.
サイダーガール
w.o.d.
Novelbright
YAJICO GIRL
ユアネス
26日出演:
Age Factory
オカモトコウキ(OKAMOTO'S)
ズーカラデル
DENIMS
ハンブレッダーズ
みゆな
reGretGirl
27日出演:
おいしくるメロンパン
カネコアヤノ
Kobore
the chef cooks me
The Songbards
Tempalay
ネクライトーキー
料金:1日券9,500円、2日券18,800円、3日通し券28,000円

サービス情報

Spotify

・無料プラン
5000万を超える楽曲と30億以上のプレイリストすべてにアクセス・フル尺再生できます

・プレミアムプラン(月額¥980 / 学割プランは最大50%オフ)
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プロフィール

芦澤紀子(あしざわ のりこ)

ソニーミュージックで洋楽・邦楽の制作やマーケティング、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)で「PlayStation Music」の立ち上げに関わった後、2018年にSpotify Japan入社。

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